若手教師が育つ環境を考える

この1年もたくさんの先生方といろいろな場面でかかわらせていただきました。いつも感じるのは、年齢問わず、教師の授業力には急激に伸びるときがあるということです。特に、若手はちょっとしたきっかけでみるみる成長します。成長する若手は素直であるなど本人に共通することがいくつかありますが、職場の環境にも共通点があるように思います。

1つは授業が大切であることが学校として明確にされていることです。
そんなこと当り前だと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。中学校では部活動や生徒の指導が強調され、授業については子どもたちの授業態度という観点でしか語られないことがよくあります。授業研究が年に数回しかなく、日常的に授業がどうであるか語られない学校もよく見ます。こういう環境では、なかなか授業を改善していこうという気持ちにはなりません。当然目指す授業像や授業をみる視点が明確になっていないので、授業研究そのものも形式的で実効性のないものになりがちです。授業が大切であることを否定する学校はありません。そのことが学校として具体的な形となっていることが大切なのです。
互いに授業を見合う。個々の授業のよさを伝え合う。共通の目指す授業像をもとに、授業について日常的に語られる学校であることが、授業を大切にしようとする意識を持たせます。そのことが授業を改善する意欲につながり、結果として授業力がアップするのです。

もう1つは授業について相談できる相手や仲間が身近にいることです。
意欲があっても、教材研究のポイントや自分の授業に欠けている要素に気づくことは一人ではなかなか難しいものがあります。また、授業の欠点を指摘されても具体的な改善方法がわからなければ、どうしていいかわからず追い詰められるばかりです。どうすればいいのかを相談できる相手がいないと、成長どころかかえって落ち込んでしまいます。
授業に対して具体的にアドバイスしてくれる管理職や、教材研究などの相談ができる同僚がいることが、授業改善の意欲を授業力アップにつなげてくれるのです。

授業力に限らず、教師の力量がアップするためには学校の環境が大きく影響します。相談できずに悩んでいる、孤独な教師の数も増えているように思えます。どのような学校に赴任するかが、その後の教師人生に大きく影響します。若手教師に限らず、教員集団が育つ環境をどうつくっていくかは、管理職の大きな課題です。教員が育つための働きかけや仕掛けを工夫してほしいと思います。
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