子どもたちだけを見る授業参観

昨日訪問した学校では、若い先生方と一緒に授業を参観しました。暑い一日でしたが、子どもたちはとてもよく集中していました。とくに、子ども同士が関わりあう場面では、とてもよい表情がたくさん見られました。

今回は、校内を回りながら、教師の行動は一切見ないで、子どもたちの様子を中心に見ることにしました。教師を見ない授業参観は新鮮だったようです。

どんな場面で子どもたちの集中力が落ちるか?
参加できいない子が復活するのはどのような時か?
わからない子は、どのような行動をとるのか?
指名された後、子どもの様子はどのように変わるか?
教師が机間指導している時に子どもはどのような態度をとるのか?
同じ学級で、同じような活動場面でも子どもの集中度が違うのはなぜか?

こんな疑問を先生方と話をしながらの参観はとてもよい勉強になりました。先生方も自分の授業での子どもの様子はどうなのか、とても気になるようでした。
授業中に子どもを見ているつもりでも、意外に見ていないものです。今回の授業参観が今まで以上に子どもをしっかりと見るきっかけになってくれればと思いました。

また、授業後若い実技教科の先生2名の質問を受けました。
1学期の授業を振りかえって、授業の進め方に関して悩んでいることを具体的に相談していただけました。子どもたちにただ作業をさせるのではなく、考えたり、工夫したりして実習に取り組ませたいという、目指す授業像はとてもよいものでした。それだけに実際の自分の授業とのギャップがとても気になり、またどうしてよいかわからず苦しんでいるようでした。子どもの視点に立って授業の組み立てを考えることで、少し見通しが持てたのでしょう。明るい顔で席を立たれました。

この学校には、2学期もたくさん訪問しますが、若い先生方の授業がどのように進歩しているかとても楽しみです。

うれしい悲鳴

昨日は若手の先生方の授業のアドバイスを行いました。研修主任のお声掛けもあり、15名ほどの希望者がありうれしい悲鳴状態でした。

前回訪問した時は、先生と子どもたちの関係があまり良好でない印象でしたが、今回は子どもたちのよい表情をいろいろな場面で見ることができました。わずか1月ほどしかたっていませんが、子どもの変化は本当に早いものです。特に子ども同士が関わる場面を意図的に作っている学級では、子どもの笑顔をたくさん見ることができました。

先生方と授業後たくさんお話をする機会をいただきましたが、どの先生にも共通しているのが、授業に対する真剣な姿勢とそれ故に生まれるいろいろな悩みです。そんなお話を聞くことで私も大変勉強になりました。先生同士がそれぞれの課題や悩みを共有して、互いに助け合って解決していく、そんな学校になってほしいと強く思いました。

また、子どもたちにわからせたい、理解させたいという思いが強いためか、全体的に先生がしゃべりすぎる傾向にありました。大切なのは、子どもが自分たちで考えることです。そのためには、子どもが自然に考えるような発問、考えるための時間・量を確保することが必要です。先生の一方的な説明と子どもたちの作業だけで終わらない授業を目指してくれることを願って、アドバイスをさせてもらいました。

来週から夏休みです。若い先生方です。部活指導や2学期に向けての準備等で忙しいでしょうが、リフレッシュして一段とパワーアップした姿を秋には見せてくれることでしょう。

先輩が後輩を見守っている学校

昨日は、アドバイスを初めて足掛け3年になる学校を訪問しました。

ベテランの学年主任の授業は、子ども同士がしっかり学び合うとても素晴らしい授業でした。この先生が子ども同士の学び合いを意識した授業へとスタイルを変え始めてまだ2年目ですが、目を見張るほどの進歩が見られます。
よくベテランは変わらないと言われますが、ベテランが変わろうとした時は、蓄積したものがあるだけに、その進歩と変化のスピードは若い人以上です。自分に厳しい先生が、この日の授業に95点をつけられたことを、とてもうれしく思いました。
また、学年の運営の話で、子どもたちと先生の関係作りに力を入れている話になり、2年目、3年目の先生が安心して頼れる存在になっているとおっしゃっていました。この先生に若い先生のことをたずねると、しっかりと答えが返ってきます。日ごろから若い先生のことを気にかけているのでしょう。

7年目の先生の授業も、子どもたちが先生、友だちの言葉を本当に集中して聞く素晴らしいものでしたが、それ以上に、そんな子どもたちの姿に満足せず、ワークシートをどう使うかという次の課題を持って授業に臨んでいたことが立派だと思いました。
授業後、アドバイスをしている時に、サブとして入っている新任とのTTの授業についてのアドバイスを求められました。小規模の学校で、学ぶべき先輩がいない中で苦労をしてきたからでしょう。彼らの役に立ってあげたいという気持ちを感じました。

また、教頭先生が雑談の中で、「2年目の教師に私のネタが盗まれているんですよ」と嬉しそうに話していたのも印象的でした。

先輩が後輩をきちんと見守っている。後輩もそれに答えるように努力をしている。そんな雰囲気の中で、この学校の若い先生は急速に成長しています。この日授業を参観した新人の先生方も、来年にはきっと見違えるような授業を見せてくれることが期待できると思いました。

質問することの意味

昨日は研究会で、この秋の学会発表に関する検討を行いました。

私は授業評価に関する発表を行うのですが、その中で学び合いを意識した学校での授業評価項目の例を取り上げています。その項目に関して、熱心な校長先生から質問を受けました。
一つは「教師の声の大きさが適切か」という項目は保護者にとって評価しやすくまた大切なことであるから、入れてはどうかというものでした。

とてもよい質問です。実はこの項目は意図的に外しています。なぜなら、適切な声の大きさはとても判断が難しいからです。明るく、教室の端まで聞こえるような大きな声がよいと考える方が多いと思いますが、子どもに集中して聞かせるために、わざと声を低くして話す方法もあります。その学校が、その教師がどう考えるかで違ってくるのです。その項目がなくても声の大きさが適切でないと考える保護者がいれば、きっと自由記述欄に書いていただけると思います。それに答えることで、評価ができるのではないかと考えていると説明しました。

また、もう一つの質問が、「子ども同士の学び合いの場面があるか」に対して、自分の考えを持つことも大切なので、「一人で考える場面があるのか」も聞いてはどうかというものでした。これもよい質問です。一人で考える場面というのは大切ですが、考えられない子ども、見通しが持てない子どもにとってはすぐに集中力が切れてしまう場面です。そこで、あえて「一人で考えなさい」という時間をとらずに、最初からグループで活動する考え方もあります。だから、項目に入れていないと説明しました。

この校長先生は「自分が不勉強で」とおっしゃっていましたが、決して不勉強なわけではありません。評価項目を検討して自分ならどうするかを真剣に考えたから生まれた疑問です。質問は、前向きに学ぶ姿勢があるから起こるのです。しかもその質問は、私がこの評価項目に込めた思いに直結するものでした。まだ校長1年目の方ですが、この学校は間違いなくよい学校なっていくと思います。ぜひ一度訪問させてくださいとお願いしました。

学校間での学び合い

先週末は小学校で、熱心な若手3人の授業とベテランの授業研究を中心に参観しました。落ち着いた授業と明るい子どもたちの姿が印象的でした。

ベテランの授業研究には、この学校の先生が隣の学校に声をかけたところ2名の先生が参加されました。このことは特に若い先生にとっては大変意味のあることです。同じ市町の学校でも、子どもたちの気質は違いますし、学校の取り組みも異なっています。先日もある学校で若い先生に、このようにすれば子どもがしっかりと友だちの話を聞く姿が見られるようになると話をしたところ、そんな学校があるのですかと驚かれました。自分の学校だけ見ていてはわからないことがたくさんあるのです。

短い時間の検討会でしたが、子どもたちの様子をこの学校の先生とは違った視点で話してくれました。その観察報告をもとに、グループ活動において役割を決めるべきか、子どもの聞きあう姿勢をどのように作るかについて話をさせていただきました。
他の学校の先生も参加することで検討会の視野が広がり、授業からの学びの質は間違いなく向上します。

このように、授業研究に他校の先生が参加することが最近増えてきました。とてもよい傾向だと思います。しかし、残念ながら小中、中高の交流はまだまだ少ないようです。子どもたちがどのような授業を受けて入学してくるのか、卒業後どのような授業を受けるのか知ることは、今の授業を考えるよい機会を与えてくれます。学校間での学び合いが活発になるように願っています。

ベテランが伝えること

昨日は、ベテラン2名と若手1名の授業研究に参加しました。
子どもたちは明るく、よい姿をたくさん見せてくれました。

授業後、先生方とお話しさせていただいて印象に残ったのが、ベテランの方の今回の授業に対する姿勢でした。ベテランですからいつも通りの授業を見せれば無難に過ぎていきます。しかし、ベテランだからこそ新しいことにチャレンジして若い人に見てもらいたいと、今までとは違った教材を用意して臨まれました。
ベテランが伝えるべきものは、授業技術だけでなく、常に授業改善に前向きに取り組む姿勢そのものであると教えられました。
もう一人のベテランも、以前と比べると確実にそのスタイルが進化しています。
若手の先生も前向きにアドバイスを受け止めることができていますし、確実に進歩しています。
ベテランが授業に取り組む姿勢を伝え、若手がそれを学ぶことで、学校全体の授業改善への取り組みが進んでいくのだと実感しました。

ベテランのチャレンジ

昨日は、授業研究に参加してきました。ベテランの先生の音楽の授業でした。

新学習指導要領で「言語活動」がどの教科でも取り入れられていますが、そのことを強く意識されていました。

合唱でどのように表現したいかを子どもの言葉で発表させ、その言葉をキーワードに音楽表現を考えさせる。
そのことを意識して、ペアで練習する。音楽表現にこだわり、互いにアドバイスし合う。

子どもたちは、驚くほど一生懸命に取り組み、最後の合唱では、誰の目にも明らかにうまくなっていました。
ペアでは、声がしっかり出るように互いの距離を大きく取らせるなど、ベテランらしい細かい配慮も行き届いていました。

ベテランが新しいことにチャレンジした方が、もともと持っている引き出しが多いので、子どもの状況に細かく対応でき、よりよい授業となることが多いように思います。
授業研究の場で、ベテランが今まで培ったものをただ披露するのではなく、新しいことにチャレンジするということは、学校全体の活力アップにもつながります。

ベテランがチャレンジすることが、ベテランのよさを生かすことだと感じました。

授業後も先生の音楽の授業と子どもへの思い、次のチャレンジへの意欲たくさん聞かせていただきました。私自身がたくさんのことを学べた1日でした。

子どもを見ることから学ぶ

昨日は、市の中堅対象の研修会でコーディネーターを務めました。授業を参観してのグループでの検討を中心にしたものです。いろいろな市町や学校から研修をお願いされるのですが、講演は極力お断りして、授業を見ての勉強会を中心としたものを提案させていただいています。この市でもこういう形式で4年目となります。毎回新しいメンバーなのですが、私自身たくさんのことを学ばせていただいています。

学力も高く指示されたことをきちんとこなせる学級での授業でした。グループでの話し合いの後の発表の場面では、本当に多くの子どもが挙手をして発表してくれました。先生はどの子の発言にも否定的なことを言わず、受容的な姿勢で子どもと接していました。そのせいか、子どもたちのテンションも終始落ち着いていました。

授業後の参加者による検討会では、教師の発問や支援といったことよりも、子どもの事実をもとに話す姿たくさん見られました。

子どもたちは書く力はすごくある。けれど、グループの活動では、自分の書いたものを順番に発表するだけで、自分と反対の意見がでていてもそのまま互いに認めて議論にならない。なぜだろう?

非常にできる子が、客観的なことを書いていたが、グループの話し合いで他の子が主観的に書いているのを知って、書きなおしていた。グループにするとこんなことが起こるのだ。

個人の作業で手がつかなかった子が、グループになって友だちの発表を聞いてから、自分の考えを書き始めた。何を書いてよいのかよくわからなかったのが、友だちの発表で分かったのだろうか?

このような話がたくさんされていました。
発問や支援といった教師の行動に注目しても、この「教科」、この「単元」、この「学級」でしか通用しない話になってしまうことが多々あります。どの授業にでも通じることをそこから見つけて話し合うことはなかなか難しいものがあります。また、「自分はこのやり方をしない。自分ならこうする」と思った時点で学ぶことはなくなってしまいます。
それに対して、子どもの姿は、どの授業でも目にする可能性のあることがたくさんあります。その姿は明日の自分の授業でも起こりうることです。また、こういう話し合いをすると、自分の授業での子どもの様子が気になるようになります。そこから、授業の改善すべきところが見えてくるようになります。

授業を見る時は、教室の後ろから教師を見るのではなく、横や前に移動して子どもの姿もしっかり見てください。きっと多くのことを学べると思います。

子どもが積極的になるには

先週、学校訪問の研究授業と学校公開日の2回訪問した学校でのことです。

子どもの積極的な姿をいくつかの授業で見ることができました。

英語の授業でのことです。

教師がペンを子どもに渡す動作を見せて、子どもがその動作を英語で全員が説明する場面です。ペンを渡そうとする様子を見せて未来形、動作をしながら現在進行形、動作終えた後は過去形を使うのです。この間日本語は一切使いません。大人でも真剣に考えないと難しいのですが、子どもは集中して取り組んでいます。子どもが分からなくても、先生は絶対に正解を言いません。何回か先生が動作をするうちに分かった子ども声に出します。すぐに全員が大きな声で答えを言います。とても積極的な態度です。

先生やCDの後について全員が英語を話す場面では、これはほど積極的な姿は見られません。何が違うのでしょうか?

積極的になるには、興味・関心が大切だとよく言われます。また、興味・関心を維持するためには、分かること、できることが大切です。この例では、これにつけ加えて達成感の大きさが大きな要素となっているように思います。
同じ分かる、できるにしても、言われたことをそのままやるのと、一生懸命考えてクリアするのとでは達成感がまるで違います。分かった喜びの大きさの違いといってもよいでしょう。本当に真剣に考えて分かったので、そのあとの発声がとても大きなものになったのです。

子どもたちの積極性を引き出すには課題設定が大切です。子どもたちが一生懸命頑張ってちょうどクリアできるような課題設定はとても難しいのです。また、この課題を個別に取り組ませても、クリアできない子がたくさんになって、積極的になるどころかやる気をなくしてしまいます。
この例のもう一つのポイントは全員で取り組むことです。誰かが発声することで、それがヒントになります。仲間の声を聞くことで答えが分かってきます。友だちの声に支えられて自信を持って答えます。しかも、先生が正解と言わないので、自分たちでクリアした気持ちなります。

個別的な学習では、子どもを積極的にするにはスモールステップを意識しないと全員がクリアできません。学級全体やグループをうまく使って難しい課題にチャレンジすることも、子どもたちの積極性を引き出すにはとても有効な方法になることを再認識させられました。

参考:今回は紹介した英語の授業はGDMという授業法によるものです。

英語教授法研究会ホームページ

映像による紹介
School55.net映像コラム
「指導と評価のワンポイントアドバイス」

学校が落ち着くということ

先週末は、初めての訪問から3年目の学校で終日授業参観をしました。

初めて訪問した時は生徒指導面で大変な時期でしたが、そのころと比べて子どもたちはとても落ち着いて授業を受けていました。特に3年生は1年生の時と比べて見違えるほどよい表情を見せてくれました。先生方が子どもとの関係作りに非常に多くのエネルギーを注いだ結果だと思います。生徒指導で苦労していた時の様子はほとんど感じられません。普通の学校になっていました。

授業を参観していて、授業規律の失われているような学級はなく、指示も子どもにきちんと伝わっています。先生の表情も穏やかです。ただ、残念なのは先生の指示や説明が多く、子どもが受け身になっている時間が長いことです。生徒指導で苦しい時は授業規律を維持するだけでも多くのエネルギーを必要とします。子どもの積極的な活動時間を増やすことは、また、授業規律が緩むのではないかと不安に思うのでしょう。
しかし、学校が落ち着いている今だからこそ、教師と子ども、子ども同士の関わりあいを増やし、互いに認め合うことで子どもたちに自己有用感を持たせるチャンスなのです。子どもたちが学校で過ごす時間の大部分は授業です。その授業で子どもたちに自己有用感を持たせることが、生徒指導上も一番効果的なのです。

「表現力」「思考力」がこの学校の今年のキーワードです。全体会では、仲間や先生との関わりあいの中で、表現する、考える必然性を持たせる工夫をするようにお願いしてきました。先生方はきっと授業改善に向かって新たなチャレンジをしてくださることでしょう。
次に訪問する時が楽しみです。

学校が落ち着くということはゴールではなく、次のステップへのスタートだと思います。

基本がしっかりできていること

昨日は、4年目の小学校の先生の授業を参観しました。

昨年まで大変な学年で、授業中歩きまわっていた子が何人もいると事前に聞かされていました。ところが、見てみると授業規律が確立した、やる気のある子どもたちです。目を凝らして見るのですが、どの子が去年苦労した子かわかりません。

特に印象に残るのが、教師の表情や話し方です。終始にこやかで、教室の隅々までしっかりと指示が届く落ち着いた話し方です。そのおかげで、子どもは安心して授業に参加しています。また、教師が子どもの言葉を聞く姿勢も受容的で、当然教師と子どもの関係も良好です。教材や発問など、授業で考えるべきことはたくさんありますが、このような基本がしっかりできてからのことです。
授業後は、教材や発問、子どもへのせまり方などたくさんの話をすることができました。

若い先生への期待

昨日は、要請訪問の研究授業の参観に出かけてきました。

午前中は、若い先生方と一緒に校内の授業を参観しながら、授業を見る視点と簡単なアドバイスをしました。
感じたことは、一人ひとり授業に真剣に取り組んでいることと、その一方では、いろいろな悩みを抱えていることです。
目の前で起きている子どもたちの事実はわかっても、どうしていいかわからない苦しさを感じました。若い先生方は、こんな基本的なことを相談するわけにはいかないと思っているのかもしれません
「こういう方法もあるよ」というちょっとしたアドバイスにも、みなさん素直にうなずいてくれました。

自分は分かっているからと友だちの発言に関心を示さない子に対して、何もかも先生が説明するのではなく、分かっている子どもに説明させたらいいというアドバイスをしたところ、参加した中の一人から早速4時間目にやってみましたと報告を受けました。
まだ復習の場面ですがと言いながら、分からない子に2人の子が説明することで、分かってくれたとうれしそうに話してくれました。その明るい笑顔に私もとても幸せな気分になりました。すぐに試してみる行動力が、若い人の強さだと感じました。

研究授業は、新任と2年目の先生の授業でしたが、子どもたちとの基本的な関係ができていることを感じさせてくれるものでした。
授業後2人にこういうことができるようになってほしいことをいくつか話をし、最後に、明日からでもできそうなこと、やりたいことを聞かせてもらいました。
1人は、「Iメッセージでほめたい」、もう1人は「ほめる場面をつくって、ちょっとしたことでもほめてあげたい」と答えてくれました。
2人とも子どもとの基本的な関係をつくる「ほめること」を選んでくれたことをとてもうれしく思いました。また、一言も言わなかった「ほめる場面をつくる」ことを気づいたことに大変驚きました。「ほめる」ためには、「意図して」ほめる場面をつくることが大切です。これに気づけるのですから、間違いなく今後力をつけていくと思います。

若い先生は未熟な面が多いことは確かです。しかし、素直に伸びようとする気持ちがあれば、急速に進歩します。彼らにちょっとしたアドバイスや励ましの言葉をかけることでその進歩をより確実なものにすることができます。素直で行動力のある彼らが、この学校をより素晴らしい学校にする原動力になってくれるものと期待します。

子どもが見えるようになるということ

昨日は、3年目の先生の授業のアドバイスをおこないました。
学校訪問での授業研究のための音楽の検証授業です。

合唱をどのように工夫して歌うかを、子どもたちにグループで考えさせるという、この先生が今までやったことがない形にチャレンジしていました。
子どもたちはそれなりに話し合うのですが、1時間終わってみると音楽活動が少ない、国語の授業のようになってしまいました。

授業後いろいろ話をしながら、この授業をどう変えるかということを尋ねたところ、グループ活動の一部分をバッサリ切って、実際にグループで歌いながらどこに強弱をつけようか、どのように表現しようかと話し合わせるようにしたいとすぐに返事が返ってきました。自分の授業で起こっていることをしっかり見て把握していたので、修正の方向がすぐに打ち出せたのです。

自分の授業は自分で直接見ることはできません。子どもたちの様子からしか評価できません。この先生は授業中の子どもの様子をしっかり見ることができるようになり、子どもたちの様子から自分の授業を評価できるようになっていたのです。

特別な1時間の授業がよかった悪かったと指摘されて授業はうまくなるのではありません。毎日の授業をきちんと自身で評価し、自分の力で学ぶことが大切です。そのための条件の一つが、子どもが見えるようになることです。毎日子どもが見せる評価を受け止めることが、何より大切なのです。

この先生の成長を喜ぶとともに、次回授業を見せていただくのが本当に楽しみになりました。

子どもの姿に感動

昨年よりお手伝いさせていただいている学校の授業研究に参加しました。
若手の社会科の授業でしたが、子どもたちは素晴らしい姿を見せてくれました。

子どもたちはとても柔らかい表情で、1時間集中を切らさず授業に参加していました。話し合いや発表では常に教科書や資料集のどの部分を根拠としているかを明確にし、それを聞いた子どもは、全員すぐにその部分を確認していました。これはその日だけやろうとしてもできることではありません。日ごろからきちんと子どもたちを育てている証拠です。

圧巻は、2度目のグループでの話し合いの場面でした。2つ目の資料に対して、子どもに直感で「イエス」「ノー」を確認したころ大きくわかれました。これだけ育っている子どもたちです。それを受けての話し合いは当然すぐに活発なものになると予想されます。ところがほとんどのグループで話し合いが起こりません。みんな集中して教科書と資料集を真剣に調べているのです。直感ではなく根拠を持って話し合おうという姿勢の表れです。根拠を持つことが徹底されていると感じました。

この子どもたちの姿は、この先生一人が作り上げたものではありません。参観されていた先生も一人ひとりの子どもをしっかりと見ていて、授業検討会も子どもの固有名詞がたくさん出てくる充実したものです。学年や学校全体がこのような姿勢で取り組んでいるからこそ、子どもたちをが育っているのです。
とても素敵な子どもたちと先生方のおかげで、充実した時間を過ごさせていただきました。

子どもをつなげるために

昨日訪問した学校で、ある先生から国語の授業の相談を受けました。
授業研究のテーマが「つなぐ」ということなのですが、子ども同士をどうやってつなごうかという相談でした。

この先生は、「子どもが友だちの発言を受けて、自分の考えをつなげていく」ことが受け持っている子どもたちには難しいと感じていたようです。そこで、子ども同士のつながりは教師がつないでいくことから始めればよいことをお話しさせていただきました。

例えば、主人公の気持ちを読み取るという課題であれば、子どもに本文のどこでそう思ったかを聞きます。根拠を本文に求めることで、子どもと教材をつなぐのです。
このあと、子どもの根拠と子どもの意見で子ども同士をつなぎます。

「Aさんはこの表現から、○○と考えたんだけど、同じところに注目した人いる」
「じゃあBさんは、この表現からどう考えたか聞かせてくれる」
「○○です」
「Aさんどう思う」
「わたしと似ている」
「Cさんはどう考えた」
「○○です」
「この意見はどうかな」
「Aさん、Bさんとはちょっと違うね」
「では、Cさんと同じ意見の人はいるかな。注目した表現は違ってもいいよ」
「Dさんの考えを言ってくれるかな」
「○○です」
「なるほどCさんの意見と同じだね。どこの表現からそう考えたの」
「○○という表現です」

このように、根拠とその意見次々につなぐことで、自然に子ども同士がつながっていきます。こういう形でつながることを経験していくと、この先生が望むような「友だちの意見につなげて自分の意見を言う」子どもが育っていくと思います。

授業研究参観

昨日は、学びの共同体のスーパバイザーをされている先生のアドバイスの様子を勉強させていただきました。

何度か見学をさせていただいている学校でしたので、どのようなアドバイスになるか大変興味を持って参加しました。
授業研究以外にも2時間校内を見学させていただきましたが、どの教室も落ち着いた雰囲気でした。
検討会では、先生方のグループでの話し合いの様子から、人間関係がとてもよい学校だと感じました。
スーパーバイザーの先生のアドバイスは、授業中にご自分で撮ったビデオを見せながらのもので、事実をもとにした説得力のあるものでした。
校内見学についてのコメントは、基本的なことに絞って列挙されました。おそらく、これを全部やれということではなく、まずこの中から納得できるものから手をつけてくださいというメッセージだと思います。
久しぶりにお会いして勉強させていただくとともに、楽しい時間を過ごさせていただきました。

授業研究に参加

昨日は、授業研究に参加してきました。

3・4時間目に学校全体の様子を見ました。3時間目の授業を見た時、何か違うと感じました。4月に見た時と比べて子どもの集中力が落ちているのです。ところが4時間目はさほどではありません。最後に見た学級では、集中できていない場面から、教師の働きかけで一気に子どもがすごい集中力を発揮する場面を見せてくれました。
どうやら子どもたちの集中力がなくなったのではなく、授業の場面によって集中するしないがはっきりするようになってきたようです。
具体的には、教師の話が続くような受け身の場面では集中力が極端に落ちていきます。そのかわり、課題に対して自分たちが考えたり活動する場面では、素晴らしい集中力を発揮もします。授業に対する評価をその態度で表明していると言ってよいのかもしれません。

授業研究での協議会では、子どもの固有名詞がたくさん出てくる、子どもの事実に基づく話し合いで、大変勉強になりました。その際、この学校の子どもたちの特性として、「具体的な結果が出ないとすぐにやる気をなくしてしまう」ということが話題になりました。

何をやるべきかを具体的にする。
(すぐには結果はでないので)ゴールまでの時間を意識させる。
(中間目標を設定して、「あとどれだけ」ではなく、「ここまできた」と)できたことを評価する。

このような話をさせていただきました。

学校訪問参観

昨日は学校訪問の公開授業、授業研究を終日参観させていただきました。
この学校に関わらせていただいて1年が立ちます。自分の目で見た子どもたちの様子の変化を、訪問された指導主事の皆さんがどのように評価されるか大変楽しみでした。

昨年に引き続き訪問された指導主事の方は、気になっていた学年の子どもたちの雰囲気がとてもよくなっていると喜んでおられました。
また、教師のかかわり方はどうあるべきかを知り合いの指導主事と子どもたちの姿をもとにお話しする機会があり、大変勉強になりました。

授業研究は、子どもたちの授業に集中している姿、友だちとかかわり合いながら活動する姿などが随所に見られました。先生方の日ごろの子どもたちへの指導の素晴らしさを示すものです。

指導主事の講評でも先生方の頑張りと子どもたちの進歩を評価され、私もとても幸せな気持ちになれた1日でした。

読売教師力アップセミナー打ち合わせ

昨晩は読売教師力アップセミナーの模擬授業予定者を交えての打ち合わせでした。
今回のテーマ「キャリア教育」をどう授業として実現するかについて、意見の交換を中心に話し合いました。

そもそもキャリア教育って子どもがどうなればいいの?
授業の最後に子どもが何と言えばいいのか?
・・・

まさに、授業がいかにしてつくられるかという上質のドキュメンタリーを見ているようでした。この部分を当日のパネルディスカッションで再現できるよう頑張りたいと思います。

さすがは授業名人

昨日は3名の授業名人の授業を参観させていただきました。そのうちお二方は、若手が作った指導案での授業という制約の中でのものでした。

内容的に盛りだくさんだった指導案に対しては、子どもとのやり取りと教えるところをきちんと整理されて時間内できちんと内容を押さえられていました。

子どもとのやり取りを大切にされた授業では、子どもからの発言をしっかり受け止め、必ずポジティブな評価を返されていました。印象的だったのは、演示を見るために生徒が集まったときのことです。前列の生徒が後ろに気遣って自主的にしゃがみました。そこですかさず「かしこいね」とほめられたのです。こういった他者への気配りに対してほめることは、生活指導面でとてもよい影響を及ぼします。授業で生活指導をするということをいたるところで具現化されていた授業でした。

最後に見せていただいた授業は、子どもに自己評価を意識させ、集中して取り組ませる素晴らしいものでした。技術系の授業で互いにかかわりながら学ぶとはどういうことかを学ばせていただきました。

このような機会を与えていただいた学校にも本当に感謝です。

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