私学で授業見学

昨日は私立の中高等学校で授業を見学してきました。お昼を挟んで2時間ずつ子どもたちのようすを見せていただきました。全体的な印象は子どもの声がほとんど聞こえないことです。先生から答えが出ることを待っています。子どもとのやり取りも基本一問一答です。教師の都合で授業が進んでいます。子どもたちが考えている場面がないのです。子どもたちはおしゃべりもせずに静かにしていますが、集中はしていませんでした。午後になると、受け身に疲れたのか倒れている生徒も目立っていました。このことを誰よりも校長がよく理解しています。どのようにして授業を改善していくかが課題です。

教科指導部の主任の先生と多くの時間一緒に回らせていただきました。子どもたちとのコミュニケーションを大切にしたい、知的な喜びを感じさせたいという強い思いを持っている方です。自身の授業に対する改善意欲もとても旺盛です。客観的に子どもたちの様子をもとにその原因や対応について話をしていても、自分の授業に引き寄せて反省をされたり、どうすればよいか具体的に質問をしたりしていただけました。最初にこのような前向きな先生に出会えたことはとても幸運でした。こういった先生方がいらっしゃるのであれば、きっと学校がよい方向に変わっていくと思います。副主任の先生や若手の先生とも一緒に回りましたが、共通しているのはとても素直なことです。若手の先生は、子どもたちの様子を外から見ることで、初めて教壇に立ったころは子どもが聞く態勢を取ってから話すことを意識していたのに、今はその基本をおざなりしていることを素直に認めてくれました。私の話もしっかりとメモして活かそうとしていました。きっと成長されることと思います。

また、自主的に公開授業をおこなっている先生もいました。グループを活用した授業に挑戦されています。授業で目指す子どもの姿が明確になれば、とても素晴らしいものになっていくと感じました。自主的なものにもかかわらず、何人もの先生が参観していました。この雰囲気を学校全体に広げることができれば大きな力になっていくと思います。

一緒に授業を見た先生方と話をさせていただいて感じた課題は、この学校の目指す子ども像、授業像が全員で共有されていないことです。もっと言うと多くの先生方が子どもたちの力、可能性を信じていないことです。そのため、考えさせることよりもやらせることに力点がいっています。子どもが笑顔で自ら学ぼうとすることよりも、静かに聞いていれば十分だと思っているのです。子どもを認める場面もありません。そもそも子どもに出力することを求めていないのですから当然です。具体的な方策はいくつもありますが、先生方の意識を変えてもらうことが先決です。まずは、教科指導部の先生方全員で課題を共有し目指す姿を明確にすることから始めたいと校長に提案しました。ゴールデンウィーク中になりますが、次回はできるだけ多くの教科指導部の先生と一緒に授業を見て、その上で部会を開いていただき、話を聞かせていただきたいと考えています。

この学校の子どもたちが持っている可能性はとても高いと感じました。特に1年生は、中学生も高校生もその様子から、学びたい、わかりたいという意欲が伝わってきます。まだまだこの学校での取り組みは始まったばかりですが、今後の展開がとても楽しみになっています。子どもたちの可能性を引き出せるようできる限り先生方のお手伝いをしたいと思います。
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