授業参観と現職教育の打ち合わせ

先週末は、中学校で授業参観と打ち合わせをおこなってきました。夏休みに依頼されている現職教育に向けて、子どもたちの様子を見せていただきました。

2時間かけて校長とともにほぼ全教室を回りました。子どもは落ち着いていました。作業などもしっかりこなしますが、子どもが活躍する場面が少ないように感じました。言い換えればほとんど教師がしゃべっているのです。私は日ごろ、教師は子どもが一言発言するとその3倍〜5倍しゃべると言っているのですが、10倍くらいしゃべっている教師も目にしました。子どもたちに「説明したでしょ」と言うためのアリバイ作りの授業のように感じます。説明したことを子どもたちが理解したかどうかを確認する場面も少ないように感じました。教師がしゃべって終わりの「(言い)ぱなし」の授業です。
全体的に子どもは積極的に挙手をしません。挙手をして発言することに価値を感じていないようです。友だちの発言を聞くことはもとより、教師の説明よりも板書を写すことを優先します。旧態依然とした、試験対策的な問題の解き方を教えている授業も目にします。結果を教えることはしますが、わかる、できるようになる過程が授業の中に組み込まれていません。わかった子ども、発言する子どもだけで進んでいく授業です。
とはいえ、教師と子どもの人間関係は決して悪くはありません。よいと言ってもいいでしょう。ただ、その関係は授業の中でつくられたものではなさそうです。行事や学級経営を通じてつくられたようなのです。授業中に教師が子どもの外化を受容することや評価する場面が少ないのです。そんな中で、印象的な場面がありました。子どもたちの姿勢がバラバラで集中力に欠けている授業が多い中、同じ姿勢でしっかりと教師の話を聞いているのです。授業者の話し方が上手いこともあるのですが、終始笑顔で子どもたちに接していることが影響しているようです。また、子どもたちの表情が非常によい授業が2つありました。共通していることは、授業者が子どもに対して「ありがとう」という言葉を使っていることです。とても面白いことです。
子どもたちがよい姿を見せる場面に出会えたということは、この学校の課題は、子どもたちの問題というより、教師の問題だと言えるでしょう。教師が子どもたちに求めているものが、落ち着いて席につき、板書を写し、指示された作業をこなすこと。そのように感じられることに原因があると思います。子どもたちは教師が求めれば応えてくれるはずです。学校としての目指す子ども像はあるのですが、それを個々の教師が具体化できていない、教師間で共有できていない。そこも問題と感じました。

授業参観の後お話をうかがったところ、最近までどちらかと言えば荒れた学校だったようです。子どもとの人間関係をつくりながらここまで落ち着いた学校にしていったようです。そういう意味では、先生方にとっては落ち着いて授業できれば、とりあえず合格点なのかもしれません。
校長はじめ、4役は授業の問題点を理解しているようでした。今後どのようにして授業を変えていくかという戦略を立てることが課題です。夏休みの現職教育は、授業を変えるためのきっかけにすぎません。どう活かすかを考えることが必要です。校長、教務主任とともに現職教育の持ち方を考えました。一般論になりやすい講演形式では、なかなか実感を持っていただけません。とはいえ、夏休みなので実際の授業を元にお話することもできません。そこで、代表者2名による模擬授業を実施し、それを元に具体的な場面で学び合おうということになりました。授業を見る視点は「聞く」を中心にします。「教師が子どもの発言を聞く」「子どもが教師の説明を聞く」「子どもが子どもの言葉を聞く」こういう視点です。

学校経営に対する明確な方向性と決定する意思を持った校長でした。参考になることをたくさん聞くことができました。いつも言っていることですが、私の話やアドバイスは単なるきっかけにすぎません。そこからどのように学校を変えていくかは、校長以下4役の仕事です。2学期以降、どのように進めていくか、しっかりと戦略を練られることと思います。私も当日、少しでも皆さんの意識が変わるような働きかけができればと思っています。どのような模擬授業と先生方の姿に出会えるのか、今からとても楽しみです。
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