中学校で4月に意識してほしいことをお話しする

4月末に中学校で授業参観と講話を行いました。初めて訪問する学校で、全部で6回訪問の予定です。今回は、4月のこの時期に必要な授業規律を中心にお話させていただきました。私は、学校から講話をお願いされた時、原則として授業を見せていただいた上でお話することにしています。今回も細かい内容は、講話に先立って参観した学校の様子を元に決めました。

学校は全体的に落ち着いています。子どもたちと先生方の関係もよいように思いました。
授業中にたくさんの笑顔がある先生、子どもたちときちんとアイコンタクトをとって授業を進めている先生、子どももたちを活躍させようとする先生、と素敵な先生がたくさんいらっしゃいますが、学校全体としてそういったよいところが共有されていないようで残念でした。
授業規律という面では、子どもの顔が全員上がっていないのに話し始める、前の指示を全員完了していないのに次の指示をするといったように、徹底するという視点が弱いように感じました。また、一問一答が多く、子どもたちの発言をつないだり価値付けしたりする場面も少ないように思いました。

そこで私からは、どんな姿が見たいのかできるだけに具体的にすることをお願いしました。どのような場面でどうあってほしいのかを意識して、具体的に子どもたちに伝えることです。そして、それができるまできちんと指導を続けることです。指導といってもできないことを注意することではありません。ほんの少しでもできたことを認めてほめる姿勢が大切です。一人でもできれば、そのことを認め、ほめることで他の子どもを真似しようと思います。まねをした子どももすかさずほめれば自然によい行動が広がっていきます、授業規律は特にこの発想が大切です。

また、安心安全な学級をつくっていただくことも強くお願いしました。間違えた発言や失敗してもバカにされない、笑われない学級です。まず、先生が子どもの発言をよく聞き、笑顔で頷き、どんな答や考えでも「なるほど」と受容することです。間違えても大丈夫だということを子どもたちに実感させるのです。その上で、今の意見をどう思ったか、納得したかといったことを他の子どもに問いかけ、仲間に認められる、価値付けしてもらう場面をつくるのです。
大前提として、子どもが自分の考えを外化する場面がなければこういった対応はできません。一問一答ではなく、授業者の発言量を減らし子どもの発言の機会を増やすことが必要です。また、「わかった人?」と聞けばわかった子どもしか発言できません。「困っていることない?」と困っている子どもに寄り添うことで、「困っていることを聞けばいい」「わからないことをみんなと考えることで授業に参加できる」と気づかせることができます。全員が参加できる授業を目指してほしいと思います。
間違っても笑われない学級を目指すと言いましたが、理想は間違いを笑い飛ばせる学級です。そんな学級、授業を目指していただきたいと伝えました。

次回は若手を中心に、個別にアドバイスをさせていただきます。どのようなことを意識して授業に取り組んでいただけるのかが楽しみです。
この訪問の翌日、教務主任から「困っている子どもが発言できる授業を目指したい」「自分自身の意識を変えたい」「間違いを笑い飛ばせる学級を目指したい」など前向きな声を聞いたと、うれしいメールをいただきました。この学校の子どもたちの持つポテンシャルは高いと思います。先生方の接し方で大きく変化するはずです。今後子どもたちがどのような姿を見せてくれるのかとても楽しみです。
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