第2回授業深掘りセミナー(その3)

前回の日記の続きです。

今回の「教育情報知っ得!コーナー」は私の担当です。「反転授業」について参加者の皆さんと一緒に考えさせていただきました。
最初に「反転授業」という言葉を知っているか会場にたずねたところ、意外と少なく2/3に満たないほどでした。そこで少していねいに「反転授業」の定義を説明しました。その上で、「反転授業」は効果がありそうか皆さんに考えてもらいました。
子どもが喜んで予習してくれて、効果のある動画が用意できればこれは魅力的だと思えます。しかし、それは誰が準備してくれるのでしょうか?先生方につくれというのでは負担は半端ありません。これが大きな問題です。また、全員が予習をしていればいいのですが、してこなかった子どもがいた時にはどうすればいいのでしょうか?もう一つ、子どもたちが事前に予習をして公式や基礎知識を学んできたとすれば、今まで授業でやっていたことのかなりの部分を既に学習していることになります。その時、何を授業でやればいいのでしょうか?事前に学習したことを活かした活動を行わなければ意味はありません。それは具体的にどのようなことでしょうか?
このような疑問や問題点が見えてきます。

具体的な授業場面で考えていただきました。
台形の面積の求め方を従来の授業でやるとすると、紙を切ったりといった活動をして考える時間を取り、どのように考えたかを発表するといった流れになると思います。一方、CGなどを使った動画を見て子どもたちが予習をしてくると、学習してきたことをもとに求め方の説明をするといった活動や演習で定着させる時間になると思います。前者は子どもたちが自分で求め方を考えることが主になり、後者は教えられた知識を伝えたり定着させたりするものになっています。どちらがよいとかではなく、子どもたちにつくであろう力が違ってきます。

今すぐに「反転授業」が普及するとは思えませんが、いくつかの条件をクリアすればよりよい授業につながる可能性はあると思います。
魅力的な動画がつくられて、子どもたちがそれを見てくれるのであれば、学習時間が増えるだけでも効果があると思います。しかし、それだけではもったいないと思います。これからの子どもたちに求められる資質や能力は、単に知識を獲得し、それを説明したり、定着させたりすることではないはずです。友だちとかかわり合いながら、より考えを深め、問題解決をする力をつけることが求められると思います。
子どもたちが「疑問を持ったり、課題を見つけたりする」「自分の考えを伝えたい、友だちの考えを聞きたいと思う」ような動画が用意されることで、学校ではその子どもたちの疑問や課題、聞き合いたいという意欲を活かして、学びを深めるような授業が実現できると思います。この条件を満たすような動画やソフトがこれから少しずつ蓄積されてくるのではないかと期待しています。この時、教師に求められる力は、今までとはずいぶん変わってくると思います。アクティブラーニングを行う時に求められる力と近いものがあるように感じています。

第2回授業深掘りセミナーも盛況のうちに終わりました。参加された方も私たちと一緒にたくさんのことを考え、学ばれたことと思います。次回は、国語と理科の提案授業を深掘りする予定です。まだ定員には達していませんので、興味のある方はお早目に申込みをお願いします(申込みはこちらから)。
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