活動の目標と評価が大切

昨日の日記の続きです。

3年生の国語は同音の漢字の使い分けの練習の場面でした。
落ち着きのない子どもや気を使う必要のある子どもがちょっと多いように感じました。なかなか大変そうな学級に見えますが、授業者は子どもをよく見て対応できていると思いました。
最初に漢字の復習をデジタルのフラッシュカードを使って行います。フラッシュカードを子どもと一緒に見ている先生をよく見かけるのですが、授業者はチラリと画面を確認するとすぐに子どもに視線を写します。上手に活用していると思います。なかなか集中できない子どもがいますが、授業者は叱るのではなく受容的な声をかけます。こういった姿勢で子どもに対することで、この学級のよい状況がつくられていると思います。なかなか顔が上がらない子どももいます。授業に参加していないように見えるので、声かけが必要ではないかと思いました。しかし、作業が指示されるとすぐに反応して行動します。授業者は個々の特性をよく理解していると思いました。

「人形にはなをつける」の例文の「はな」にどんな漢字が当てはまるか考えさせます。絵と対応をつけながら、漢字で書くことで意味が明確になることを示します。集中が続かない子どももいるのですが、授業者は要所要所でしっかりと引きつけることができています。
同じ読み方の漢字を使った漢字クイズをつくることがこの日の課題です。「はがきれいだ」を例にしてクイズのつくり方を説明します。まず、「は」にどんな漢字が当てはまるか絵を見て考えさせた後、「歯」「葉」の漢字の違いがわかる文章をつくることを例文で説明します。授業者の示す例文は最後が「……、歯がきれいだ」「……、葉がきれいだ」となっていました。子どもたちにも同じような文章をつくらせます。子どもたちは「歯」、「葉」を使った文章を工夫してつくります。授業者は文章の最後を「歯がきれいだ」「葉がきれいだ」で統一することを伝えたつもりでしたが、子どもたちがつくった文章は、この条件を満たしていないものがほとんどでした。「最後は同じ『はがきれいだ』で終わるようにつくるんだよ。どちらの『は』か区別がつくような文章にしてね」と押さえておきたいところでした。「クイズは最後を同じ文にして、どんな漢字になるのかをあててもらえるような文章にするんだよ」とクイズのイメージと合わせて伝えるとよかったと思います。

子どもたちにクイズをつくる作業をさせます。授業者は机間指導をしますが、目の前の子どもばかりを見てしまうので、全体の様子が見えません。助けが必要な子どもや、集中力の切れている子どもに気づけません。常に全体を見ることを意識してほしいと思います。また、せっかく机間指導をするのであれば、ただ黙って見ているのではなく、「ここがいいね」「面白い問題だね。もっとつくれるかな」とよいところに○をつけたり声をかけたりしてほしいと思います。
漢字に置き換えるところには線を引くように指示をしたのですが、忘れている子どもが目立ちます。こういった指示は、教室にディスプレイがあるのですから、作業中はそこに映しておくといったことをしてもよいでしょう。
授業者は「線、引いてありますか?」と子どもたちに問いかけますが、子どもたちの反応はあまりありません。何度か聞き、また個別に引いているか確認をします。子どもたちに徹底することを意識できているのはよいことです。
問題ができた子どもには、「2つ目をやって」と指示をするのですが、子どもはなかなか動きません。集中力を失くしています。一度切れた集中力はなかなか戻りにくいものです。活動を始める前に、指示をしておきたいところでした。また、2つ目をやることことに価値を持たせることも大切です。たくさんつくれたら、それを評価することが必要なのです。「いくつできるかな?」と数を意識させ、いくつできたのかを確認する場面をつくるといったことをするとよいでしょう。

授業者が説明をしようとしている時に、しきりに声を出して注意を引こうとする子どもがいます。授業者は上手にそれを無視していました。よい対応ですが、子どもがあきらめて静かにした時に、ちょっと目線を送って「それでいいんだよ」と笑顔でうなずいてあげたいところでした。「先生は君のことはちゃんと見守っているよ。だけどさっきはしゃべる時じゃなかったから、相手をしなかったんだよ」というメッセージを伝えるのです。

続いてペアで問題を出し合います。進め方について指示を出したあと、わかったかどうかを挙手で確認します。よいことですが、なんとなく挙手する子どももいるので、できれば指名して言葉で確認したいところです。
机が離れたままペア活動をしていることが気になります。きちんと机をつけて子ども同士の距離を縮めたいところです。

ペアでの活動の後に、「全体でやりたい人?」と聞くと、子どもたちのテンションが上がります。クイズをつくることが目標になっていて、中身に対する評価基準がありません。そのため、子どもたちのテンションが上がりやすいのです。「ペアの人の問題がよかったと思った人」とペアに推薦させるというやり方もあります。その時、どこがよかったかを聞くようにします。日ごろから、ペア活動をこのようなパターンにすれば、子どもたちに評価を意識させることができます。

全体として見れば、よく子どもたちをコントロールできています。直接の指示を子どもたちに徹底することはできています。次は子どもたちが集中して活動するような、課題の与え方や活動内容を工夫してほしいと思います。テンションが上がって楽しいではなく、わかった、できたから楽しいという授業にするためには、目標とその評価が大切です。このことを意識すると、子どもたちの様子も変わってくると思います。

市内の他の学校と同じく、この学校も子どもと先生の関係は良好だと思います。子どもが授業に前に向きに取り組んでくれるからこそ、その内容が問われることになります。子どもとの関係がよければ、工夫が活かされやすいはずです。このことを意識して授業に取り組んでほしいと思います。
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