意識しないと子どもの集中は緩む

昨日の日記の続きです。

2年生の国語は反対の意味の言葉を考える授業でした。
前時の復習で「覚えていますか?」といった問いかけに対して、子どもたちは「はい」と大きな声で答えます。元気のよい学級ですが、ちょっとテンションが高すぎることが気になります。もう少し、テンションを下げるようにしたいところです。
ディスプレイに子どもの絵を表示して、「帽子を脱ぐ」「服を脱ぐ」「ズボンを脱ぐ」「靴を脱ぐ」と動作をしながら、「脱ぐ」の反対の意味の言葉を考えさせます。全員に一斉に答えさせるか、指名した子どもとの一問一答で進めていきます。一斉に答えさせる場合、注意して見ないと、全員が元気よく答えているように見えても、中には口の開いていない子どもや自信がなくてまわりに合わせて口を開く子どもがいます。いつも一問一答だと、指名した子ども以外は自分には関係ないと集中力を失くすことがあります。子どもたちの集中力を切らさないためには、同じ答でよいので何人もテンポよく指名して答えさせるといったことも必要です。
授業者は発言者を笑顔で見守り、しっかりと受容しています。子どもとの関係がよい理由がわかります。しかし、発言者しか見ていないので、集中力を失くしている子どもがいても気づけません。子どもたちの集中力が落ちて緩む場面がよくあります。全員参加を意識して、子どもたち全体の様子をよく見ることが大切です。授業者と子どもたちの関係がよいので、集中力が切れていることに気づければ、声をかけたり活動を指示したりすれば、すぐに集中を取り戻すことができるはずです。

反対の意味の言葉はどういうものか、簡単な例で説明して終わってしまいます。せっかく、同じ「脱ぐ」でもコンテキストで反対の言葉が「かぶる」「着る」「はく」と変わることをやったのですから、そのことをもう少しきちんと確認したいところでした。また、「否定」をしっかりと押さえずに進めたことも問題です。この後、紙を配って反対の言葉を書かせましたが、反対の言葉と否定が混乱している子どもがたくさんでてきました。

子どもたちに紙を持たせて前で発表させます。言葉しか書かれていないので、どうしてその言葉が反対の意味なのかわからないものも出てきます。それに対して子どもたちから質問を出させて説明をさせます。説明を聞いて納得すれば、子どもたちはなるほどいった反応をしてくれます。日ごろからこういった説明をする機会が多いのでしょう。どの子どもも、思った以上によく説明ができると感心しました。
「赤と青」では、磁石のN極とS極の色という説明です。子どもたちの発想は面白いものです。「赤と青」を、信号を使って説明しようとする意見が出ました。赤は止まれで青は進めだからというのですが、言葉が上手く出てきません。その時「さっきのとつなげればいいんだよ」と声をかける子どもがいました。よい雰囲気の学級だと感じました。
子どもの考えた言葉は、名詞が比較的多いのですが、コンテキストを意識させると説明しやすかったのではないかと思います。「信号の青、信号の赤」「友だちに話す、友だちに聞く」というように句や短文をつくらせるとよかったかもしれません。
「現金と借金」「木と鉄」といったものも出てきます。間違いにも思えるのですが、子どもの説明を聞くとあながち間違いとも言えません。「現金で払うのと借金をする」「木は燃える、鉄は燃えない」といった子どもの発言を聞くと、なるほどと思います。子どもは「掛売り」といった言葉を知らないので「借金」と言ったのですが、こういった言葉を教えるべきかどうかは迷うところです。また、「木と鉄」では、授業者が「木の船」「鉄の船」といった言葉を出して助けてもよかったかもしれません。

反対の意味の言葉が一対一にならないこともよくあります。反対の意味の言葉を隠して、他の子どもたちに答を予想させるといったやり方も面白かったかもしれません。いろいろな反対の意味の言葉を見つけることで、子どもたちの言葉に対する感覚を磨くことができると思います。

授業者は子どもの考えを否定せずに受け止めますが、「読む」「読まない」いった否定と混乱しているものを修正しませんでした。国語の授業としては問題があるように思います。最初の「脱ぐ」を使った活動の場面で、帽子を脱ぐ動作をした後、「この反対は?」と、反対の動作をさせるとよかったでしょう。その動作に対して、「この動作を何という?」と問いかけて「かぶる」を出させるのです。動作をしながら「脱ぐ」「かぶる」を繰り返した後、「脱ぐ」「脱がない」を動作化すると、「脱がない」が反対の動作ではないことがわかると思います。ここで、「否定」という言葉を教えておくと混乱は少なかったと思います。

授業者は、笑顔で子どもたちを受容することができます。授業規律も、そのことを意識している場面ではきちんとしています。「全員参加を意識して、常に子どもたち全体の様子を見ること」「子どもの発言を切り返して深めたり、子ども同士をつなげたりかかわらせたりすること」が次の課題です。後者については、教材研究ともかかわってきます。あせらずにじっくりと一歩ずつ前進してほしいと思います。

この続きは明日の日記で。
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