愛される学校づくり研究会

学校を離れて観ると

★学校に直接携わっている立場と、一歩、学校を離れた立場から観る学校現場は、ひと味違った受け止め方があるはずです。長きにわたり、教員・校長として学校に携わられた中林先生、平林先生、神戸先生、小西先生それぞれの視点から、現在の学校、教育について、率直な意見を示して頂きます。

【 第4回 】何ができる
〜神戸 和敏〜

1 退職をしてから2年目

授業と学び研究所の神戸です。退職してから2年目。授業と学び研究所ができてからも2年目。退職と同時に、新しい研究所がスタートしたことは、私にとって、とても幸せなことでした。メンバーにも恵まれ、新たな人生のスタートが切れそうです。2年目で、切れそうとは・・?正直、暗中模索の毎日ですから。研究所と自分との関係、研究所と社会との関係など、メンバーと築いていくべきことが数多くあるように感じています。
  退職をして、このような機会を与えてくださった会社と、今まで経験したことのない社会へ飛び込んでいく自分を許してくれた家族に感謝しています。

2 何ができるか、退職前

現役時代、退職後の生活をいろいろ考えることがありました。50歳になったとき、職員の朝の一分間スピーチで「退職までの10年間」というタイトルでこんなことを話しました。「退職までに3つのチャレンジを行う」チャレンジというのは、今はやれていないが、退職後の人生を豊かにするための趣味的なことを発掘するという意味でした。一つのことに3年かけて、それが3つで9年。そのうち一つでも自分で続けていけそうなことがあればいいという思いでした。チャレンジするために、通信教育も受講しました。今でも、チャレンジした3つのことは、自分にとってとても有意義な時間を与えてくれるものとなっています。みなさんも退職前にそのようなことにチャレンジするのも良いのではないでしょう。狭い世界だけで生活しているのではなく、様々なことにチャレンジしている姿は、児童生徒にとってもプラスになるのではないでしょうか。
  何よりも、元気なうちに人生を楽しみたいものです。
 そして、退職前の1年は、趣味的な内容ではなく、職業として何ができるかを考えた1年でした。30年以上教員として勤めてこられたのも、多くの人たちの支援があってのことだと感じています。退職後は、地域や学校のために何かできないかと思っていました。特に自分が学生時代から取り組み、教員生活の中でも、かなり中心的な位置づけであったコンピュータを使うことでの恩返しができないかと考えるようになりました。

3 何ができるか、退職後

退職後は、市内の学校を訪問しながら、若い教員を中心に授業について話し合う機会を得ることができました。自分の教員時代の経験をもとに、今の教育について話ができるのはとても嬉しいことです。また、時々給食を食べることもできます。現役時代はさほど意識していませんでしたが、時間になると栄養のバランス等を考えた食事が出てくるというのはすごいことですよ。会社生活では考えられないことです。
 さらに、いろいろな地域の学校関係者と接する機会ができ、様々なことを体験・学ぶことができています。一つの地域だけの経験では分からないことがたくさんあることを知りました。

4 校長室

多くの人たちと接したり、話をしたりする機会ができ、自分自身の知識や考えを深めていく必要を感じ、いろいろなことを調べるようになりました。時間的にゆとりがあるため、じっくりと調べ、自分の考えとしていくことができます。校長時代に、それだけの時間があれば、もっといろいろな話ができ、先生方と授業づくりの話もできたのではないかと思っています。
 学校には校長室があります。一人でじっくりと考えるための部屋だと思います。しかし、現実は、その部屋の中にいる時間すらないような校長がおられるのではないでしょうか。
  校長は、じっくりと校長室で一歩も二歩も先を読み、児童生徒をどのように伸ばしていくかを考え、地域や保護者とともに魅力ある学校づくりの策を練ることも大切な仕事の一つのように思います。
  今、学校を離れて感じることの一つです。

(2016年10月24日)

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執筆者プロフィール

●神戸 和敏
(かんべ・かずとし)

中学校教諭・教頭・市教委指導主事・小学校長を経て、2015年3月に退職。1986年から小牧市のコンピュータ活用に関わる委員会に属し、機器導入や活用研究を行ってきました。現在は、授業と学び研究所フェローとして、小中学校の授業づくりを学んでいます。メダカの飼育を行い、日々癒されています。