愛される学校づくり研究会

チーム学校って何だろう

★教育にまつわる課題が山積する中で、学校の将来像をどう描くのか。最近、文部科学省は「『チーム学校』の実現をめざす」としています。『チーム学校』って何だろう。ここでは、公立小中学校の学校事務職員で、文部科学省初等中等教育局で参事官付学校運営支援担当という立場も務められた 風岡治氏に、ご自身がイメージする『チーム学校』の在り方を語っていただきます。

【 第1回 】「チーム学校」って何だろう?

はじめに

今回、「『チーム学校』って何だろう」の連載を担当させていただきます、一宮市立今伊勢中学校 事務長の風岡 治と申します。教育改革のキーワードとして最近よく見聞きする「チーム学校」について、文科省の政策の方向性を踏まえつつ、これからの学校組織の在り方としての「チーム学校」を考えていきます。どうぞよろしくお願いします。

こうした考え方が出てきた背景は

「チーム学校」という考え方は、昨年7月に教育再生実行会議が報告した第五次提言「今後の学制等の在り方について」のなかで、小中一貫教育学校などの学制改革とともに、教員の資質能力に関係の深い教員免許制度改革とともに提唱されました。
 昨年の7月に中央教育審議会に対して行われた諮問「これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校の在り方について」では、「学校教育の成否は、教員の資質能力に負うところが大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教員の資質能力の向上とともに、教員が専門性を発揮できる環境を整備することが求められています。」とあります。
 背景には、知識基盤社会において、これからの学校教育では、子供たちが自ら課題を発見し、他者と協働してその解決に取り組み、新たな価値を創造する力を身につけることや、国際的に活躍できる人材や多様な文化や価値観を受容し共生していくことができる人材を育成することが必要であることや、従来よりも複雑化・多様化している学校の課題に対応していくためには、学校組織全体の総合力を一層高めていくことが重要であることがあります。

具体的には何を変えようとしているのか

そのために、これからの時代に求められる学校教育の実現には、教員の資質能力の向上が重要な課題であり、教員が指導力を発揮できる教育環境の整備として、教員とは異なる専門性や経験を有する専門的スタッフを学校に配置し、教員と教員以外の者がそれぞれ専門性を連携して発揮し、学校組織全体が、一つのチームとして力を発揮することで、学校組織全体の総合力を高めていこうとするものです。
 簡単に言えば、これまで、何でも教員が切り盛りしていた学校ですが、事務職員の活用やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門的スタッフの配置、地域との連携により、世界中で最も忙しいと言われる教員の仕事のうち事務作業や部活動、外部機関等との対応、専門的な知識が必要な指導内容等を減らすことで、教員が授業に専念できる体制づくりを目指そうというものです。
 こうした取り組みを通して、学校組織全体の力を高め、学校教育の質の向上を図ろうということが文科省の構想ですが、教員が授業に専念できる体制づくりについては、これまでも言われてきたことですが、法改正、財政的な措置を含めて、文科省の本気度が問われます。一方で、「チーム学校」を機能させるための学校マネジメント力が問われることとなります。管理職のリーダーシップ、マネジメント能力の向上がこれまで以上に求められることになるでしょう。これまでとは違った学校組織の姿をイメージできる教職員の意識・行動の改革が求められていることを認識する必要があります。

(2015年5月4日)

風岡先生

●風岡 治
(かぜおか・おさむ)

昭和59年(1984年)愛知県公立小中学校事務職員として採用。以降、小学校2校、中学校4校で勤務。平成24年(2012年)文部科学省初等中等教育局参事官(学校運営担当)付運営支援推進係長として出向。平成27年(2015年)4月より愛知県一宮市立今伊勢中学校事務長。文科省では、学校マネジメント、学校評価、コミュニティ・スクール(地域とともにある学校づくり)などを担当。教職協働による新たな学校づくりを愛される学校づくり研究会で考えていきたい。