対策を考えるアプローチ

授業がうまくいかないときは何らかの対策を立てることになります。子どもたちが積極的に発言しない。子どもたちが人の意見を聞かない。「発言して」「意見を聞こう」と言っても、そう簡単には変わりません。どのようにして考えればいいのでしょうか。

対策を考えるために、まずその原因を考えることが大切です。
子どもが積極的に発言しないのであれば、子どもたちに自信がないから、人の意見を聞かないのであれば、子どもにとって聞くことに価値がないから。このような原因を考えてみるのです。想像した原因が正しいかどうかはわかりませんが、とにかく考えてみなければ先に進みません。

次に、どうすればよいのか具体的に考えていくわけです。
考え方の一つは、どう原因を取り除くかです。自信がないのが理由であれば、自信を持たせるという発想です。わかった、自分の答えは正しいと思えるように、わかりやすく授業をしよう。まわりと確認する時間をとって確認させよう。机間指導で○をつけて安心して発言できるようにしよう。聞くことに価値がないのなら、聞くことを価値づけしよう。聞いていたことをほめよう。すぐに教師が解説せずに、子どもの意見に対してどう考えるか他の子にたずねてみよう。こういうことです。
また、原因を無効化する、結果を変えるという発想もあります。自信がないから積極的に発言できないのであれば、自信がなくても積極的に発言できるようにしようと考えるわけです。「自信がなければ積極的に発言できない」理由を考えると言ってもよいかもしれません。間違えるのが嫌だ、馬鹿にされたくないから積極的に発言しないと考えるのであれば、間違えても嫌な思いをさせないようにしよう。正解、不正解とすぐに判断しないようにしよう。馬鹿にしない雰囲気をつくろう。わかった人ではなく、困っている人と聞こう。こういうことです。
ここで対策を考えるときに、授業技術そのものを知らないとその選択肢が非常に狭くなってしまいます。日ごろから他の教師の授業を見たりして、授業技術を学んでおくことが必要になります。そして、一つひとつの技術が何を意図している、何を解決するものであるかがわかっていないとうまく活用することができません。日ごろから授業技術を意識しておくことが大切です。

また、対策を取ったからといって必ずうまくいとはかぎりません。うまくいかなければ、他の対策を考える。他の原因を考えてみる。思いつかなければ、まわりと相談するといったことが必要です。打つ手がなくなってあきらめてしまうと、いつの間にか、うまくいかないのは子どもが悪い、子どものせいだと考えるようになってしまいます。こうなってしまうと、授業改善をする意欲そのものがなくなってしまいます。あきらめずに、原因を考え、原因を取り除く、原因を無効化する、結果を変えるといった発想で切り抜けていってほしいと思います。
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