行事が終わった後に意識すること

秋は行事の多い時期です。どの学級も一生懸命行事に取り組むことと思います。意外と意識されていないのが、行事が終わった後のことです。行事が終わった後、どのようなことに気をつければよいか考えてみましょう。

行事が終わった後の子どもの状態はどうでしょか。みんなが力を出し切った、結果を出せたときは満足感が学級に広がっています。このよい状態を明日からの授業に活かしたいと思います。そのためには、終わった行事を引きずらないようにすることが大切です。楽しかった行事の高揚感が教室のテンションをあげてしまうことが多いからです。テンションが上がりすぎると教室の落ち着きがなくなり、集中力が落ちてきます。高揚感を適度に抑え、気持ちを授業に集中させるためには、行事のことは一度忘れることが必要です。
もし、よい結果を残せたり、賞状をもらえたりしたのではあればそのことを子どもたちと一緒に喜びます。その上で、明日からの学級の目標を子どもたちに示します。今回の行事で達成したことの上に何を上積みするかです。
そして、できればその日のうちに、遅くても翌日には行事の名残となるもの(賞状のようなものは別ですが)をすべて片付けます。翌日以降、教室に行事で使ったものが残っていたり、行事関係の掲示物がまだ貼ってあったりすると、どうしても行事を引きずってしまうからです。

では、今一つうまくいかなかったと感じるときはどうでしょう。反省会のようなものを開くこともありますが、終わった行事のことを引きずるのはあまり得策とは思えません。それよりも行事を通じて「できたこと」「やれたこと」を探し、そのことをきちんと評価しておくことです。次の行事ではそこを出発点として、目標を考えればいいのです。また、結果が出なかったときリーダー役の子どもや行事に入れ込んでいた子どもはがっかりします。自分のせいだと思ったり、逆に協力的でなかった仲間のせいだと考えたりします。全体で取り上げる必要はありませんが、そういう子には個別に時間をつくって話を聞いてあげることが必要になります。

いずれにしても、行事を通じて新しい人間関係ができてきます。新しく友だちができることで、授業中の無駄なおしゃべりも増えたりします。逆に集団行動が苦手な子どもの中には学級の中に居場所がなくなることもあります。子どもの人間関係の変化に注意をすることが大切です。また、行事でエネルギーを使い体調を崩したり、授業中に集中力をなくす子どももでてきます。子どもたちの体調にも注意をすると同時に、授業での子どもの活動量を意識する必要があります。活動量を増やすことで授業に集中させることは大切ですが、グループ活動などが逆に無駄なおしゃべりを誘発することもあります。いつも以上に子どもの様子を注意深く観察する必要があります。

行事は子どもも教師もエネルギーを使うものです。終わるとホッと一息つきたくなります。しかし、そこで気を抜かず、子どもたちがきちんと気持ちを切り替えて次の目標に向かって活動するために教師がすべきことは何かを見極めてほしいと思います。

行事の時期は教室のエネルギーに注意

夏休みも明けて、運動会や文化祭などの行事で教師も子どもたちも忙しい季節です。この時期に授業を見せていただくときに気になるのは教室のエネルギーです。子どもたちのテンションは上がりすぎていないか、低くなっていないか、ちゃんと授業に集中しているか、寝ている子はいないか。この時期をうまく乗り切ることが1年の後半を乗り切る大きな分かれ目です。

行事で学級がうまくまとまっていくと、子どもたちのエネルギーは高まります。人間関係が円滑になると、いろいろなことにやる気が高まります。朝のあいさつも大きな声でしっかりできます。しかし、テンションが上がりすぎて、実は授業に集中できていないこともよくあります。元気はあるがじっくり課題に取り組めていない、忘れ物が増えているといった兆候があるときは、テンションを落とすことを意識する必要があります。挙手をさせずに指名する。指名と指名の間に間をとる。友だちの意見と関連して発言を求める。こういうことが大切になります。

一方行事で子どもたちが体力を使って疲れてくると、授業に対するエネルギーが下がってきます。板書は写すが、意見の発表が減ってくる。騒いだり、よそ事をしたりするわけではないが、何か集中していない。居眠りしたり、ふせっている子どもが出てくる。こういう状態は要注意です。
学級がこういう状態のときは、実は教師のエネルギーも落ちていることが多いのです。子どもたちのエネルギーを高めるためには、教師が積極的に子どもたちとかかわることが必要です。また、課題や発問に工夫も必要です。しかし、行事で疲れるのは教師も同じです。授業にエネルギーを集中できていないのです。
また、行事で授業は遅れがちなるので、教師が一方的に説明をすることで、少しでも先に進めたくなります。子どものエネルギーが落ちているので、騒ぐわけでもなく表面上は無事に進んでいきます。子どもも疲れているから、ちょっと様子を見よう。こんな気持ちで、この状態を放置してしまうと、行事も終わりいざ学級の雰囲気を切り替えようとしても、簡単には戻らなくなってしまいます。子どもも楽をすることに慣れてしまうのです。

子どもたちの集中力ややる気を起こさせるためには、受け身の時間を減らすことが必要です。とはいえ、このような状態では、思考的な活動にはすぐに入れません。物理的な活動を伴うような課題を与えるとよいでしょう。ペアでの活動、グループでの作業。物に触れたり、教具を使うような活動。教師も忙しくて大変でしょうが、ちょっとした工夫をすることが大切になります。

行事で頑張り、授業にもきちんと集中して参加する。この時期をしっかりと乗り切ることで、子どもたちは大きく成長するのです。そのためには、教師はいつも以上に授業での子どもの様子を観察し、教室のエネルギーがほどよい状態になるように注意してほしいと思います。
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