活動主義的な授業が増えている中学校

先月のことですが、中学校で授業参加と来年度に向けてのアドバイスを行ってきました。

子どもたちは、落ち着いています。学力的にも大きな問題はないようです。しかし、授業を見ると、教師の話を聞いていない場面がたくさんあります。そういった時は、教師が子どもを見ていなかったり、見ても気にしていなかったりしているのです。子どもの問題ではありません。
この学校にかかわって5年以上になりますが、子どもたちにどうなってほしいかが伝わってこない授業が最近増えているのです。以前は、子どもたちの顔を上げよう、授業に集中させようといった共通の課題があったのですが、子どもたちの状態がよくなった結果、そういう意識が薄れてしまったようです。
その一方で、活動主義的な授業が増えています。子どもたちが活動すればよい授業と思っている教師が増えているのです。教師の一方的な説明では集中力を見せなくても、与えられた課題にはきちんと取り組む子どもたちです。興味を引く題材であれば、子どもたちは集中します。しかし、その活動を通じて教科としてどんな力がつくのか、教科を越えて意味のある力がつくのかが見えない授業が非常に多いのです。教材研究をしていないわけではありません。活動させるためのネタを考えることや、必要な準備もしています。しかし、子どもたちにつけたい力が意識されていないため、教師がかけているエネルギーの方向性が間違っているのです。
文部科学省が「アクティブラーニング」ということを言っています。教師が一方的に説明する講義形式の授業が蔓延していることに対する警鐘とも言えます。しかし、子どもが活動すれば何でも「アクティブラーニング」と言うのであれば、活動主義的な授業が今後増えていくのではないかと危惧します。授業を通じて子どもたちにどんな力をつけるのかという根本的なことを忘れないでほしいと願います。

教務主任と来年度に向けて何をしていくか相談しました。もう一度原点に戻り、先生方にどんな子どもの姿を目指すのか、教科として授業でつけたい力は何なのかを改めて確認していただくこと必要です。そのためには、教科で一つの授業をつくったり、互いの授業を見あったりして、そのことを意識する機会をつくることが有効だと思います。
この学校の苦しい時期からの立て直しを経験していない先生方が増えてきています。今の状態は、ちょっとしたことでまた崩れてくる危険性があります。教務主任はじめ管理職は危機感を持っています。この危機感を学校全体で共有することが大切です。表面的な落ち着きに惑わされず、子どもたちが真剣に学びに向き合う授業を再度目指していくことが必要だと思います。
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