私立の中高等学校で、来年度に向けての動きが始まる

昨日は、私立の中高等学校で来年度の打ち合わせを行ってきました。

たまたま先生方の授業改善への動きと重なったこともあり、この一年で英語科や社会科をはじめ授業によい変化が見られるようになりました。iPadなどのICT機器を活用する場面も目にするようになりました。まだまだ学校全体が変わったという訳ではありませんが、確実によい動きが出ています。
来年度の人事案もほぼ固まり、新旧の教科指導部の主任と来年度の打ち合わせの時間を持ちました。全体研修については、今までは個人で指導案を考えて行った授業をもとに検討会を行う形だったのですが、来年度は教科で新しい取り組みを提案してもらう形に変更しました。基礎力定着のための方策といったワンポイント的なものでもよいので、「授業」もしくは「模擬授業」の形で教科の考えや取り組みを全体に対して示してもらうのです。大学入試制度の変更や、新しい学力観に対応するためには、今後教科としてのチーム力がとても大切になります。教科で授業のことを話し合う機会をできるだけ持ってもらおうという意図です。
基礎力の定着について、各教科で新しい取り組みを考えていただいています。それに関連して、新高校一年生では、ネットを使った学習システムを取り入れるようです。その活用方法についても相談しました。基礎力定着といった時に、最終的に子どもたちにどのような力をつけさせたいのかを明確にすることがまず必要です。そこに至る道筋と、そのどこで子どもたちがつまずいているのかを知り、できるだけ根っこの部分をきちんと定着させることが必要です。この根っこの部分がその学校の子どもたちにとっての基礎と言ってもいいのかもしれません。この基礎を定着させるためには、きちんと達成度のチェックをすることが大切です。こういった一連のものを組み込んでいただけるようにお願いしました。

英語科の先生2名から来年度の英語科の方針について報告を受けました。子どもたちの基礎力の定着にGDMを組み込むことにしたそうです。英語科の多くの先生が自腹で外部の研修に参加して学んでいます。4月に向けて、毎日英語科で自主研修をしているそうです。とてもすごいエネルギーです。個の力がチーム力に変わりつつあるのを感じます。来年度早い時期に、授業の様子を見てもらいたいと依頼を受けました。どのような授業が展開されるかとても楽しみです。

来年度中学校から高等学校の担当に変わる理科の先生から、「科学と人間生活」をどのように展開したらよいか相談を受けました。簡単な実験が多い教科ですが、教科書にそって実験するだけでは、子どもたちはただ作業としてこなすだけで興味もわきませんし、科学的な思考が身につくわけでもありません。いかに子どもたちに主体的に実験に取り組んでもらうかが大切です。そのことについて具体的な例をもとに話をしました。例えば葉緑体の観察の実験であれば、「葉っぱは緑色しているけれどそれはなぜ?」といった質問から、「葉全体が緑色に見えるけれど、すべて緑色なの?」「違う?本当?」「なら、どうすればそれがわかる?」と問い返し、「拡大する」「顕微鏡で見る」といった反応を引き出します。「一部だとしたら、どんな風になっていると思う?」といくつかの例を見せて選ばせたり、子どもにどんなものが見えそうか書かせたりといった予想をさせてから実験をするというように、疑問を持たせることや予想をさせることから始めてほしいことを伝えました。予想を確かめるためには、どんな実験をすればよいかを考えさせることも大切です。教科書には短日植物の実験観察が載っていますが、短日植物だという前提で実験をしても面白くありません。例えば、「菊はいつ咲く?」「年中花屋さんに並んでいるけれどどうして?」と問いかけます。電照菊を知っている子どもは、照らす時間を調整していることを言うかもしれません。「花はみんな日照時間で季節がわかるのかな?」「桜は?」と問いかけ、「気温?」といった答が出てくるのを待ちます。「日照時間か気温かどちらで決まるのかを知るにはどんな実験をすればいい?」と実験を考えさせ、結果によって何が言えるのかを整理させます。実験を実際にはできないかもしれません。しかし、実験の結果を与えて、そこから結論を導き出させることでも、科学的なものの見方考え方を伝えることはできるはずです。教科書をめくりながら、こういったことをたくさん話させていただきました。先生自身もこういった授業の進め方を楽しく感じていただけたようでした。こういう発想で教科書を眺めていけばきっと自分なりの授業を楽しくつくりだすことができると思います。
この先生には、前回、子どもたちとのやり取りを増やすことをアドバイスしましたが、それから1月ほどそのことを意識して授業を続けてくれたようです。「まだまだ上手くいきませんが」と言いながら、子どもたちの顔が上がるようになったことを報告してくれました。一番成績の悪かった学級も向上が見られたそうです。手ごたえを感じてくれているようでした。素直な方です。来年度どのような変化を見せてくれるか、授業を見せていただくことがとても楽しみです。

来年度中学校の数学を担当する先生からは、中学校数学について相談をうけました。これまで高等学校ばかりを担当していたので、情報が欲しかったのでしょう。中学校の数学で大切にしてほしいことを思いつくままお話ししましたが、とても真剣に聞いていただけました。学校としては、中学校の数学がちょっと低迷していたので、タイプの違う方に受け持ってもらい、てこ入れをしようという意図なのでしょう。前向きに授業をどうしようか考えていただいているので、よい人事だったと思います。中高がつながっていることの利点を生かし、高等学校とのつながりを意識した授業展開を考えておられました。今まで高等学校を受け持っていた方だからこその発想です。私は常々、中学校の先生は小学校、高等学校の両方の教科内容をきちんと理解しておく必要があると思っていました。そういう意味では、高等学校経験豊富な先生なので、期待できると思います。いつか高等学校の担当に戻るとしても、この経験はとても生きることだと思います。
来年度はじっくり授業を見せていただくことをお約束して分かれました。

私学は公立校より人事異動がすくないため、次年度へ向けて素早く動くことができます。この時期、来年度に向けて多くの方が動きを始めていました。4月にはまた違った学校の姿が見られるのではないかと楽しみにしています。
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