私学の英語科で授業改革が進む

先月のことですが、私立の中高等学校で授業アドバイスと次年度の打ち合わせを行ってきました。今回は英語を中心に授業を見せていただきました。英語科はこの1年間いろいろなことを模索してきていました。少しずつですが自分たちの目指す授業の姿がはっきりしてきたように思います。

高校1年生の英語で、若手の先生が歴史上の人物について子どもたちが英語でプレゼンテーションをする授業を行なっていました。100語くらいの短い文章ですが、彼らにとってはつくるのも発表するのも大変だったと思います。だからこそ、発表をする側も聞く側も真剣だったように思います。一生懸命に練習したことが伝わる発表でした。また、授業者は英語で雰囲気たっぷりに司会をしていました。場の雰囲気をつくり、盛り上げていたことも子どもたちのやる気を引き出していたと思います。時間数の確保は大変だと思いますが、司会や進行を子どもたちに任せたりして、活躍する経験をたくさん積ませることで学習に前向きになっていくはずです。この学校の英語学習の1つのスタイルとして定着してほしいと思います。

中堅の英語の先生は、GDMの手法を手探りで取り入れていました。GDMと出会ってまだ少ししか時間が経っていないのですが、来年度に向けて今から挑戦していました。もちろんすぐに上手くできるものではありません。しかし、失敗を恐れずによいと思ったことをすぐに取り入れる姿勢はとても素晴らしいと思います。そのエネルギーは子どもにも伝わっていくはずです。また、この先生が孤軍奮闘しているわけではなく、英語科の多くの先生が一緒に学んで挑戦しようとしています。この互いに学び支え合う雰囲気があれば、この挑戦がよい形で実を結ぶことでしょう。

TOEICを題材にした英語の授業は、単に問題をこなすのではなく、できるようになる過程をていねいに経験させていました。一度英語を聞いて解答した後、隣と確認します。よくわからなかった子どもには、友だちの解答や説明がヒントになります。友だちと答が違えば、どちらが正しいだろうかと考えます。その上でもう一度聞かせると、最初は聞けなかった言葉も聞き取れるようになります。1回目では内容がわからず表情が暗かった子どもも、自分で聞き取とれるとよい表情に変わります。教師から教えられるのではなく、自分で正解を見つけることができるので、子どもたちの集中力は落ちません。やる気が持続していました。

英語科の先生は「寝たりするのを子どものせいにしていたけれど、それは私たちの授業の問題だということがわかった」と言います。「教材研究をし、授業を工夫するのは大変だけれど、先が見えない苦労ではない」という前向きな言葉も出てきます。自分たちの工夫に対して子どもたちがよい姿を見せてくれるようになり、手ごたえを感じているからでしょう。来年度、英語科の先生方が授業にどのような工夫を見せてくれるか今からとても楽しみです。

中学校の理科の先生が授業について悩んでいるようでした。授業を見せていただいたところ、一つひとつの場面で子どもにどうなってほしいのかが不明確でした。板書一つとっても、教科書と同じことを書くのであればあまり意味はありません。子どもたちは単純作業として板書を写します。子どもたちに問いかけても、一部の子どもだけが反応し、それに対して授業者が説明して進むので、他の子どもが参加する場面がありません。授業を通じて子どもたちどうなってほしいのか、授業で目指すところを明確にすることが必要でしょう。とはいえ、自分の授業に困り感を持っていることはよいことです。変わろうとする意欲を感じます。焦らずに、まずは目指す授業の姿を共有するところから一緒に始めたいと思います。

そろそろ来年度のことを考える時期になりました。英語科でのよい動きを学校の中で点から線へと広げていきたいと思います。いくつかの教科でよい動きが出てきたので、なんとかつなぐことができればと思っています。ここからが知恵の出しどころです。しっかりと考えていきたいと思います。
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31