学び合いが定着した後のことを考える

市の校務主任の研修で講師を務めました。この市では学び合いを取り入れようとしています。前回教務主任対象に行ったのと同じ話を校務主任にもという依頼でした。

学び合いが成立するためには教師と子どもたちの人間関係、子ども同士の人間関係が大切になります。逆に学び合いを通じて人間関係ができるという側面があります。学級づくり学校づくりの基本の一つがここにあると思います。話の具体的内容は、前回の日記を参考にしていただければと思います。

学び合いについて市全体で取り組んだ場合の課題として最近強く感じるのが、定着したあとどうするかです。市全体で取り組むよさは、子どもたちが9年間同じように学ぶことができることです。小学校と中学校のギャップも小さくなります。どの学校でも基本的に同じように取り組んでいるので、市内で異動した先生方が戸惑うこともありません。安定して学び合いを続けることができるのです。ところが、市内全体での取り組みが軌道に乗ったあとに採用された先生方の授業がどうにも気になります。子どもたちが育って人間関係もできているので、いい加減な課題でもグループ活動は真剣に取り組みます。先生が一方的にしゃべっていても、子どもたちは、集中力は失くしますが大きく崩れません。教師の未熟さを子どもたちがカバーしてくれるのです。教師としての基本的な力がついていないのにそのことを認識できないのです。
また、学び合いをつくり上げてきた先生方の多くも、子どもたちが育ってきたので今までやってきたことが緩くなってきているように感じます。学び合いの形が定着したからこそ、これから授業の質を上げていくべき時なのですが、そこにエネルギーが向かっていないのです。教師が工夫しなくても、授業が成り立っているように見えてしまうので、問題を感じないのです。
管理職多くの方は危機感を持っていますが、一般の先生方との温度差があります。市として取り組んできたからこそ、次の目標、ビジョンを市として明確に打ち出す必要があります。
これは、学び合いに限らず目標を持って取り組んできた場合に常にぶつかる問題です。研究指定を受けて一定の成果が見られたのに、発表をした後、それまで取り組んできたことが緩くなって、数年後には元に戻っていたという学校をよく目にします。目標を達成した後、成果が上がった後に、大きな落とし穴が待っているのです。

今回お話しさせていただいた市でよい成果が出ることを期待すると同時に、その後のビジョンもしっかりつくっていただけることを願っています。
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