どの学級も授業規律がしっかりしている小学校

3年間授業アドバイスをしていた小学校への最後の訪問を行いました。6人の先生への授業アドバイスと新任の先生の授業研究でした。今回はすべて算数の授業でした。

4年生のベテランの先生の授業は、表から規則を見つける場面でした。授業者が子どもたちをよく見ています。子どもたちは先生と視線があうのでよく集中しています。授業者の声が小さくても素早く指示に従います。
表から規則を見つけた子どもが挙手をします。早く見つけたことを評価しますが、まだ見て考えている子どもがいるからと待たせています。全員を参加させようという姿勢が見てとれます。子どもの発言を繰り返して確認したり、別の子どもに言わせたりと考えを共有することを大切にしています。「1、2、3、4と・・・」という子どもの発言を授業者が「1ずつ増える」と修正しました。算数の表現として引き出したい言葉ですが、「そうだね、1、2、3、4となっているね。このことを一言で説明できるかな?」というようにして、ここは子ども自身に修正させたいところでした。
前時までに表を縦に見る、横に見るといったこと経験をして整理していたそうです。ここは子どもの意見を「表を横に見たんだね」と算数的なものの見方で評価したいところです。
縦に足して同じ数になるという意見に対して、「すべて?」と強調していました。いつも成り立つかどうかというのは大切な算数の視点です。こういったところをはずないのはさすがです。大切なことなので、たくさんの子どもに直接確認したいところでした。
一問一答ではなく次々と指名して子どもたちの発言の機会を保障しています。ただ、挙手に頼っているので、挙手しない子どもが参加していません。挙手に頼らない指名や、まわりと確認する場面を増やすとよいと思いました。

特別支援学級は、繰り上がりのない足し算の練習場面でした。
2人の子どもが一緒に学習しています。子ども同士の関係がよいことが印象的でした。特別支援の子どもにとって、コミュニケーションを取れることは今後社会に出て生活する上でとても大切なことです。こういった関係性はとても大切です。授業者は、子どもの反応を笑顔で受け止め、ほめることを意識しています。子どもたちは意欲的に取り組むことができていました。ただ、子どもが想定外の反応をした時に、どう対応しようかと考えて表情がかたくなります。柔らかい表情を見慣れているので、子どもの目には恐く見えてしまうかもしれません。こういう時にも意識して笑顔をつくれるとよいと思いました。

1年生は2桁+1桁、2桁−1桁の計算練習の場面でした。
以前見た時と比べて授業規律がしっかりしています。子どもをほめて指示を徹底させることが意識されていました。しかし、子どもたちが従ってくれるので、指示が増えています。子どもたちに考えさせる場面を増やす必要があります。
算数の授業としては、手順を教えることが中心になっていたのが気になります。子どもに説明を求めるのですが、その説明は手順のことです。手順と説明を分けて考える必要があります。例えば43−7であれば、「10から7を引いて3、・・・」という手順ではなく、「1位の数3から7は引けないから、・・・」と10から引く理由を説明させたいのです。このことを意識してほしいと思いました。

5年生は、表を使って円と円周率の関係を考える場面でした。
子どもたちの授業規律はしっかりできています。授業者との関係もよく、子どもたちが素早く行動します。
関係を調べる時にどのようにするとよいかを問いかけますが、考えようとしない子どももいます。以前に関係を調べた単元を思い出させて教科書やノートを調べさせたり、「○○を調べた時、何をしたっけ?」と問いかけたりして、過去の学習とつなげることを意識してほしいと思います。
表を使うことになりましたが、授業者が用意した表は項目がすでに書き込まれたものでした。項目をどうするかから子どもに考えさせたいところです。
関係を見つけるという課題ですが、子どもは何か1つ見つけたらそれで満足してしまいます。「できるだけたくさん見つけよう」といった課題するとよいでしょう。
意見を発表させますが、後に回したい意見もあります。受容して終わりではなく、後でこの意見について考えることを言っておくと納得すると思います。
子どもの意見を「そうなっている?」と全体に確認しますが、気づいていない子どもはすぐには反応できません。大事なことであれば、個人で確認する時間を取ることも必要です。内容や状況に応じてどういった確認の仕方がよいか判断することが大切です。

この日見たどの学級も、授業規律がしっかりとできていました。だからこそ、課題が明確でした。
この続きは明日の日記で。
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