学校運営の改善について学ぶ

先日、平成26年度「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究」中間成果報告会に参加しました。この日は、慶應義塾大学SFC研究所の木幡敬史先生からの「コモンズ型学校評価支援ツールの開発による組織的な学校運営改善支援に関する実証的研究」についての報告でした。

何年も続いている研究なので、確実に深化しているのを感じます。具体的には、子どもの学び・学校生活状況についての分析の手法と子ども・家庭およびコミュニティスクールの情報共有プロセスに関する調査研究と、学習支援を指向した学力のデータの時系列分析に関する調査研究、これらの普及のための条件等の調査でした。
学校での分析の結果を見て驚くようなことはあまりありません。大切なのは、私たちの感覚ではなく具体的なデータでそれを客観的に示せることです。ただアンケートを取って集計しただけでは、学校の状況は改善されません。その結果をもとに次のアクションプランをつくるまでの手法を明確にしたことにその価値があります。
しかし、具体的なアクションプランなどは私の目には学校、子ども、家庭、地域それぞれがやることがあまりに多く書き出されていて、実際にそれらすべてが実行可能か疑わしく感じます。たくさんの課題が出た時に、それを一度に解決することは難しいことです。因果関係の仮説を立て、まずどこから手をつけるのかを考えることが必要です。発表者に質問したところ、重点化して絞り込むという作業を勧めてもなかなかそこには行き着かないということでした。強いリーダーシップを持つ方がいなければ、焦点化することは難しいのかもしれません。
こういった手法が広がっていくためには、課題に対する対処の具体的な方法が明確になっていることが必要です。課題があぶりだされるばかりで、その解決策がわからずに改善されることがなければ、課題の指摘はかえって学校を苦しめるだけになります。今回の例でできた課題は、どの学校でも指摘される可能性のあるもので、世の中にはたくさんの成功例があると思います。どれがその学校に適するのかは別として、参考となる具体例のデータベースも合わせて整備することが必要になってくると思います。是非、そういったことも今後視野に入れてほしいと思います。

学力のデータの時系列分析については、ある課題テストの合格者と不合格者のその後の成績の変化を時系列で追ったものが示されました。ここでも感じたのは、その結果を見て次にどのような対策を取るかです。こういったツールや手法で浮かび上がった課題をどのようにとらえてどう改善していくのかは、学校現場の解決力が問われるところです。こういった研究が進めば進むほど、学校の力がより問われることになると感じました。

現場の改善について、まず必要なことはその課題の共有です。私自身そのことで苦労することもあります。こういったツールや手法が広がることで、改善への第一歩が踏み出しやすくなることを期待します。よい学びをさせていただきました。このような機会をいただけたことを感謝します。
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