子どもの作業が終わっていないときにどうするか

課題に取り組ませているとき、いつ作業を終わらせて次の場面に移るか悩むことがあります。与えた時間が過ぎてほとんどの子どもが終わっているのに、一部の子どもがまだ作業中のときに、中断させるのか時間を延長するのか迷っている教師の姿をよく目にします。このとき、途中の子どもに「時間ほしい?」とたずねることが多いように思います。当然のように子どもは「ほしい」と言いますので、「あと○分あげます」と延長することになります。
しかし、問題を解くといった課題の場合、まだ途中の子どもは時間を与えたからといって、解けたり考えがまとまったりすることはあまりありません。解けていないので時間がほしいとは言いますが、見通しが持てていないので結局延長しても解けないままです。一方すでに課題が終わっている子どもたちは、もうすぐ次の場面に移れると思ってじっと待っていたのに、また待たされることになってしまいます。こうなると、多くの子どもは集中力が切れてしまい、ざわつき始めます。作業を続けている子どもの集中力も乱されます。延長しても状況は悪くなるだけで、時間のムダです。では、どうすればいいのでしょうか。

まず、作業が終わっていない子どもの状況を把握することが必要です。単に作業が遅く時間があれば終わることができそうなのであれば、あと○分と明確に時間を区切って延長します。その際に、作業が終わっている子どもたちに次の課題を与えることが大切です。他の問題を解く、まわりの子どもと答の確認をするといった指示を出すのです。
見通しが持てていないため、時間を延長してもすぐにできそうもないときは、工夫が必要です。単に時間を延長するのではなく、まわりの子どもに相談するというように活動の質を変えることも考えなくてはいけません。こうすることで、すでに終わっている子どもに活躍の場も与えることができます。とはいえ、全員を活動させるのはなかなか難しいことです。

発想を変えて作業が終わっていない子どもを中心にして進めるという方法もあります。作業を時間通りに一旦終わらせます。ここで、作業を終わっていない子どもを指名するのです。答ではなく「困ったことはない」と聞くのです。「同じところを困っている人いる」とつなぎ、困っていることを学級全体で共有し一緒に解決していきます。「みんなで、困っていることを解決しよう。こうすればうまくいくというヒントを言ってくれる人いる」「どうやったか教えてくれる」「最初に何をやろうと思った」というように、答ではなくヒントを言わせるようにします。「今のヒントを聞いて、どうできそう」と困っている子どもにつなぎます。まわりの子どもに助けてもらいながら、全体の場で困っている子どもに解かせます。こうすることで、作業の途中の子どもがいても時間を延長せずに次の場面に進むことができます。
また、予定の時間では多くの子どもが終われそうもないと判断した時は、早目に作業を切り上げて困っていることを聞き、見通しが立ったところで、もう一度自力で取り組ませるという方法もあります。

全員が作業を終わることにこだわると、どうしても時間を延長しがちですが、対応する方法はいろいろとあります。子どもの状況を把握して、適切な対応を選んでほしいと思います。
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