英語で大切にしたい活動

英語は技能教科だから練習量が大切だとよく言われます。しかし、やみくもに練習しても力がつかないのは、体育などと同じことです。教師の読みやCDを聞いて、おうむ返しに子どもが発音する、与えられた文を暗唱するといった活動をよく見ます。ただ、おうむ返しでは、耳から反射的に口を動かすだけで、頭を使うことはしません。また、ただ暗唱だけでは、自分で文をつくる、組み立てることをしないので、実際にはなかなか使えるようにはなりません。どのようなことに気をつければいいのでしょうか。

英文を使う situation を意識することが基本となると思います。
たとえば、situation を絵で見せる方法があります。
I have a pen.であれば、「私」「持っている」「ペン」の3つの絵を用意して、それを順番に見せて、発声させる。
慣れれば1枚の絵でsituationを表して文をつくらせる。
絵ではなく実際にジェスチャで見せながら練習させる方法もあります。
このとき注意するのは、教師が見せたのであれば、子どもはI have a pen.ではなくYou have a pen.と言わなければいけないことです。きちんと situation を自分の立場で表現することが大切です。

自分の立場で表現するという意味では、主語を変えて練習することも有効です。
たとえばペアで一方が例文を暗唱します。それに対して他方は相手の言ったことを繰り返します。このとき必要に応じて主語を変えさせます。

"Yesterday I went to Nagasaki with my mother."
に対して、
"Yesterday you went to Nagasaki with your mother."

という具合です。
第三者の立場で繰り返す方法もあります。次のような具合です。

"Yesterday I went to Nagasaki with my mother."
に対して、
"Yesterday Mr.○○ went to Nagasaki with his mother."

心の中で考えたこと(situation)を与えてそれに対応する文を言わせる方法もあります。
たとえば、

"Hello,○○."
"Hello,△△."
"Where are you going?"
"I'm going to the station."
・・・
に対して、
「あっ、○○君だ」→"Hello,○○."
「おう、△△君だ」→"Hello,△△."
「何か急いでいるな」→"Where are you going?"
「遅れそうなのに」→"I'm going to the station."
・・・

というように、英文に対して頭の中で考えたこと対応させておきます。この言葉をきっかけに対応する英語を話します。この例であれば、急いでいるようなので、どこに行くのかなと聞くわけです。遅れそうなので、"I'm going to the station." は、ちょっと早口になります。
心の中で考えたことには正解はありません。子どもたちに考えさせて、それを使って練習すれば効果的だと思います。

英語の活動では、考えて練習することが大切になります。ここでの例は、私が見たいろいろな実践を参考にしていますが、この例にこだわらず、situation を意識して、できるだけ生きた言葉を言わせるような工夫をしてほしいと思います。
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