自ら学ぶ姿勢をどうつくる

自ら学ぶということの大切さがよく言われます。生涯学習という言葉もよく聞きます。子どもたちに学ぶ楽しさを教えたいと思う先生がほとんどでしょう。では、どのようにすれば子どもたちは学ぶ楽しさを知って、自ら学ぶようになるのでしょうか。

学ぶ楽しさの要素の大きなものに、進歩があります。ある授業が終わった後、子どもが「むちゃくちゃ考えた。頭がよくなった気がする」と言っていたことがありました。一生懸命取り組み、考えた結果、自分が進歩したと感じたのです。この子どもは学ぶ楽しさを感じていたと思います。このような、自分が進歩したと感じる場面をどうつくるかが大切です。

進歩を感じるという視点では、授業が始まった時点ではできなかったことが、授業が終わった時にできるようになっているというのが一つの基本パターンです。
授業で一人ひとりが活動することは重要ですが、その結果どんな力がついたかを問うことがより重要になります。訓練要素の強い九九の練習でも、練習の結果、速くいえるようになった、間違えなくなった、九九ができることで何かができたと進歩を実感できる場面をつくることで、学ぶ楽しさにつなげることができます。子どもたちに活動の before after を意識させるのです。ですから、授業の最後に振り返りを書かせることがよくありますが、感想ではなく、何ができるようになった、どんな進歩をしたと書くことが大切になります。

ここで注意したいのは、努力したことが結果として表れなければ進歩した実感を持てず、学ぶ楽しさにはつながらないことです。体育などはその典型ですが、一生懸命練習してもできるようにならなければ、楽しさにはつながっていきません。結果の出る努力をさせることが大切です。教師の指導が問われるのはこの部分です。正しい努力を続けることが結果につながり、進歩する。この経験を積ませることが教師の仕事なのです。

ただ、教師から教わることが中心となってしまうと、言われたことをやればいいという受け身の姿勢が強くなる心配があります。自ら学ぶということにつなげることを意識しなければいけません。指示されたことをやったあと、「次は何をすればいい?」と教師に聞くようではいけないのです。努力が結果に結びつく経験を積ませたら、自ら考え工夫することを求めます。最初は「どれくらい練習すればいいと思う」「何問解く」と量的面を、次第に「どんなことを重点的にやればいいと思う」「何を調べればいい」「何がわかればいい」といった質的なことを意識させるようにします。評価も、「できるようになったね。どうやって練習したの?」と結果だけではなくその工夫をより大きく評価します。

子どもが自ら学ぶ姿勢をつくるには、進歩を実感させる、そのために結果につながる努力をさせる、自ら工夫することを求め評価することが大切だと思います。ぜひ、ふだんの授業の中でこのことを意識してほしいと思います。
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