「比較」を大切にする

子どもたちの発言に対して、「なぜ、そう考えた、そう思うの」と根拠を聞いてもなかなかきちんと答えることができません。根拠を意識して考える力をつけるにはどうすればよいのでしょうか。

考えるための基本は「比較」することです。
たとえば、地理で資料からその地方の特色を見つけるのであれば、その地方のデータだけみてもわかりません。全国のデータと比較することで初めて特色が見つかります。
国語の読解でも、ある場面の描写と他の場面の描写を比較して、その違い、変化を考えることで筆者の伝えたい意図が見えてきます。
したがって、子どもたちが「比較」するという考え方に慣れるまでは、できるだけ具体的に何と何を「比べる」、「違いを見つける」という指示をすることが大切です。
「この地方の特色をみつけよう」という問いに対しては「全国平均のデータと比べて、どんな違いがある?」。
「主人公は成長したのだろうか」という問いに対して、「主人公の考え、行動について書いてあるところを抜き出そう」「どう違う?」というステップを踏むことで、根拠を持って考えることができるようになっていきます。

また、比較の対象がすぐに見つからないときでも、「もし、・・・でなかったら」「もし、・・・だったら」と仮定することで、比較の対象をつくりだすことができます。
「抜けるように青い空だった」という表現を考えるのであれば、「『青い空』でなかったら」「『抜けるように』がなかったら」どうだろうと発問することで、比較の対象がつくられます。こうすることで、根拠を明確にして考えることができるようになります。

考え方の基本となる「比較」することが子どもたちに身につくように、発問や授業の展開を工夫してほしいと思います。
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