先生方との楽しい時間

私立の中高等学校で先生方といろいろとお話をさせていただきました。

中学校の先生方とは、授業規律や生活指導関連のことが話題になりました。先生方はどうしても気になる生徒に目がいきがちです。気になる子どもにかかわりすぎずに、まず普通の生徒をしっかり見てあげることをお願いしました。その上で、いわゆるグレーゾーンの子どもたちには、ペアレントトレーニングを意識して、教師が何を願っているのかを明確に伝え、できていることをほめる姿勢で接するよう伝えました。
子どもたちへの対応を変えようとするとき、リセットがかかる新学年からと考える方も多いのですが、そうではなくその前から意識して変えるようにするとよいと思います。新学年で急に変わっても一過性でないかと様子を見られることがあります。新学年になっても以前から継続していることで、本気度が伝わると思います。
体育の先生からは、今の1年生が2年生になった時のことが心配だと相談を受けました。来年度時間割の関係で2学級合同での授業展開が予定されています。現状はプレーの合間にラケットで遊んだりして目が離せないので、2学級合同では目が届かないので事故が心配だというのです。授業者がすべてを把握してコントロールすることは、たとえ1学級でも無理なことです。きちんとできる生徒もたくさんいるので、生徒同士がうまくかかわり合うことで安全な授業となることを目指すように伝えました。具体的には、「安全で楽しい授業にしよう」と伝え、そのためにはどうすればよいのか生徒たちに考えさせるのです。「自分は何ができる」「何ができたか」を振り返らせ、全体で共有することで生徒自身が安心・安全で楽しい授業をつくることを目指すことをお願いしました。

高等学校の社会科の先生からは、グループ学習について相談を受けました。
課題が難しいと固まって動けない。授業者が介入すると動ける。課題を易しいものにすべきなのかというのです。易しければ上手くいくのではありません。易しければわかった生徒が先生の代わりに教えるだけです。まずは困っていることを聞き合えるようにすることから始める必要があります。答えることができることより、困ったと言えることの方を高く評価するのです。生徒が固まっていたなら、まずは何に困っているかを聞くのです。困っていることを言えたら、それを全体に広げながら困ったと言えたことを評価するのです。わからないと言える、困ったと言える状態をつくれば、つぎは、どうすればよいのかという解決の手段を考えさせるのです。グループ活動の基本は答を教え合うのではなく、答につながる行動をひろげていくことです。このことを意識して授業に臨むことをお願いしました。

若手の高等学校の担任とは、学級活動について話をしました。今年度は子どもたちに決定させることを大切にしてきたそうです。ただ子どもたちに任せっぱなしにするのではなく、担任としての自分の考えもきちんと伝え選択肢の一つにしてもらったようです。子どもたちは担任の考えを特に忖度はせず、自分たちで考えたことを大切にして学校生活を送っているようです。意識してほしいのは、結論ではなく、その決定プロセスです。何でも多数決ではなく、どのようにして決定していくとよいのかをきちんと意識して物事を決めさせることが大切です。学校での集団生活で学ぶべき大切なことの一つがこのことだと思います。

中学校の担任からは、生徒が助け合わないことについて相談されました。
生徒同士のトラブルもあるようです。担任としては言い争いレベルであれば下手に止めずに言いたいだけ言い合わせるようにしているそうです。その方がかえってすっきりしてその後の関係も改善されるようです。この数年、この学校だけでなく、他の学校でも子どもたちのコミュニケーション能力が落ちているように感じます。新型コロナの影響かもしれません。誰とでも話せるようになるために、日ごろ話さない友だちとも話すような場面を意図的につくる必要を感じます。
助け合わないことについては、困っている子どもにすぐに先生が手を差し伸べていることもその原因の一つだと思います。困っている子どもがいても、その子は先生が助けるものだと思ってしまえば、あえてその子とかかわろうとはしません。教師が意図的に子ども同士をかかわらせるような働きかけをする必要があると思います。

中堅の先生とは、先生方の意識をどう変えるかということが話題になりました。
生徒につけたい力をコンテンツベースからコンピテンシーベースに変えなければと思っているが、先生方がなかなか変わらないというのです。たしかにそういう方も多いのですが、他の学校と比べればコンピテンシーを意識している先生は多いように思います。変わらない先生はどうしても一定数いると思いますが、多様性として認めることも必要でしょう。大切なのは、こういったことを職員室の話題とすることです。そうすることで、少しずつ考えに変化が生まれてくるはずです。あせらず、あきらめずにコミュニケーションをとり続けてほしいと思います。

先生方といろいろとお話しできる関係をうれしく思える時間でした。
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