言語活動を支える力をつける

指導要領の改定で、言語活動の充実が言われるようになりました。言語活動にはコミュニケーションと言語化による思考の整理・深化という2つの側面があると思います。ここで、忘れてはならないのが子どもたちの語彙力です。いくら理解しようとしても、いくら伝えたいことがあっても言葉の意味がわからなければ話になりません。語彙力をつけるためにどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

国語の時間にあらかじめわからない言葉の意味を調べることがあります。子どもたちは辞書で調べた言葉をノートにきちんと写しています。にもかかわらず、その言葉が使われている文の意味が理解できないことがよくあります。なぜこんなことが起こるのでしょう。
これは、子どもたちがもとの文に戻って言葉の意味を理解しようとせず、単に辞書に書かれていることを写しているからなのです。言葉によっては複数の意味が辞書に載っていますが、どの意味で使われているのかを考えずに最初に書いてある説明を写していることもあります。これでは語彙力はつきません。一問一答の「○○はどういう意味ですか」には答えられても、実際に使うことはできないのです。

わからない言葉に出会ったときには、前後関係からどういう意味か想像し、そのうえで調べることが大切です。こうすることで、その使われ方も含めて理解できます。ですから、わからない言葉に線を引いて、後からまとめて調べたり、教師があらかじめワークシートに言葉を書きだして調べさせるようなやり方は、必ず本文に戻って意味を確認するというステップを入れる必要があります。

語彙力をつけるためには、生きた言葉に出会うことです。教師は子どもたちにわかる言葉で話すことをいつも意識しています。しかし、時には子どもたちが知らない言葉であってもその場面にふさわしい言葉を選んで使うことが大切です。子どもたちがその状況から言葉の意味を自然に理解できることもよくあります。あとから教師が説明したり、時には話を中断して辞書を引かせることもよいでしょう。国語の時間だけでなく、すべての時間で子どもたちの語彙力を高めることを意識してほしいと思います。
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