子どもが友だちの発言を聞かない理由

授業を参観していると、子どもが友だちの発言を聞いていないと感じることがよくあります。友だちの発言中も教師の方を向いていて、その内容に反応しない。教師が他の子どもの発言を求めると、ちゃんと反応する。授業には参加しているのに、友だちの発言は聞こうとしない。なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

このような授業に共通して感じるのは、子どもが友だちの発言を聞く必然性がないということです。

子どもの発言を受けて、「はい、正解」「いいですね」と言って、教師が一人で説明をする。
教師の求める答えでなければ「他には」とその発言は無視して次に行く。

このような進め方ですと、友だちの話を聞かなくても教師の発言を注意して聞いている方がよくわかるし効率的です。説明の後に要点を教師が板書してくれるのであれば、教師の話も聞く必要がありません。板書を写すことに専念すればよいのです。

では、聞く必然性はどうやって作ればよいのでしょうか。基本は子どもの発言できるだけ生かすことです。

「Aさんの説明を聞いて、なるほどと思った? 思った人、どこでなるほどと思ったか教えてくれる」

「Aさんの説明で納得した? よくわからない人もいるみたいだね。だれか、Aさんのかわりに、Aさんの考えを説明してくれる」

このように、子どもの発言を他の子どもにつないでいくようにするとよいでしょう。
また、友だちの発言を聞いていないと答えられない質問をすることも、聞く姿勢を作るためには有効です。

「今、Aさんがとてもいいこと言ってくれたけど、Bさんもう一度言ってくれる」
「わかりません」
「よく聞いてなかった? もったいなかったね。悪いけどAさんもう一度言ってくれる」
「・・・です」
「Aさんありがとう。Bさん言ってくれる」
「・・・です」
「Bさん、よく聞けたね」

このような場面では、友だちの発言を聞いていたことをきちんと評価することも忘れないようにしてください。

子どもが友だちの発言を聞かないのは、実は教師がそのことをちゃんと子どもに求めていないからなのです。
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