数学におけるアクティブ・ラーニングのポイント

2学期に、高等学校の数学の先生対象の研修で講師を務めました。アクティブ・ラーニングをどのように進めたらよいかという内容です。

高等学校でもアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)に対する意識は高まってきているようです。参加者のかなりの方が挑戦しているようでしたが、数学では子どもたちがグループで問題を解く活動と考えておられる方が多いようでした。「できる子どもが教えるので、他の子どもが考えないのでなかなかうまくいかない」といった声も聞こえてきました。
数学でアクティブ・ラーニングを考える時のポイントとして、次のようなことをお話ししました。

・子どもたちのレベルに合わせた課題(仲間の助けが必要になる、相談したくなるようなもの)であることが必要
 そのためには、教師が子どもをしっかりと把握することが大切である。

・主体的に取り組むためには仕掛けが必要
 明確な根拠がなくてもよいので、まずは自分の立場を持たせるとよい。自分の考えが正しいかどうか意識することによって考えたくなる。

・正解を教師が解説しない
 教師の解説を聞けばよいと思ってしまうので、自分たちで取り組む意欲がわかない。受け身ではなく、子ども同士の説明で納得する場面が必要である。

・余韻が必要
 子どもたちは、説明を聞いてわかったつもりになっていることが多い。深い学びは、新たな疑問が出てくることや、もう少しと考えたいと思うところから生まれてくる。「もやもやする」「もう少し考えたい」といった言葉が聞こえてくるような授業を目指すとよい。

具体的に「鈍角三角形をハサミで2回切った図形を組み合わせて長方形をつくる」という問題をグループで取り組んでもらうことで、アクティブ・ラーニングを子どもの立場で体験してもらいました。
最初に何種類できるかを問いかけます。2通り、4通り、・・・とかなり意見が分かれます。中にはできないという声も上がりました。挙手で確認した後、グループで問題に取り組んでもらいました。数学の先生方でしたが、意外とてこずります。こういった問題は高校の授業や大学入試で扱わないからなのでしょう。1つ見つけたグループから声が上がります。それを聞いて、まだ見つかっていないグループの動きが活発になります。こういうところは、子どもたちと同じです。
すべてのグループで見つけるだけの時間を取れませんでしたが、発表してもらいました。実際の授業でも、よくあることだと思います。一つのグループの発表が終わった後、反応をする方がいました。その方を指名すると、先ほどの答をもとに別のやり方を見つけたと説明してくれました。発表者と聞いている者がつながりました。全員が解けることにこだわらなくても、このようにつながっていけば、どの子どもも授業に参加できます。
この他にもまだ何通りかあることだけを伝えて、この場面を終わりました。この問題に再度取り組む方がいれば成功ですが、どうだったでしょうか。この活動で、主体的に取り組み、他者とかかわりながら、考えを深めることを目指すというアクティブ・ラーニングのイメージを持っていただければ嬉しいのですが。

最期に評価についてお話しして終わりましたが、時間配分が上手くできず、予定した内容をすべてお伝えできませんでした。申し訳ないことをしました。
今回久しぶりに、私の専門教科の数学についてお話をすることができました。数学におけるアクティブ・ラーニングについて考えるよい機会となりました。このような場をいただいたことに感謝です。
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