今後の学校の変化が楽しみ

先週、私立の中学校高等学校で授業アドバイスを行ってきました。

先日行われた研修では、授業者と直接お話しする機会がなかったので、この日に振り返りを行いました。
全員に共通していたのが、自分の授業をきちんと振り返ることができていたことです。私が指摘する以前に、自分で課題を意識することができていました。このことは彼らが今後成長していくためにとても重要なことです。どのような子どもの姿を目指すのかを意識して子どもたちの様子を見ていれば、自然と課題は見つかります。日々その課題を解決しようとして授業に臨めば、間違いない力はついていくのです。これからの成長が楽しみです。

国語の講師の方と一緒に、高校1年生の国語の授業を参観しました。授業者は若手の先生です。
子どもたちがコンクールに応募する新俳句(川柳?)をつくる授業で、この日は、秋、冬をテーマにしたものでした。授業の一環として応募しているそうですが、毎年何名かは佳作に入っているようです。参考としてその内の一つを取り上げ、どのような情景かを考えさせました。創作に時間を取りたいので時間をあまりかけることはできませんでしたが、なかなか面白い句で、国語好きな子どもでしょうか、数人がよく反応していました。
子どもたちは以前にも俳句づくりに取り組んだ経験があるようです。特に授業者が指示をしなくても、季語などの資料や辞書などを使ってそれぞれのペースで進めています。
中には数人で雑談をしているように見える子どもたちもいます。講師の方にその姿を見てどう思うかと聞くと、よくない状況だと判断されました。何を話しているかわかりませんので、その瞬間で判断することは難しいことを伝えました。この子どもたちは、時々話をしては一気に集中して句を書いています。句づくりに関することを話していて、しっかりと授業に参加していたのかもしれません。また、ずっとまわりとおしゃべりしているように見える子どもがいましたが、その言葉の端々に俳句らしきものが聞こえてきます。他の迷惑になっていたかどうかは別にして、その子なりの創作方法で授業に参加していたのかもしれません。難しい顔をして創作に苦しんでいるように見える子どもが、隣の子どもの作品を覗いて笑顔になっている場面もありました。自分の作品ができれば、見せ合って楽しそうにしています。子どもたちの見せる姿は、場面によっても変わります。すぐに注意したりせずに、よく見ることが大切です。
授業者は、笑顔を見せながらそういった子どもたちのそばに行き、どんなことを話しているか聞いたり、声をかけたりしています。子どもたちの声が少し大きくなることもありますが、ある程度までいくと自然に落ち着いていきます。子どもたち自身でコントロールできていました。この授業が理想的なものとは言いませんが、少なくとも、一問一答で授業者が解説し、子どもたちは板書を写すという旧来のタイプとは比べて、子どもたちが主体的対話的に学ぶ姿を見ることができました。こういった授業を見ることで、講師の方の授業観が少し変わってくださればと思います。

この日も、中学校の先生が相談に来てくださいました。社会科のルーブリックについての相談です。よく整理されコンパクトにまとまっていましたが、子どもたちに示すには少し難しい言葉が使われていました。子どもたちにとってわかりやすい言葉にすることをアドバイスしました。例えば「課題を見つける」と「疑問を持つ」「知りたいと思う」という言葉を比べて見れば、前者の方がよりレベルの高いものを示していますが、後者の方が子どもたちにわかりやすく具体的にイメージしやすいと思います。これは教師側にとっても、子どもたちの具体的な姿をイメージしやすいというメリットがあります。ルーブリックをもとに、具体的な学びのイメージを教師と子どもが共有できることを目指してほしいと思います。

言語技術(Language Arts)についての研修を、外部講師を招聘して開いたそうです。子どもたちの思考力をつけるためにも、このような取り組みは大切だと思います。今後取り入れるとすれば、どの教科で行うのか、どのように教科間の連携をとるのか、具体的にどのような活動をするのかといったカリキュラムマネジメントが求められます。来年度からの実施を考えるのであれば、すぐに取り組みを始める必要があります。校長が任命したメンバーで進めるのではなく、オープンなメンバーによるプロジェクト形式がよいと思います。
「中学校の新教科」「セキュリティ」「言語技術」と、新しいテーマが目白押しです。先生方自らが考えつくり上げていくことが大切です。私は直接プロジェクトに参加するのではなく、先生方の思いを実現するための相談役に徹したいと思っています。先生方がどのような夢を描かれるのかとても楽しみです。
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