考えさせる授業に必要なこと

昨日の日記の続きです。

3年目の先生の理科の授業は、2年生の前線の学習でした。
前時の復習を行いますが、基本的には知識の確認です。子どもの答に「はい、正解」と授業者が返します。こういった場面では、できるだけ全員参加をさせたいところです。また、授業者がいつも正解を判断すると、子どもたちは先生の求める答探しをするようになります。「正解」と言わず、テンポよく何人も指名して、子どもたち自身で確認、納得するようにさせるとよいでしょう。

子どもの授業に対する参加意欲は高いものがあります。この学級に限らず、この学校の子どもたちは授業に前向きだと思います。授業者が黒板を使って説明している時に、とても集中して見ていました。このまま次の課題に向かえば、よい形で集中を維持できるのですが、板書を写す時間を取りました。ともすると、板書を写すことは思考を伴わない作業になってしまいます。単純な作業にしない工夫が必要です。
写すことをさせないで、板書の内容を印刷したものを渡して、これを元に考えるような課題を与えるといったやり方をしてもよかったかもしれません。

前線の動きと地上の天候の変化の関係を考えることがこの時間の課題です。課題そのものは決して悪くはないのですが、子どもたちが考えるために必要な知識がきちんと整理されていません。子どもたちは、温かい空気が冷たい空気にぶつかった時には緩やかに上昇するのに対して、冷たい空気が暖かい空気にぶつかった時には急激に下降するといった事実や、その理由がよくわかっていないようでした。こういった知識が整理されていないと、気温や天気の変化からどのような前線が通り過ぎたかはわかりません。ザックリとは復習していましたが、全員にきちんと理解させておく必要があったと思います。
子どもたちは、気温の変化を手掛かりにしていたようですが、変化の速さといったことはあまり意識していません。グループで活動しているのですが、子どもたちは教科書や資料集をもとに結論を探しているようでした。これでは答探しになってしまいます。
考えるためには、その足場となる知識が必要です。授業者がきちんとそのことを意識して、課題に取り組む前に整理することが大切です。子どもたち自身でその知識を意識させ、整理させたければ、活動の途中でどのようなことをもとに考えたかといったことを共有する必要があります。「どこで困っている?」とたずね、「同じ所で困っているグループ?」と困り感を共有し、「どうやった?」と自分たちで解決できたグループにつなぎ、結論ではなく根拠としたことを全体で確認するのです。
また、こういった活動をする時には、結論そのものが載っている資料は見せないよう注意が必要です。考えるために必要なものとじゃまなものを整理してから授業を組み立てることが大切です。

授業者は意識していないかもしれませんが、「知識を覚え、答を探す」授業になっていました。子どもたちとの関係もよく、学習に対する意欲を持たせることもできています。「知識を元に答を導き出す力をつける」授業を意識することで、大きく進歩すると思います。

この続きは明日の日記で。
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