子ども同士がかかわりながら理解していく場面が必要

昨日の日記の続きです。

5年生の授業は、値引きの問題を元の量の何倍にあたるかで考える場面でした。
子どもたちの視線がそろわないことが気になります。黒板に貼ったコピーを見ている子ども、授業者を見ている子ども、手元を見ている子どもとバラバラです。
15000円の10%引きの代金を求める問題で、百分率の確認を行います。挙手が数人しかいないのに、指名して進みます。「10%引き」という言葉の意味を全員が理解しているかはっきりしません。授業者は「納得した?」と確認しますが、子どもたちはあまり反応できていませんでした。「まわりの人と確認して」と子ども同士で言葉にさせるといったことが必要でしょう。

どうやって考えるかを、すぐに線分図を示して説明します。子ども自身に問いかけて考えさせる時間がありません。線分図を使った問題を授業の最初に復習しておくといったことをして、この課題を解くための足場をつくっておく必要がありました。見通しを子どもに持たせようとするのですが、授業者の一方的な説明が続くだけで、子どもが自分で咀嚼する時間がありません。授業者の「できそうですか?」の言葉に対して、反応がうすいことからそのことがわかります。

最初に教科書を開かせているのですが、利用する場面がありませんでした。教科書には、この問題を考えるための線分図が載っています。中にはそれを見ている子どももいます。ここでは、求める代金が線分図で1から0.1を引いた残りであることを自分で考えさせたいのですから、教科書はじゃまだったように思います。
授業者は、困っている人は近くの人に「教えてもらって」という言葉を使いました。子ども同士をかかわらせようとするのはよいことですが、「教える」と「教えてもらう」は取りようによっては上下関係が感じられます。子どもの自尊心を傷つける可能性があります。近くの人に「聞いてごらん」、近くの人と「相談して」といった表現をするとよかったでしょう。

指名した子どもに式を説明させます。線分図をかいて黒板の前で説明しますが、授業者の方を向いてしゃべります。友だちにわかってもらおうとしていません。線分図で0.1を引いた残りが求めるものであるのは、10%「引き」だからです。この「引き」をしっかりと押さえておく必要がありますが、このことを授業者は確認しません。線分図の「0.1が何であるのか?」「なぜ残りの0.9を求めているのか?」といったことを問いかけて、子どもの考えを整理し、他の子どもにわかるようにする必要がありました。説明後、「他の人はどう思いましたか?」と確認しますが、子どもたちは反応できませんでした。

授業者は、値引きした金額、代金の関係を整理しようとして、これは「何のお金?」と問いかけましたが、何を答えてよいかよくわかりません。「10%引き」を「10%安くする」「10%値引きする」というように、子どもたちの言葉でたくさん言い変えさせるとよいでしょう。「代金は、元の値段と比べてどれだけ安い?」、「値引きは元の値段の何倍?」「代金は元の値段の何倍?」といった問いかけをしていくことで、子どもの考えが整理されていくと思います。

授業者やわかった子どもの一方的な説明を聞いて理解するのではなく、子ども同士がかかわりながら理解する過程を授業に組み込む必要があります。「友だちの説明を聞いてまわりと確認する」「友だちの考えを自分の言葉で説明する」といった場面が必要です。授業を組み立てる時に、これだけは全員にしっかりと理解させたいと思うことを共有する場面を意識的につくる必要があります。

ペアで相談させる場面で、隣の子どもとかかわれていないのに、挙手をする子どもがいます。子ども同士のかかわり合いが、学級全体でまだうまくできないようです。学び合いはペアやグループの活動を取り入れれば成り立つというものではありません。子ども同士がかかわり合う必然性をどうつくるかということが大切です。そして、友だちとかかわって「よかった」と思える場面が必要になります。互いが認め合うことを日ごろから意識しておかないと、なかなかかかわり合うことができないのです。

この学校における「学び合い」への取り組みは、まだ始まったばかりです。こういった課題を学校全体で共有して、互いに学びあってほしいと思います。

この続きは明日の日記で。
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