評価について先生方と打ち合わせ

私立の中学校高等学校で教科主任の先生方と打ち合わせを行ってきました。

先生方の共通の課題としては、新学習指導要領下での評価があげられます。これまで観点別評価を行ってこなかった高等学校では来年度に向けてどのようにしていけばよいのか多くの方が悩んでおられました。評価と合わせてそれに連動する評定も悩みの種です。
評価は子どもたちが成長するための気づきにつながることが基本です。特に主体的に学習に取り組む態度の評価は子どもたちの調整力を働かせることにつなげることが強く求められます。先生からの評価だけでなく子ども自身が自己評価しメタ認知を働かせることも重要です。先生からの評価は子どもの成長のためのサイクルの一部でしかありません。このことを意識していただくようにお願いしました。
実技教科などでは、先生がグループや個人の活動場面で個別に観察指導しているので評価は特に困らないと考える方もいるかもしれません。しかし、子どもたちが指導や仲間とのかかわりを通じてどのように自己の学びを調整していったかは、外部からでは見えにくいところがあります。単に言われたことを実施してスキルアップしたのか、自分なりに解釈を加えて工夫をしたのかは本人にしか、いや本人でも明確に認識するのは難しいと思います。そういった点を認識するためには、メタ認知を働かせることが有効になります。毎時間ごとに振り返りを書き、単元の最後などにそれまでの振り返りを振り返ることがメタ認知を促します。この学校では一人一台のタブレットが導入されていますので、うまく活用して、振り返りを活動の記録(実技であればプレイや演技の動画や写真)と合わせてポートフォリオとして蓄積することが望まれます。細かい運用は教科に任せるとしても、今から学校全体で基本となる仕組みを作ることが必要です。このことを検討するようお願いしました。
また、今後評価をもとに評定をどうつけるかが大きな問題となってきます。学習指導要領では評価と評定の関係は明確に示されていません。評定をどのようにしてつけるかを学校として明確にすることが求められます。大学推薦の基準では評定が利用されます。保護者や生徒の関心が高いだけに、客観的な事実をもとに誰に対しても明確に説明できる透明性が重要になります。具体的にどうやって評定をつけるべきかは私から提案することではありませんが、このことを意識することだけは強くお願いしました。

新学習指導要領を受けて授業をどのように変えていくのかについても、いろいろとお話することができました。既に授業改善への取り組みが進んでいる教科や、求められていることは理解していてもなかなかその一歩が踏み出せない教科と状況は様々です。進んでいる教科も個々での取り組みが主で、教科全体としての方向性までには至っていないようです。新学習指導要領をきっかけに教科としての取り組む方向が明確になることを願います。
一人一台のタブレットの活用も日常的になってきました。今後、新学習指導要領への対応も含め、どのように活用するかがより一層問われるようになってきます。より深い学びにつながる道具として、子どもたち自身が判断して活用する場面が増えることを意識してほしいと思います。

3年生の主任から、志望大学に関して、で少しでも偏差値の高いところを目指そうとしている生徒への対応について相談を受けました。偏差値が低い大学に入ってまわりからバカにされたくない、大学のランクが自分のランクになるので偏差値が高い大学に進学したい。そういった考えが志望動機のようです。自分が何を勉強したいか、どうなりたいかでなく、大学に入ることが目的化しているようです。もちろんこういった生徒は一部なのですが、保護者も含めて大学ランキングにのみ意識が行ってしまい、将来の進路設計を考えようとしないことに先生は危機感を持っていました。社会に出れば、どの大学を出たかではなく、何を学んだか、何ができるかが問われるのですが、そのことを伝えてもなかなか理解してもらえないようです。保護者がかつての出身大学で就職が決まっていた時代の感覚から抜け出せないのも大きな理由でしょう。無理をして合格可能性の低い大学を目指すことを否定するわけではありませんが、例え合格してもその後が続かなくなることが心配です。目先の見栄ではなく、将来について真剣に考えてほしいのです。
私からは、進路について考える時間をとることを提案しました。先生が何かを話すのではなく、子ども同士で志望理由を聞き合わせるのです。偏差値やランキングではなく、自分の学びたいことや大学の特色をもとに志望校を考えている子どもも一定数いるはずです、友だちの考えを聞き合うことで彼らの視野が広がることを期待したいところです。

英語の授業に関連して、リスニングの取り組み方について提案をさせていただきました。子どもたちはイヤホンを持っているので、個別にリスニングの音源を何度も聞くことができます。また、この学校ではリアルタイムに書き込みを共有できるアプリが導入されています。そこで聞き取れたことをネット上に書き込み、リアルタイムで共有するのです。聞き取れるまで繰り返し聞くことと合わせて、友だちの聞き取れたことをすぐにヒントにして聞くことで自分の耳で聞き取るチャンスが増え、聞く力をつけることにつながります。リスニングでは試験の形式を意識してか一斉に聞いて解答する授業が多いのですが、聞く力をつけるためには一人ひとりの聞き取りを大切にする工夫が大切だと思います。こう提案したところ、やってみたいと前向きなお答をいただけました。結果の報告を聞くのが楽しみです。

この日は、高校1年生の授業の様子と中学校全体で取り組むゼミの様子を参観しました。高校1年生は例年と比べて子ども同士の人間関係が柔らかく見えました。先生との関係も良好で、家庭的な雰囲気を感じさせる学級が多くありました。今年度8学級あるコースを2つのグループに分けて、3年間その枠を崩さないことにして実質4学級ずつの2つのコースに分けたことも影響しているかもしれません。この後実施されるオリエンテーション合宿では、子ども同士の関係が既にできているので、人間関係づくりのプログラムで子ども同士がなれ合い状態にならないように気をつける必要があるかもしれません。規律を守るべき場面と、かかわりを大切にする場面とのメリハリを意識してほしいとお伝えしました。
中学校のゼミはテーマごとに学年を越えて集まった小集団で活動を行うのですが、ゼミによって生徒の様子が大きく異なることが気になりました。担当の先生がどのような子どもの姿を望んでいるかの違いというか、そのことを意識しているかどうかの違いのように思われます。床に座り込んでタブレットで作業しているようなグループも目に付きます。まだ学習規律が整っていない1年生がこのような状況で活動することはちょっと心配です。また、男子同士、女子同士になっているグループばかりのゼミがあることも気になりました。中学校では意図的に男女が交わるグループにした方がよいように思います。中学校としてゼミの持ち方、進め方を再度すり合わせる必要を感じました。

学校全体としては学級数も毎年増え、入学者の学力も上昇傾向にあります。この状況を「これから3年間はもっと大変になる」ととらえている先生が何人かいらっしゃいました。その通りだと思います。入学者の質が高ければ、今まで以上に成長させて卒業させることが期待されます。学校がよい方向に向かっているのでこれでよいと気を緩めるのではなく、カリキュラムの充実や授業改善などの学校改革がより一層重要になります。これまでと同じではダメなのです。このことを意識されている先生がいることはとても心強いことです。この意識を学校全体で持つことができれば、この学校の未来は明るいと思います。そうなるように、私もできる限りの支援をしたいと思います。

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