中学校の研究中間報告会に参加

先週末、中学校の研究中間報告会に、英語の助言者という立場で参加しました。

初任者の1年生の授業です。
授業開始前に教科係が中心となって、復習テストとその解答をおこないます。子ども同士のやり取りがとても興味をひきました。「発音はわからないけど、p、e、・・・」とスペルで答える子どもがいましたが、「people」の発音を友だちが教える場面はありませんでした。最終的に答がわかればいい、この場面は自分に関係ない。そういう態度です。係が答を板書するときに、単語のスペルを言ってと確認したところ、他の子から「わからないの?」とちょっと揶揄するような声がかけられました。言われた子は「知っとるわ!」と強い口調で言い返しました。前回訪問した時もそうでしたが、攻撃的な言葉をよく耳にします。子ども同士の関係が決定的に悪いというよりも、ソーシャルスキルが低いのかもしれません。いずれにしても、子ども同士のかかわり合いをよい形にしていく必要を感じます。

授業の最初は、全員で英語の歌を歌います。この間、子どもたちのようすを観察しました。基本的に子どもたちは歌うことが好きなようです。ほとんどの子どもの口は開いていますが、声はあまり大きくありません。自信がないのでしょうか? 目が歌詞カードを追っている子、歌詞カードを見ずに笑顔で歌っている子、目がぼんやりと斜め前方を見ている子、子どもたちの見せる姿は様々です。授業者はこの活動で何を求めているのでしょうか。英語を楽しんでほしいのなら、笑顔で歌っている子どもを評価して、笑顔を広げる必要があります。英語に慣れてほしいのなら、できるだけ歌詞カードを見ずに歌ってほしいところです。歌い終わって、「大きな声で歌えたね」と授業者は評価しました。いつもより大きな声だったからほめたのでしょうか? そうであれば、「いつもより」大きな声で歌えたと評価すべきです。絶対的に「大きな声」と評価すると、この声の大きさが「大きな声」の基準になってしまいます。あの声の大きさが授業者の求める大きさだったのか、考えてみる必要があります。

授業者と子どもたちの関係は良好に見えます。指名した子どもの発言をしっかりと受け止めています。しかし、復習の場面では、一人指名して正解であれば全体に確認して終わっていく、一問一答になっています。本文を見ながらCDを聞いて、コーラス・リーディングをする場面で、強く読むところに○をつけている子どもをほめました。しかし、どこに○をつけたのかその内容を聞いたり、他の子どもたちに伝えたりしませんでした。○をつけたことを共有化して、そこを一緒に読んでみるといった活動を入れてほしいところです。子ども同士がつながる場面が少ないことが気になります。

この日の課題は、”Can you 〜 ?”、”Can I 〜 ?”を使った8文以上で構成されるスキットをグループで作って発表することです。子どもたちがスキットを作る参考にと、ビデオを見せました。学年の先生方に出演してもらって制作したものです。子どもたちは、先生方が英語でスキットを見せてくれるので大喜びです。ビデオを観た後、その内容の簡単な確認をしました。この扱いはどうあるべきか気になります。子どもたちがsituationをつくる参考にするのか、スキットで使われている英文も含んで参考にするのかで扱いは異なります。英文を子どもたちにできるだけ一から考えさせたいのであれば、必要なのはsituationなので、音声をカットして見せる方法もあります。英文も含んで参考にさせたいのであれば、1回見ただけではきちんと聞き取ることは難しいので、スキットの英文を印刷して配るという方法もあります。いずれにしても授業者自身が目的を明確にし、そのうえで子どもたちにもきちんと意識させることが必要です。子どもたちが何を意識してビデオを見ていたか、気になるところでした。
また、このビデオ自体の評価も難しいところです。他の先生方の協力を得て作ったととてもよくできたものですが、日常的につくり続けることができるかということです。研究発表ではこういった「ごちそう」授業が行われることが多いのですが、日常的に実践することが難しいのであれば、あまり意味があることではないのです。もし、こういったビデオが労力に見合う価値のあるものであれば、学校全体、教科全体でラインナップをそろえることをすべきでしょう。

4人グループでの活動は面白いものでした。ビデオを見てやる気がでたのか、子どもたちのテンションは上がっていきます。テンションが高い状態がしばらく続きました。やがて、子どもたちのテンションが落ち着きました。このとき、子どもたちはスキットの英文を考えていたのです。真剣に考えているときにはテンションは下がります。子どもたちのテンションが上がっていたのは、スキットのsituationを話し合っているときです。気軽に意見を言える、思いつきで話せるのでテンションが上がるのです。授業者の思った以上に時間がとられてしまい、スキットの練習時間はあまり取れませんでした。時間を取られていたのは、本来の英語の活動とは関係ないsituationを考える場面です。ここがカットされれば時間はずいぶん違ったことと思います。予めsituation設定して、その会話部分を考えることにするといった工夫が必要です。

発表は各グループ代表2名によるものです。ジェスチャーをつけるといった目標も設定されていたので、子どもたちは精一杯の演技をしますが、英文はメモをちらちら見ています。一方発表者以外の子どもはリラックスして、楽しそうに見ています。笑い声もたくさん出ます。同じグループの子どもも観客として楽しんでいます。各発表後、授業者がコメントします。よいところをほめ、工夫した英語表現を説明します。しかし、子どもたちに英語が伝わったのかどうかは問われません。せっかく子どもが考えた英語表現も全員にきちんと共有はされていません。出力することが目的化して、「英語」で表現して「伝える」という、英語でのコミュニケーションが忘れられているのです。
聞く側の子どもたちに、明確な目的、目標を与えることが必要です。聞きとった英文を書き取る。知らない単語、表現があれば、発表者に教えてもらい自分のものにする。スキットを演じる2人に対して残りの2人がそれぞれとペアとなり、演じる側は英文を暗唱し、つまずいたときはペアが横で助ける。こういった子ども同士をつなぐような工夫が求められるのです。

いろいろと指摘をしていますが、レベルの低い授業だったということではありません。立派な授業でした。初任者の授業でこれだけの指摘をすることはまずありません。子どもとの関係など、基本となることがきちんとしているからこそ見えてくることがたくさんあるのです。教科の先生方を始め多くの先生のバックアップもあったことでしょう。いろいろな先生方の思いが授業に詰まっているからこそ、たくさんの気づきがあるのです。

授業検討会では、グループ活動に関する気づきや疑問が出されました。グループ活動で英文を各自で考えていましたが、自分では作れず友だちのものを写している子どもが目立ちました。この授業だけでなく、子どもの関係が、答を教える・教わるという一方通行的な形になっているのがこの学校の特徴です(「学び合いの形を考えた授業(長文)」参照)。そうではなく、互いに学びあえるような双方向の関係をつくることを意識しなければいけません。答を伝え合うのではなく、その過程を共有することを授業のいろいろな場面で意識してほしいと思います。グループでの活動の時に、和英辞典をグループに数冊準備しました。このことが話題になりました。子どもたちは表現がわからなければすぐに教師に聞こうとします。辞書を準備することで、自分たちで考えることができます。発表の時にその表現を取り上げ、どうやって考えたかを発表させることで、考える過程が共有化できます。こういう活動が大切になるのです。
また、グループで子どもたちの間違いを発見した時にどうすればよいのかという質問もありました。子どもたちが自分で気づくのはなかなか難しいところなので、悩むところです。「できた? どう、自信ある?」と揺さぶるのも一つの方法です。その上で、「辞書をよく読むと、使い方の例文があるよ」「英和辞典を引いてみるのもいいよ」といった、方法を教えるのです。その場限りの知識を教えることではなく、いろいな場面で役に立つメタな知識を教え、それを全体で共有するように意識するとよいと思います。
最後に、situationをベースにした英語の授業の考え方について、田尻悟朗先生から学んだこと(「田尻悟郎先生から大いに学ぶ」参照)をもとに簡単なポイント(「英語で大切にしたい活動」参照)を話させていただきました。
授業者を含め、参加者の皆さんが前向きに授業を考えていることがよくわかる検討会でした。

検討会終了後、授業者とお話させていただく時間を設けていただきました。その際、希望する方は同席いただいても問題ないことをお伝えしたところ、英語科全員が参加してくださいました。他人事ではなく、自分たちの授業としてとらえている証拠です。この授業のことに限らず、疑問に思っていること、悩んでいることを聞かせていただきました。自分たちの授業をよくしたいという気持ちがあふれています。
先日訪問した時にお話したことをさっそく実行して、その結果子どもの姿が変わったと報告してくださる方もいました。アドバイスをすぐに実行するというのは、意外とできないことが多いものです。素直な姿勢と向上心がないとできないことです。校長からも、理科のベテランが先日のアドバイスを意識して、子どもとのやり取りを工夫していたと報告がありました。とてもうれしく思いました。
このような先生方ですから、きっと今後大きく進化することと思います。そこに立ち会える機会をいただけることをとても幸せに思います。

小学校で授業アドバイス(長文)

昨日は小学校で若手4人の授業と研究授業のアドバイスをおこないました。今年度4回目の訪問です。

1人目は1年生の算数の授業でした。
子どもたちが落ち着いて授業に参加していました。授業者は指示が全体に対して通るまで待っています。動きが遅い子どもを叱るのではなく、「○○するのは後にして、△△しよう」と行動を促すようにしています。柔らかい雰囲気で授業が進んでいきます。全体の状況を確認してから授業を進めることができるようになっていました。初めて授業を見せていただいたころからは格段の進歩です。
子どもの言葉をしっかり聞こうとしていることがよくわかります。発言者をしっかり見て、たどたどしい子どもの説明をうなずきながら聞いています。子どもたちは先生にわかってもらおうと一生懸命です。授業者と子どもの間によい関係がつくられてきています。次のステップを意識する段階に来ているようです。子ども同士のかかわり合いをつくることです。
授業者は子どもが発言している間、ずっとその子を見ています。他の子どものようすが目に入っていません。友だちの発言に反応している子どももいます。「今、手を動かしていたけれど、それってどういうこと?」と声をかけるときっとよいことを発表してくれるはずです。が、まだ発言を聞くことに手いっぱいで周りを見る余裕がないのです。
子どもの言葉で授業を進めようとしていることもよくわかります。子どもの発言も多いのですが、一部の子どもだけで進んでいきます。先生がしっかりと聞いてくれるので子どもは発言したいのです。しかし、なかなか指名されず受け身の時間が増えてしまうので、集中力をなくす子どもが出てきます。隣同士で確認させる時間をつくるといった、子どもの活動量を増やす工夫が必要になります。
また、余裕のなさが表情にも表れます。とてもよい笑顔ができるのですが、対応をどうしようと考えているときなど、表情が硬くなります。子どもは、教師の表情に敏感です。自分がおかしなことを言ったのではないかと不安になります。また、発言に対しての評価もあったりなかったりします。友だちが評価されて、自分が評価されなければがっかりします。発言したことを表情や言葉でポジティブに評価することを忘れないようにしてほしいと思いました。

2人目の授業は3年生の国語の授業でした。「こそあど言葉」の違いを考える場面でした。
授業者は子どもたちを笑顔で受け止めています。子どもたちにも笑顔があふれていました。安心して授業に参加していることがよくわかります。
「ように」は何を表すかを問う場面です。一部の子どもしか手が挙がりません。指名して発表したあとハンドサインでほとんどの子どもの手が賛成と挙がります。相互指名をしていくのですが、それぞれが自分の答を言うだけでつながりません。最後に授業者がみんなの言ったことは「ようす」という言葉で言えるねと、1度も子どもから出なかった言葉でまとめました。発言することが目的化してしまい、子どもたちは友だちの発言を受けて考えることはしていません。教師が最後に正解を言うのでその必要はないのです。子どもの発言をつなげながら考えを深め、子どもの言葉で答えに到達することを目指さなければ、聞きあえるようにはなっていきません。
子どもに「これ」「あれ」「それ」の違いを発表させる場面です。半分くらいの子どもが挙手しました。子どもの考えを発表させますが、わからない子どもは理解できません。友だちの発表を真剣に聞いていても、納得できないのです。子どもが気づく、理解するための活動がないからです。実際に何度も「こそあど言葉」を使いながら、「どう違う?」「これはどれを使う?」と問いかける。友だちの考えが正しいかどうか、その考えにそって実際に使ってみて確かめる。そういった活動が必要です。答を見つける過程、根拠を共有化しなければなりません。
友だちの「ど」の説明に、多くの子どもが「あっ」と言う場面がありました。授業者はそこで、他の子どもにつなぎました。よい場面でした。数人につないで発表させたあと、授業者は「問いかける」と結論をまとめましたが、それで全員が理解できているかどうかわかりません。「『どれ』は?」「『どの』は?」と一つひとつ使いながら本当にそうであるか確認してほしいところでした。
最後に「こそあど言葉」を使う練習をペアでするように指示しました。聞き手に対して「あっているか聞いてあげて」と指示をしてすぐに開始です。どちらが先かじゃんけんをしたりして、子どもたちのテンションが上がります。本質に関係のないことで時間を使わないことが大切です。どちらが先かといったことは、教師が決めてしまえばいいのです。また、チェックをするように指示をしても、具体的ではないので、結局言いっぱなしです。活動に入る前に、授業者が具体的にやって見せることが必要だったと思います。

3人目の授業は6年生の体育でした。バスケットボールの練習です。
子どもは楽しそうに活動していますが、何を意識して練習するのかはっきりしません。グループでおこなっていますが、一人ひとり順番にやっているだけの個人練習です。時々集めて、授業者がポイントを説明しますが、チェックは個人任せです。グループでの練習ではかかわり合いが大切です。友だちのプレーを見てアドバイスする。ボールを拾って次の人に渡す。お互いを必要とする活動をさせる必要があります。
また、最終目標に到達するために必要な活動を明確にして授業を組み立てる必要があります。一つひとつのステップを意識して、「できるようになる」練習をすることが大切です。ただ、シュートを打つ、1on1をやる、ではできるようにはなりません。シュートの精度を増すためには、ステップ、ボールのリリースポイントなどたくさんのことを意識しなければなりません。それらが身につく練習を工夫することが大切です。体育はできる、できないがはっきりする教科です。だからこそ、できるようになる方法論が必要なのです。

4人目の授業は、5年生の算数でした。
授業者は勉強熱心でいろいろなことを積極的に学んでいます。「音声計算練習」や「○つけ方」なども取り入れています。しかし、授業は子どもたちの活動がばらばらで、うまく成立していませんでした。細かく指摘することはあるのですが、根本の問題は授業者が挑戦しているいろいろなことが中途半端で、徹底できていないことにあります。たとえば「○つけ法」であれば、声かけや部分肯定は中途半端で、全員に○をつけずに終わっています。子どもをほめたり認めたりすることもするのですが、他の場面では全くできていないことがあります。あれもやらなければいけない、これもやろうといろいろ手を出しすぎて、一つひとつがやり切れていないのです。学んだことの中で、まず何を最初にできるようにしなければならないのかを意識してほしいと思います。また、1時間の授業で子どもたちにどうなってほしいというゴールを常に意識する必要もあります。走り方ばかりを考えていて、いつの間にかゴールが見えなくなっているからです。あせっていろいろ手を出さずに、自分にとってのゴール明確にする。そして、そこに向かうために必要な授業技術は何かを考え、使えるようになってほしいと思いました。

授業研究は、ベテランの算数の授業でした。5年生の割合の問題です。
自分から手を挙げてくださったそうです。ベテランは若手と違って、失敗するわけにはいかないというプレッシャーがあります。そこをあえて挑戦するのですから、素晴らしい向上心です。
授業者がめあてを板書すると、子どもたちはすぐに写し始めます。問題を写す場面でも素早く動きます。「早いね」と終わった子どもをほめています。子どもの動きがよくなる理由がわかります。問題を写した終わったあと、事前に指示していないのに問題文で注目すべきことを問いかけます。子どもの手が挙がります。「めあては写す」「問題文を書くときは注目すべき部分を意識する」といったことがきちんとルール化されています(ルール化する参照)。さすがベテランです。
○%引きが何倍になるかを考えることが課題です。問題把握の段階で「10%OFFはどういうことか」と聞いたところ、「0.9倍」をいきなり発表する子どもが出てきました。塾かどこかで予習していた子どもなのでしょう。授業者はこの発言を受け止め、何人かとやり取りしながら、代金は定価の0.9倍になることをまとめ、図を書いて説明することを課題として与えました。結論が先に出てしまったため、基準の1と0.9だけが書き込まれた線分図がほとんどです。図で考えるはずが、答から図を考えることになってしまったのです。「0.9倍」が出たときの切り返し方が難しいところでした。授業者は子どもの言葉を活かさなければと思いそこから出発しましたが、ここは、「0.9ってどういうこと」と返したあとの「0.1を『引く』」という言葉から、「引く」をクローズアップすればよかったと思います。「引くってどういうこと」から値引きの意味を全体で共有し、じゃあ「図に書くとどうなる」と「0.9倍」をいったん棚上げして進んでしまうのです。あとで、0.9倍が出てきたところで、「○○さんが言ってくれた0.9倍って、こういうこと?」と確認して、全員で再度共有するのです。
個人作業では○つけをしていきます。できた子どもには他の考え方がないかその場で指示していきます。このあとグループで自分の考えを発表しました。
全体の発表は、指名された子どもがたどたどしいながらも一生懸命発表していました。授業者がしっかり受け止めてくれるので、頑張って説明します。発表が終わったあとほめてくれるので、そのあとも笑顔で授業に前向きに参加します。発表した子どもはどの子もよい表情になります。あとで聞いたところ、発表したのは話すことが苦手だったり、どちらかといえば学力の低位の子どもだったりしたようです。授業者が何を大切にしているかよくわかる場面でした。
授業者はいろいろな考えを発表させます。しかし子どもたちは、説明の式は写していてもどこか他人事です。今一つ集中していません。すでに○をもらっているので、自分は正解だと安心しているのかもしれません。いろいろな考え方を見つけることを、最初に課題として全体に提示しておけば、またようすは違ったのかもしれません。ところが、授業者が友だちの考えを説明するように求めると子どもたちの態度が変わりました。2人目が指名されると、今までは前を向いていたのに、急に友だちの方を向いて真剣に聞き始めました。複数指名されたので、今度は自分が指名される可能性があります。これは聞かなくてはいけないとあせったのかもしれません。
授業者が一人ひとりとじっくり向き合っているので、他の子どもが受け身になる傾向があります。説明の途中でもいったん止めて「ここまで納得した?」と確認したり、「式のここはどういうことか、○○さんになったつもりで説明してくれる?」と他の子どもに説明を求めたり、できるだけ多くの子どもに活躍する機会を与えることも必要でしょう。
この1年、この学校でお話させていただいた、子ども受け止める、認める、評価することを意識して授業をしていることがとてもよくわかります。ベテランが新しいことをプラスしようとしているのですから、若い人以上に大きな進歩をする可能性があります。これから授業がどのように変わっていくかとても楽しみです。若い先生にとっても、とてもよい刺激になったこと思います。

授業検討会では、先生方の子どもを見る視点が育っていることを感じました。グループでの活動の時の子どものようすもしっかり見てくれています。頑張って発表してくれた子どもの、グループ活動の時のようすが語られました。ちゃんと式もできていたのですが、友だちの発表を真剣に聞いていたそうです。自分が説明するために、友だちの発表を参考にしていたのです。全体での発表をうまくできたことの裏にはこのようなことがあったのです。子どもが説明にこだわったのは、授業者が答ではなく説明を求めることがわかっていたからです。授業者が子どもに求めることが明確なので子どもが育ってくるのです。
「引く」ということを意識させるためには「10%OFF、15%OFF。どちらの店で買う?」といった発問もあります。「15%の方が大きいのに代金が安いのはどういうこと?」と問いかけて「引く」ことを焦点化します。「もとになるのは何?」「代金を1とすると、10%はどこになる?」と考えの流れにそって、線分図を順番に書いていくことで、思考を図にする方法もあります。「線分図のどこを求めればいいの?」「まだ埋まっていないところを埋めて?」と進めていってもよいでしょう。このようなことをお話しました。

若手4人、全員一緒にアドバイスをさせていただきました。自分の授業に関することを仲間に聞かれることを嫌がりません。仲間へのアドバイスを自分のことのように聞いてくれます。個別に聞くよりも何倍も勉強になるはずです。とてもよい関係です。互いに学び合って成長してくれることと思います。

教務主任は、彼らの授業を日ごろからよく観察し、アドバイスしています。現況や課題など、教務主任の伝えてくれる情報は私が授業を観察するときにとても参考になります。4人一緒のアドバイスも教務主任の発案です。彼らの成長に心を砕いていることがとても伝わってきます。
また、今後どのようにして授業を変えていくか真剣に考えておられます。空いた時間にたくさんの質問をされました。このような熱心で前向きな姿を見せられると、私もできるだけのサポートをしようと思わずにはいられません。学校の進歩のカギは教務主任であることをあらためて実感しました。今年度の訪問もあと1回です。次回もきっと先生方の成長をたくさん見ることができることと楽しみにしています。
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28