【岡崎市立福岡小学校】命の授業(命の詩・電池がきれるまでを活用して)

 本校では、学校教育目標「知・徳・体が調和し、心豊かに生き抜く人間を育てる」を掲げ、「ふ 不屈の心でやり通す」「く 工夫創意に心がける」「お 思いやりの心で助け合う」「か 身体を鍛え安全に努める」を合い言葉に健康増進教育を行っている。さらに、三つの学校保健目標を設定し、その中の一つを、「命を大切にし、自他を大切にできる子供の育成」とし、各学年の発達段階に応じた授業実践を行っている。
 5年生では、6月に、資料「母とながめた一番星」を使って授業を行った。親友につれない態度をとられて悩んでいる主人公えみに、母親が出産のときの様子を語る。そして、おなかの子の命を自分の命よりも大切に思う母親の気持ちにふれ、主人公は自分の存在を見つめ直していく。子供たちの振り返りには、「自分の存在が光り輝いていたことを知って、授かった命をもっともっと大切にしていかなければならないと感じた」と自己肯定感の増加を感じさせる記述が見られた。
 また、10月には、資料「命の詩(電池が切れるまで)」を使って授業を行った。神経芽細胞腫と診断された主人公が、電池で光る豆電球の実験を見ているうちに、自分の命の消える日がくるかもしれない不安に負けず、精いっぱい生きていくことを誓う詩である。子供たちは、今の自分と重ね合わせながら、命について考える授業とした。振り返りには、「ゆきなさんの、せいいっぱいの姿に涙が出てきた。わたしは、もっと頑張って生きていかなくてはならないと感じた」とあった。道徳的価値の高い資料であったため、子供たちの心に深く残る実践となった。
 どんなによい資料も、どこをどのように扱って子供たちと共に考えていくかによって、実践の深まりに差が出てくることも反省としてあがった。
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【豊橋市立岩西小学校】 親に感謝

 4年生の児童は、明るく、元気で、何ごとにもがんばろうとする前向きな姿勢がある。しかし、家庭では、家族の一員として決まった手伝いをしている児童はいるものの、家族に反抗してしまう児童もいる。家庭訪問のときには、「最近、ちょっと反抗期に入ったかな」「言うことを聞かないことがときどきある」などの声が保護者から聞かれた。この声を受けて、児童に、親についての事前アンケートを行った。「親に感謝している」という思いをもつ児童が多数いたが、その感謝の理由を聞くと、「なんとなく」「ゲームを買ってくれたから」など低い価値でその存在をとらえている児童もいた。また、両親や園の先生から、「宿題はやったの」「遊んでばかりじゃだめ」などの注意を、しばしば受けており、その言葉につい反抗してしまうことが分かった。このような子供たちに対し、親や園の先生に目を向けさせることで、「自分は深い愛情の下に育てられている」ということへの理解を深めてほしい、今後の生活で、積極的に家族と関わっていこうとする態度を育んでほしいと願い授業を実践した。
 資料は、北野武著「菊次郎とサキ」から本文を引用した。主人公は、母からいつも厳しい言葉をかけられている。しかし、その背後に母の優しさに満ちた思いがあったことを知ることで、どの親も深い愛情をもって子を育てているということを考えた。子供の思いや思考、つぶやきなどをもとに発問したことで、題材の内容と実生活との距離を近づけさせ、今後の家族生活に積極的に関わろうとする思いをもたせた。また、役割演技を随時取り入れたことで、主体的な学びを支えたいと考え授業を行った。
 授業後の感想では、「叱ってくれるのは、自分を思ってのことなんだ」等の感想が多々残された。題材に自らの姿を重ねながら学習を進めることができたと考える。また、子供の発言を、次の発問につなげたことで、子供の授業参加意欲が持続し、価値に深く迫ることができた。更に、話合いの焦点を二択に絞ったことで、多くの子供は、自らの考えを明確にもつことができ、価値について深く考えることができた。

【西尾市立鶴城中学校】「親友」について考える道徳科研究授業

 1年生で、教材「親友」を使って、道徳科の研究授業を行いました。小学校の頃から美咲と親友の関係を築いてきた僕が、中学に入学して、別の小学校から来た男子に、2人の関係をからかわれ、反論できなくなってしまうという話です。「黙って教室を出ていった美咲に対して、僕は、何と声をかけただろう」と発問し、みんなで考えました。生徒から、「周りの子に言い返すことができなくてごめん」「周りからからかわれるのを気にして、何もできなかった。自分が情けない」などの意見が出ました。僕の気持ちになりきることで、親友とは、どのような関係かを深く考えることができました。
 これからも、よりよい人間関係を築いていこうとする意欲や態度の育成に努めていきたいと思います。

【岡崎市立恵田小学校】4年生道徳科「神戸のふっこうは ぼくらの手で」の授業実践

 本校では、「自ら進んで学び続ける子の育成」を研究主題として、現職教育を進めるとともに、心豊かな児童の育成を目指して道徳教育の充実を図っている。
 今回は、4年生の授業実践を紹介する。教材名は、「神戸のふっこうはぼくらの手で」である。阪神・淡路大震災での避難所で、トイレの汚物を処理する大山先生を見て、みんな自発的に仕事を分担するようになった。「ぼく」も、女の子が牛乳を温める仕事をするのを見て、小さい子のために絵本や紙芝居を読むことを始める。その様子を見て、大山先生は、「君たちがいれば神戸は立ち直る」と励ました、という内容である。
 最初は、大型テレビに映し出された阪神・淡路大震災直後の写真をみせ、地震被害の大きさを実感させた。そして、避難所での生活がどんなに大変だったかを理解させた上で、「大山先生が、避難所の仮設トイレに山盛りになった大便を、手袋をはめた手ですくう姿に対して、どんなことを思ったか」を子供たちに問いかけた。多くの児童は、「大人ってすごい」「わたしも手伝おうかなあ」と前向きな意見を述べた。しかし、中には「くさいから僕にはできない」という意見もあった。次の発問は、「『ぼく』は、どんな思いで熊の絵の書いてある本を探したのでしょう」と発問した。子供たちの意見から、「ぼく」が「自分にも何かできることはないかな」「自分も何かしたい」という思いが芽生えたということに全員が気付くことができた。
 次に、「君たちがいるかぎり、神戸は立派に立ち直る」という大山先生の言葉の意味を考えさせたところ、「一人一人が、困っている人たちのために、自分のできることを考えて行動しているから」ということに気付くことができた。
 最後に、振り返りとして、「今までの自分」と「これからの自分」について考えさせ、ワークシートに書かせたところ、「学区の人と、今まで以上に明るいあいさつを心がけ、みんなを元気にする」「これから先、大変なことがあっても、みんなで支え合いたい」という感想が書かれていた。
 今回の授業を通して、児童は、自分にできることがたくさんあることに気付いたと思う。これから高学年に向かっていくこの子たちが、この授業を通して学んだことを、学校や地域で実践してくれることを願っている。
 今後も、道徳科の授業実践を積み重ね、自己を見つめたり、自己の生き方について考えたりすることのできる児童の育成を目指していきたい。

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【瀬戸市立長根小学校】スーパーモンスターカード

 4年生の児童は、日々の生活の中で、自分の欲望を満たすために、つい嘘をついてしまうことがありました。自分の欲望よりも、善悪を考えられる子に育ってほしい。そんな願いをこめて、内容項目「善悪の判断」について、教材「スーパーモンスターカード」で授業実践を行いました。
 お小遣いが足りず、欲しいカードを買えない大地が、コンビニで万引きしようとしてしまう話です。
 主発問では、「大地は、結局カードを盗んではいないのだが、悪いと思うか」と児童に投げかけました。すると、悪いと判断する多数派と、悪くないのではないかと考える少数派に分かれました。児童が話合いを行う中で、「たとえ盗んでしまっても、自分で悪かったと気付き、返すならよいのではないか」という意見が出ました。さらに、「盗んでしまっても、自分で返すなら、翌日に返すのでも許されるのではないか」という意見も出ました。児童は、「行動」よりも「気持ち」を重視する傾向があり、気持ちが反省に向かうのであれば、いったん盗むという行動に出ても、悪くないのではないかと考え出しました。結論を伝えることを避け、課題は未解決のまま、家の人と話し合うことを宿題として、授業を終えました。
 翌日、多くの児童が、家の人と話し合ったことを教室で発表しました。何があっても盗みはいけないという善悪の判断、そして、盗みをするような人になってくれるなという家族の願いを、児童は感じ取ったようでした。

【東海市立富木島小学校】2年生の道徳科の授業実践

 2年生の「まいごになった赤ちゃんクジラ」の実践について紹介します。
 この資料は、迷子になった赤ちゃんクジラを、居合わせた人たちが、船で誘導して、母親クジラの下に返す話です。生活科「生き物なかよし大作せん」の授業で、学校内にいる虫やメダカ等の生き物と触れ合ったり、生き物について調べたりしているので、児童は自分と生き物の関わりについて興味をもって授業に臨みました。
 授業の最初に、「生き物にやさしくするとは、どういうことだろう」という発問をして、資料について考えた後にも、同じ発問をしました。最初の発問に対して、児童からは「あまり触りすぎない」「心を込めて世話をする」「ひっくりかえっていたセミを木に戻した」といった自分と身近な生き物やペットとの関わりについての意見が出ました。
 資料について考えた後の発問に対しては、「生き物を助けることも大切だけれど、カマキリに食べられそうになっているバッタを助けることがよいのか。カマキリも生きるためだし。何もしないで見守っていくことも必要なのかな」といった別の視点から考える児童の姿も見られました。
 資料を通して、児童が様々な視点で自分と生き物との関わりについて考える姿が見られました。

【豊明市立三崎小学校】協同の学びを取り入れた道徳科の授業

 豊明市では、協同の学び推進事業を行っています。この事業では、目指す学校像として、以下の三つを掲げています。
1.新学習指導要領がめざす「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた学習過程の質的改善を推進する学校
2.授業において望ましい人間関係を築き、子供の学びへの無関心・学びからの逃避をなくし、すべての子供の学びを保障する楽しい学校
3.教師が同僚と共に学び合い、指導技術を高め合う学校
 また、目指す子供像として、以下の五つを掲げています。
1.用語の意味を自分の言葉で相手に説明できる子供
2.長い文章を最後まで読める子供
3.様々な資料やツールを組み合わせて考えられる子供
4.学び合いを効果的に活用できる子供
5.正答がない問いに対しても議論したり考えたりできる子供
 本校も、今年度より、この事業に参加し、愛知文教大学 特任教授 副島孝先生をスーパーバイザーとして迎え、授業研究に取り組んでいます。この取組は、「特別の教科 道徳」でも取り入れて実践を行っています。
 道徳科の授業では、主体的に学習に取り組む力の育成を目指して、以下の点を大切にした授業を行いました。
・音読の段階で、指名読みやペア読みを行い、クラスの他の児童とのつながりをつくる。
・4人グループでの学び合いの場を設定をし、考えを出したり共有したりする。
・全体の学びでは、机をコの字にして、児童同士がよく顔を見る事ができるようにする。
・多の児童の意見をよく聴くことを心がけさせる。

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【豊橋市立東陵中学校】3年生道徳科授業実践「受けつがれる思い」

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 本校では、「凛」という学校スローガンのもと、生徒で企画運営する活動を、様々な場面で行っています。その活動の中心となる3年生の、「自分たちが先輩から伝統を引き継いできたように、後輩に自分たちの最高学年としての姿や思いを伝えたい」という思いを深めるため、本実践を行いました。
 資料を読み、少ないセリフから、登場人物の心情に寄り添い、後輩たちに託す思いの中身について、様々に考え、意見を発表しあいました。
 話合いの過程で、はじめは、「先輩である自分たちが行ってきたことを大切にしてほしい・感謝してほしい」という意見が多かったけれど、時間がたつにつれ、「どんなことでも続けていけば、必ず達成できる」という、後輩たちを思ったメッセージ性の強いものが多くなってきました。
 話合いの後、「自分たちが後輩に伝えたい事、伝えたい姿はなんだろう」という話合いをし、残りの日々を、最高学年として、どのような形で迎えたいのかという思いを高め、そのために、今、自分たちができることは何かということを明確にすることができました。

【安城市立桜井小学校】1年生「二わのことり」授業実践

 本校では、毎年6月・11月・2月の年に3回、大学から講師を招いて、授業研究会を行っています。授業研究会では、昨年度から道徳科の授業実践が増えてきています。
 2月に行われた授業実践の中から、1年生の「二わのことり」の授業実践を紹介します。本資料は、みそさざいが、やまがらから誕生日の招待を受けながら、他の小鳥たちとうぐいすの家へ行ってしまうが、ひとりぼっちのやまがらのことを思い、うぐいすの家を抜け出して、やまがらの家へ行くという内容です。
 児童に興味・関心をもたせるために、授業では、場面絵を提示してから資料を読みました。そして、みそさざいの気持ちを想像し、自分の考えを発表したり、友達の考えを聴き合ったりして、友達のためにできることについて考え、本時のめあてにせまりました。
 授業後の振り返りでは、「みそさざいが、やまがらのことを思って、やまがらの家へ飛んでいったところがよかった。みそさざいのように、友達の気持ちをもっと考えて、できることをやりたいと思った」という感想がいくつもあり、友達と仲よくし、助け合おうとする心情を育むことができました。

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【常滑市立鬼崎北小学校】 道徳科の授業実践

 本校では、「自分の考えをもち、話し合う道徳科の授業づくり」をテーマに道徳科の授業に取り組みました。次の三つの授業実践を紹介します。
 6年の「お母さん お願いね」では、価値の方向付けの段階で事前にとったアンケートを提示した。グラフを視覚的に見せることで分布がよく分かり、授業への興味付けに役立った。自分たちのことなので、自然な意見をたくさん引き出すことができた。自分のことなのに家族に頼っていることに気付かせることができた。
 5年の「かれてしまった ヒマワリ」では、主人公の役割に対する思いを考えさせるときに、何パーセントくらいの気持ちかを「円メーター」に表した。「円メーター」は、操作によってすぐ動かすことができるように工夫してあるので、主人公が役割をもらった直後としばらくたった後での気持ちの変化を、視覚的にも実感させることができた。
 2年の「さるへいと立てふだ」では、主人公の心境の変化について考えさせるときに、黒板に主人公の表情をかかせた。子供たちにかかせたことで、参加意欲が上がり、そのときの主人公の気持ちをしっかり考えようとする姿が見られた。また、表情を絵に表すことで、そのときの心境の変化をとらえやすくすることに役立った。
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【豊橋市立前芝小学校】命を大切に〜学校公開日の授業より〜

 本校では、「豊橋・学校いのちの日」を受けて、学校公開日に全学級で道徳科の授業を行いました。
 1年生は「ハムスターの赤ちゃん」、2年生は「だっこしながら」、3年生は「六さいのおよめさん」、4年生は「わたしのいのち」、5年生は「電池が切れるまで」、6年生は「その思いを受けついで」の教材をもとに授業を展開しました。
 6年生の授業では、「命」という言葉から、どんなことが思い浮かぶかを考えた上で、主人公の思いについて考えました。病気のおじいちゃんに、毎日、会いに行く主人公と、誕生日祝いののし袋に書かれたおじいちゃんの文字を見た主人公について、「元気なぼくのことを見て、少しでも元気になってほしい」「1か月後の僕の誕生日のことまで気にしてくれていたなんて」と、主人公に共感する意見がたくさん出ました。
 振り返りでは、自分の命について考え、「命を亡くしたとき、自分だけでなく家族も悲しいという、あたり前のことが改めて分かった」というように、自分の命や家族への思いをもつことができました。どの学級でも、自分の命について考える場をもつことができる時間となりました。
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【豊橋市立高師小学校】4年生の実践〜気持ちを通じ合わせよう〜

 仲間が困っているときや、悲しんでいるときにはかけより、声をかける子供たち。けがをした友達がいたときには、誰からともなく松葉づえを渡してあげたり、荷物を持ってあげたりしていた。学校で助け合うことはよく経験している一方で、私生活の様子を尋ねると、他人の目を意識したり、羞恥心を抱いたりして、自ら親切な行動がとれないことがあると話していた。親切な行為や思いやりの気持ちは大切であると分かっていても、知らない人が相手では実践できないでいる。そんな自らの心の弱さに負けず、場面に応じた思いやりをもって行動してほしいと考え、授業実践を行った。
 まず、「心の信号機」という資料を用いて授業を行った。そこでは、相手が知らない人でも、他人の目や恥ずかしさに負けずに自分のできることを考え、進んで行動しようという思いを高めることができた。
 しかし、次時の「温かい言葉」という資料を用いた授業では、前時で学んだ価値を打ち砕くこととなる。ギプスをはめた男の子に手を貸そうか迷う「ぼく」の前で、青年が声をかけるが、男の子は「やめろ!」拒絶する。その後の青年の「ごめんよ。がんばれ」と男の子の「ありがとう」という言葉のやり取りから「ぼく」は心を動かされる話である。これらの資料を1対に展開していくことで、子供たちの心はゆさぶられ、単に自分の思いで行動するのではなく、相手の状況に応じ、相手の思いを大切にした思いやりの在り方に気づくことができた。
 子供たちは、これまでよりも深い思いやりについてふれ、他人に対しての親切や思いやりを実践していこうという意識を高めることができた。

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【高浜市立高浜中学校】1年道徳科の授業実践「ひまわり」

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 本校の研究主題は、「主体的に高め合う生徒の育成〜心うごかす授業づくりを通して〜」です。道徳科の授業では、生徒が意欲的・主体的に授業に参加できる様子が見られる授業、話合いや関わり合いを通して考えが深まる授業を目指しています。
 1年生では、東日本大震災で被災した経験を語りべとして伝える佐々木清和さんの実話を資料化した「ひまわり」を題材にして、生命の尊さと自他の命を大切にすることについて考えました。
 この授業では、まず、生徒の多様な感じ方や考え方を引き出すために、資料を読んで「分かる(共感)」「すごい(尊敬)」「なぜ(疑問)」と感じた部分について発表し合いました。生徒が活発に自分の考えを伝え合う中で、「辛い経験を話すのは嫌なのではないのか」という意見が出ました。そこで、「なぜ、佐々木さんは震災の語りべを続けるのか」を学級全員で考えました。震災後に作られた「いのちの歌」が教室内にBGMとして流れる中、ある生徒は、「自分の家族が生きていたことを多くの人に伝え、家族の分まで今ある命を大切にしようと思っているから」と道徳ノートに書きました。この授業で、多くの生徒は「なぜ命は大切なのか」を深く考えられるきっかけを得たと思います。
 今後も、生徒の多様な感じ方や考え方を大切にし、お互いの思いや考えを伝え合う中で、生き方や心の在り方について深く考えられる道徳科の授業実践を積み重ねたいです。

【田原市立伊良湖岬小学校】深く考える道徳の実践

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 「考え、議論する道徳科の授業」の実践を目指し、発問と話合いを工夫した実践を、小学校5年生で行いました。本学年の児童の実態に即し、目の前の問題について多面的に見て判断し、考えの異なる他者を叱責する前に深く考えられるようになってほしいと感じていました。項目[公正、公平、社会正義]において、公正、公平な態度で正義の実現に努められるようにと考えました。「桃太郎」を教材とし、登場キャラクターやあらすじを、思い出しながら整理していきました。その中で、「どうして桃太郎は鬼を退治しようとしたのか」などについても問いました。「鬼は人を困らせた悪者」ということと、「桃太郎は鬼(悪者)を退治した正義の味方」ということを確認しました。そこで、別の資料を提示しました。鬼の子供が「ボクのおとうさんは桃太郎に殺されました」というつぶやきを見た子供たちは、「え・・・」と、言葉を失いました。そこから、桃太郎がしたことは正義かという論点で話合いをしました。中には、「どちらとも言えなくなってしまった。正義は、自分や周りの人だけでなく、たくさんの人の考えで決まるものだと思った」と考える子もいました。発問や提示するタイミングを工夫したり、話合いを取り入れたりすることで、子供の心をゆさぶり、考え方を見直す機会となりました。

【豊橋市立青陵中学校】1年生道徳科授業実践「偏見のない社会に向け 〜私の性 あなたの性〜」

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 道徳科の授業で、LGBTQについて取り上げ、「個性」について考えました。個性を大切にしたいという学級目標である「パレット」に関連させて、LGBTQを題材に取り上げ、それぞれの考えを伝え合う中で、個性を尊重し、公平に接することの大切さをより感じられるように、授業を行いました。
 「有名人が、実はレズビアンだった。バイセクシャルだった」という事例を取り上げ、生徒の固定概念を崩していきました。授業後の感想では、「人は見た目で判断してはいけないと思った」「人それぞれ感じ方があるのだと思った」「学級目標で決めたように、お互いのことを理解して、みんなで協力していこうと思った」と書いた生徒がいました。学習を進めていく中でLGBTQへの理解を深めるとともに、個性の「相互理解」を深めることができました。

【清須市立星の宮小学校】互いに伝え合い高め合う道徳科の授業

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 本校では、授業を通して、自分の考えをもち、相手の考えを聞いて、多様な考えがあることを知ったり相手と比べたりすることで、互いに考えを伝え合い高め合うことができる児童の育成をめざしています。
 2年生では、教材「ぶらんこ」において、「どのようにすれば、みんなが仲よくなるのか」をグループで考えて、ホワイトボードにまとめました。また、登場人物の気持ちになりきるために役割演技を行いました。日常生活での経験を生かしながら、登場人物の気持ちになることで、子供たちから、様々な考えや意見を出すことができました。この学習で、様々な視点で互いの考えを伝え合い、自分の考えを広げることができました。
 今後も、人としての生き方や在り方について、多様な考えを互いに伝え合い高め合うことができる道徳科の授業実践を重ね、心豊かな子供を育てていきたいです。

【美浜町立野間中学校】命を大切にするために

 1年の道徳科の授業で、「命を大切にするために」を主題に、教材「ペロ!生きかえって」を使って行いました。
 生徒の実態は、命を大切なものであると漠然とは思っているが、あまり深く考えたことがないというものでした。そこで、「命は限りあるものであるけれど、ドラえもんの道具により死んでしまった愛犬を生き返らせるべきか、死を受け入れるべきか」を話し合う中で、命はやり直すことができない限りあるものであることを自覚し、今を大切に生きていこうとする気持ちを高めさたいと考えました。
 本校では、現職教育で多様な考えを引き出し、他者の考えから自分の考えをより深められるような授業実践を目指しています。そこで、「亡くなってしまった愛犬を生き返らせるべきか、亡くなったことを受け入れるべきか」を話し合う中で、周りの生徒はどちらの意見であるのか視覚的に分かるように色付きの紙コップを使用しました。生き返らせる場合はピンク色、受け入れる場合は青色の紙コップで意思表示をさせ、同じ立場や違う立場で話し合いをさせました。亡くなってしまったことを受け入れるべきだと考える意見が多く、「生命を生き返らせることは、命を大切にしていないことなのだろうか」という補助発問で切り返しをすることで、より深く考えさせることができました。
 振り返りでは、「生きていることに誇りをもち、今を精一杯がんばりたい」「同じ一日は、絶対にくることがないので、その日その日を大切にしようと思った」といった感想があり、命について深く考えることができました。
 授業後には、保護者からも「一日一日を大切に生きていくことが、命を大切にすることにつながる」という感想をいただきました。
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【碧南市立西端中学校】テーマ発問・グループディスカッションで考え・議論する道徳へ

 本校では、道徳の教科化に伴い、「テーマ発問」に焦点を当て、生徒たち自身の考えを問う取組に力を入れている。今までは、登場人物の心情や判断、行為の理由を問う「場面発問」が中心であったが、資料の主題やテーマそのものに関わり、それを掘り下げたり、追及したりする発問になるように考えている。
 本授業では、道徳科の教科書「桃太郎の鬼退治」の資料を扱い、主発問の部分で、生徒たちの発言を拾いながら発問をした。「お互いのことを理解するとはどういうことですか」という発問に対して、真剣に考える姿が見られた。生徒たちは、発言に消極的な場面が見られたが、主発問では、ワークシートに各々の考えをしっかりと書いていた。グループディスカッションになると積極的に意見交換をし、友達の多様な意見に触れ、考えを深めていた。最後の全体の場では、「自分のことばかりでなく、相手の話も聞くこと」「自分の行動や発言で相手がどう思うかを考える」などの発言が出てきた。もう一歩踏み込んだ意見にするために「切り返しの発問」で生徒の意見をさらに深めていけると、より主題となる内容や価値に迫れたと思われる。
 今後も、ねらいに迫る発問を考えたり、様々な意見に触れたりすることのできる手法を考えていきたい。
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【日進市立梨の木小学校】1年・6年の授業実践

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 1年生の道徳科の授業では、「はしのうえのおおかみ」という教材で、「親切、思いやり」について考えた。この教材は、うさぎに意地悪を続ける主人公のおおかみが、くまから親切にされることで自分を省み、今度は、くまをまねてうさぎに優しくするという内容である。はじめに、役割演技を通して、意地悪することを楽しんでいるおおかみの気持ちを考えさせた。児童からは、「いい気分」「思い通りになってうれしい」という感想が発表された。おおかみやうさぎの気持ちを考えさせる場面では、気持ちの度合いや変化が視覚的に捉えやすくなるように、顔の表情を表したカードを活用した。本授業を通して、児童は人に親切にすると、自分も相手もよい気持ちになることに気付くことができた。
 また、6年生では、「ロレンゾの手紙」という教材で、「友情、信頼」について考えた。この教材は、幼なじみのロレンゾに電報で呼び出された3人が、ロレンゾの悪いうわさを聞き、どうするべきか悩むという内容である。3人の意見の中で、誰が一番自分の意見に近いかを考えさせ、黒板に名札を貼らせることで、立場を明確にしながら話合いを行った。無実のロレンゾに相対したときの三人の気持ちを考える場面では、多くの児童が、友人を疑ってしまった3人の気持ちに同調し、葛藤する様子が見られた。本授業を通して、友達を信頼するということについて、様々な考えを学び合い、自分の考えを深めることができた。

【豊橋市立中野小学校】「おもしろければいいの」授業実践

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 本学級の児童は、社会科で「情報」について学習した。身のまわりにあふれる情報は、便利ではあるが、正しい判断で使用しないといけないことを学んだ。
 今回の授業、「おもしろければいいの」は、友達への配慮を欠いた学級新聞と、友達への思いがあふれ、読む人もうれしくなるような学級新聞を比較し、考えさせることで情報を発信する側のモラルを考える授業になった。子供たちに、「どちらがよい新聞か?」と聞くと、全員が後者の新聞であった。「なぜそう思うのか?」と聞くと、「書かれた人が悲しむ情報になっている」「読んでいてもおもしろくない」「自分がおもしろいと思っても、相手を傷つける内容は書いてはいけない」など、相手を気遣う答えが返ってきた。
 情報は、発信する人、記事に書かれる人、読む人と様々な方向から考えることができる。今回の教材で、自分の発信したものは正しいのか、また自分が行動することで誰から傷つかないかなど、多面的に考えることができた。
 今後、情報は更に膨大になっていく。本時の授業で、情報を大切に正しく扱うための判断力を与えることができた。