【尾張旭市立瑞鳳小学校】5年「絵地図の思い出」の授業実践

 小学校低学年では、男女の違いをほとんど感じていない児童も、高学年になると精神的・身体的な成長に伴い、お互いを異性として意識するようになっていきます。そのため、異性が理解し合うことの難しさを踏まえた上で、お互いのよさを認め合い、男女分け隔てなく協力して学び合うことができる関係を育てていこうと授業実践を行いました。
 この教材には、自分たちの仕事がうまく進まずに困ってしまう2人の女子が登場します。そこでは、あまり仲のよくない男子に、突然、頼みごとをすることをためらう「わたし」と、その人の得意分野を認め、男子に協力を求めようとする友達との間の考え方や想いの違いが描かれています。結果、友達の積極的な行動に応えて男子が協力してくれたことで、学級全員が一つにまとまることができ、みんなで助け合おうという雰囲気になるという話です。
 授業実践では、最初に、学級における男子と女子の仲について、これまでの状況を振り返りました。すると、ふだんは男女間で仲よく話ができているものの、野外活動で班決めをしたときには時間がかかったこと、学級活動の種目を決めるときに、もめたことなどが挙げられました。そこで、教材文の内容を確認した後、男女に関わりなく協力し合うために自分ができることについて考えました。
 児童からは、「男女一緒に遊ぶ機会を作る」「意識して恥ずかしがらないようにする」「ふだんから仲よくする」といった意見が出されました。児童たちは、よりよい学校生活を送るために、男女が活発に交流したり、ふだんから助け合ったりすることが大切だと気付くことができました。

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【豊田市立東山小学校】1年生「やめろよ」の道徳科授業実践

 本校では、「みんな仲よく 力いっぱい〜自分の思いをもち、仲間とともに学び合い、高め合う子の育成〜」という研究テーマをもとに、授業実践に取り組んでいる。今回の実践は、1年生の道徳科の授業で、「やめろよ」という教材で行い、勇気について考えた。
 本教材は、意地悪をしている「こんきち」を見た主人公の「ぽんた」が、はじめは、見て見ぬふりをして通り過ぎようとしてしまう。しかし、勇気を出して「やめろよ」と言えたという内容である。
 実践では、役割演技やグループでの意見交流などを取り入れた。子供たちは、積極的に参加し、友達の考えも聞きながら自分の考えを伝える姿も見られ、考えを深めていた。展開部分では、ワークシートを使い、ぽんたが「やめろよ」と言ったときと、言わなかったときとを比べて、どんな気持ちになっていたかを考えて書いた。言えたときでは、「怖かったけど言えてよかった」「勇気を出してよかった」などが出た。また、言わなかったときでは、「怖いけれど勇気を出して言えばよかった」「ぴょんこがかわいそうだけれど、こんきちが怖いから言えないな」などが出てきた。両方の気持ちを考えたことで、「やめろよ」と言えたときのよさと、言わなかったときのぽんたの心の迷いや葛藤を感じ取ることができていた。両方の気持ちを比較したことで、勇気を出して正しいことを行う価値について気づくことができた。振り返りでも、「これからは勇気を出して注意したい」という意見があり、勇気について考えを深める1時間となった。
 今後も、道徳科の授業を大切にし、多くのことを考えたり感じたり、知ったりできる学びの場になるよう実践を進めていきたい。

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【北名古屋市立師勝中学校】「命」と向き合うということ

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 教材「家族の思いと意思表示カード」を使って道徳科の授業実践を行いました。交通事故に遭った姉が、脳死と判定をされた。姉は、「臓器提供意思表示カード」を所持していた。姉の意思を尊重し、臓器提供に賛成の立場の父と、姉の体をこれ以上傷つけたくないと反対の立場の母。その間で自らの考えを求められ、苦悩する妹。「命を大切にするとは、どのようなことか」というねらいをもとに授業を行いました。
 授業では、自分の大切な人が、脳死判定をされた場合に、どのような判断をするのか考えさせました。大切な人の意思を尊重し臓器移植に賛成するのか、それとも臓器移植に反対するのか。「反応器」を使用し、臓器移植に賛成であれば青色、臓器移植に反対であればオレンジ色を提示し、話し合わせました。賛成の立場は8割おり、「他の人の命を救うことができるかもしれない」「本人の意思を尊重した方がよい」などの意見が出ました。反対の立場は2割おり、「相手の命を奪うことになる」「もしかしたら意識が回復するかもしれない」などの意見が挙がりました。実際にその場面に立たされた場合どうするか、カードを所持していなければ家族としてどう判断するか、その後に深まった話合いで、立場を決めかねる生徒も見られました。
 話合いを通して、「命を大切にするとは、どのようなことか」について自分の考えをまとめました。生徒のまとめには、「生を授かったことに感謝し、全てを大切にすること」「生きたくても生きられなかった人の分まで懸命に生きること」などの意見が挙がりました。今回の教材を通して、「命」について様々な考え方に触れることができました。

【美浜町立奥田小学校】1年生「ええところ」の授業実践

 1年生の教材「ええところ」に出てくる「あいちゃん」は、自分には「ええところ」がないと思っています。しかし、友達の「ともちゃん」は、「あいちゃん」の手が温かいところや、みんなにやさしいというすばらしい「ええところ」を見つけてくれました。
 授業の最初は、自分には、よいところがあると言える児童は、少数でした。あいちゃんの気持ちの変化について考えながら、教材を読んだ後、自分と友達の「ええところ」について考えました。担任も含め、一人一枚ずつの「よいところカード」を用意し、様々な児童に渡るように配付し、よいところの書きこみ、回収したところ、カードがよいことでいっぱいになりました。「次は、誰のカードを書くのかな」「今、自分のカードには、誰が書いてくれているんだろう」と、どきどきしながらも、楽しそうに活動する姿が見られました。最後に、自分のよいところが書かれたカードを読み、思ったことを裏に書きました。カードの裏には、「うれしかった」「かいてくれてありがとう」という言葉が多く書かれていました。また、授業の最後には、「自分のよいところが見つかりましたか」という問いかけに対して、たくさんの手が挙がりました。
 本授業で気づいた自分のよさを、これからも大切にしていけるよう、今以上に、互いを認め合う児童の育成を目指していきたいと思います。

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【春日井市立篠原小学校】道徳科1年「ジャングルジム」の授業

 集団や社会での生活において、誰にでも分け隔てなく接することは重要である。児童は、誰とでも仲よくすることの大切さは分かっている。しかし、自己中心的な考え方から、「○○さんとは遊びたいけど、△△さんとは遊びたくない」という発言を聞くことがあり、誰とでも仲よくすることは、決して容易ではない。また、みんなで仲よく遊ぼうとするが、うまくいかず、困っている姿も見られることがある。
 本教材「ジャングルジム」は、体が大きく自己中心的で強い立場の「くまくん」、気持ちをうまく話せず弱い立場の「ねこちゃん」、どちらとも仲よく接し公平な立場の「さるくん」という、異なる立場の三者が登場する。物語の中の「道徳的な問題」の解決に向けて、それぞれの気持ちを考えるだけでなく、どのような会話をすることで仲よく遊べるようになるのかを考えさせる。さるくんのセリフを中心にグループで考えることで、実際の生活にも生かせるようにした。
 ねらいに迫るために、物語の公正、公平な態度に根差した具体的な言動を取り上げ、そのよさを考えさせるだけでなく、「どのような会話をすることで仲よく遊べるようになるか?」という「問題解決的な学習」の要素を取り入れた。そのことによって、児童の発言や振り返りの記述からは、「道徳的価値の理解」にとどまらず、偏見や差別が背景にある言動について、毅然とした態度で是正できるような道徳的実践力を学ぶ授業にすることができた。

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【弥富市立十四山東部小学校】「くずれ落ちただんボール箱」の授業実践

 5年生の道徳科において、「くずれ落ちただんボール箱」を教材として「本当の親切とは何か」について考える授業をしました。
 話は、ショッピングセンターで、おばあさんが連れていた小さな孫が、はしゃぎ回り、高く積まれていただんボール箱を倒したまま走り去ってしまった状況で、それを目撃していた主人公たちが、くずれただんボール箱を片づけているところを、勘違いから厳しく注意されてしまうという内容です。授業では、「自分だったら、この場合どうしたか」について話し合いをしました。
・おばあさんが怒られ、孫も怒られるのはかわいそう。
・だんボール箱を片づけた後、店員さんに事実を話して、自分たちの過ちでないことをきちんと伝え、誤解を解く。
・おばあさんが、店員さんに謝ることになってはかわいそうだから、自分たちが店員さんに謝った後に、おばあさんと孫を捜し、「だんボール箱を倒すと、他のお客さんの迷惑になるから気をつけてね」と優しく孫に話す。
 話合いを進めていくうちに、腹立たしい気持ちがあっても、親切にした相手には伝わっていることや、自分の親切心を信じて行動することの大切さに気付くことができました。また、本当の親切、思いやりとは、周りがどうであれ、相手を思いやった行為が親切であることに気付くことができました。
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【小牧市立小牧南小学校】学び合いを生かした 議論する「特別の教科 道徳」

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 本校では、「特別の教科 道徳」の全面実施に伴い、年度当初に、一つの考えを押し付けるのではなく、多面的な考えを引き出し、議論する授業の実現に努力しようという目標を掲げ、実践してきました。
 その結果、4月の授業参観、6月、11月の学校公開で保護者に公開する授業でも、研究授業で公開する授業においても、積極的に、道徳科を実践する学級が増えました。積極的に授業を研究し、公開する雰囲気が高まっています。
 4年生の学級では、「絵はがきと切手」というテーマで授業を行いました。この教材は、仲のよい友達から届いた絵はがきの、切手料金の間違いを指摘するべきか、指摘しないのか悩む主人公の話です。児童たちは、グループで気軽に本音をぶつけあっていました。主人公の気持ちになってみると、「間違いを友達に指摘するのは嫌だと思います」や、友達の立場だったら「知らないままより、言ってもらった方がよい」「せっかく送ったのに、そんなことを言ってほしくないと思う」など、積極的に意見を発表していました。
 今後も、更に本音を出し合える道徳科の授業を目指していきたいと思います。

【春日井市立藤山台中学校】「生徒が将来よりよく生きるための道徳教育」をめざして

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 生徒がよりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、本校では、次の三つの目標を掲げ、道徳教育に取り組んでいます。
1.基本的生活習慣を確立し、他人を思いやる心と感動する心など豊かな心を育む指導を図る。
2.道徳科の時間を充実させ、学校生活のあらゆる場面を通して、道徳実践力を養う。
3.教師と生徒の人間関係を深めるとともに、家庭や地域社会との連携を図る。
 「生徒が将来よりよく生きるための心の教育」をめざして、共通の課題に向かって、生徒と教師が、共に考え、共に語り合う時間を大切にし、計画的に授業実践を行っています。
 全学年とも、道徳ファイルを用意し、生徒は、毎回同じワークシートを使い、授業ごとにとじていきます。ワークシートは、毎授業での自己評価を書く欄や、生徒が1時間の授業での振り返りを、様々な視点で自由に記述できるようなものとなっています。
 また、学年の生徒の実情に合わせて授業形態を変えて、常によりよい授業づくりを考えています。例として、生徒一人一人の意見を尊重しやすくするために、クラスを半数ずつに分けて少人数授業を行っている学年があります。また、学年職員全体で全生徒を見守る観点から、クラスの担任のみが授業を行うのではなく、学年の教師でローテーションを組んでいる学年もあります。
 今後も、道徳科の授業を通して、生徒が自己の生き方をより深く見つめられるようにつなげていきたいと考えています。

【常滑市立三和小学校】3年授業実践「相手を理解する心」たまちゃん、大好き

 3年生の児童は、クラス全員が、一体となる学習や体験に取り組んでいます。様々な体験や経験の中で、相手の気持ちを考えることを通して、お互いの理解が深まってきています。更に心を通わせ、助け、信頼し合える関係を築きたいと考え、児童にとって身近なアニメである、「ちびまる子ちゃんの『たまちゃん、大好き』」を教材にして授業実践に取り組みました。
 この教材は、たまちゃんとまる子が、お互いに20年後の相手に手紙を書き、タイムカプセルに埋める約束をします。しかし、約束の場所に、たまえが来ず、すれ違いが起き、誤解を解消していくという話です。
 主人公に自分を重ねさせる発問では、主人公の考えを問い、主人公を客観的に見る発問では、児童のもつ考え方や生き方を問うようにしました。主発問である「二人が大好きでいられるためには、どうすればよかったか」という問題解決的な問いに対して、多面的・多角的に考えることができました。
 振り返りでは、「大好きな友達を続けていくために、約束を破られてしまっても、すぐに怒らず相手の理由を聞くようにします」「これからも、友達と仲よくしていくために、相手を思いやっていきたいです」などの意見がありました。
 相手のことを思いやり、相手の立場になって考えることの大切さに気づくことができました。

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【稲沢市立六輪小学校】話合いの中で、考えを深める道徳

 本年度、本校では、「話合い活動の充実」を現職教育の軸として、研究実践を行っています。
 2年生では、「特別の教科 道徳」において、「友達と仲よくするために、大切なことは何だろう」を主題として、「ぶらんこ」の教材で授業を行いました。「ぶらんこ」は、さる、うさぎ、りすの3匹が、自分たちで作ったぶらんこで遊んでいる場面から始まります。そこへ、くまがやってきて、無理やりぶらんこに乗ろうとしたため、ぶらんこが壊れ、くまは泣いてしまいます。さるが、「もう一度、丈夫ぶなぶらんこを作ろう」と声をかけ、みんなでぶらんこを作りに行く場面で話が終わります。
 授業では、「泣いているくまは、どんな気持ちでしょう」「自分がくまだったら、どのように仲間に入れてもらうとよいと思いますか」と問いかけ、くま役とさる役に分かれて役割演技を行いました。くま役の児童は、「ぼくにも、ぶらんこ貸してくれないかな」と話しかけ、それに対して、さる役の児童は、「いいよ」「いっしょに遊ぼう」と返事をしていました。
 演技後、さる役の児童に、「どんな気持ちだったか」と尋ねると、「ていねいにお願いしてくれたから、一緒に遊びたい気持ちになった」「目を見て話してくれたから、うれしい気持ちになった」などと話をしていました。
 さらに、周りの児童に、「役割演技を見てどう思ったか」を話し合わせたところ、「演技を見ていて、無理やり取るのではなく、きちんと自分の気持ちを言うとよいと思った」「ぼくも、ていねいにお願いされたら、一緒に遊びたくなると思う」という声が聞かれました。役割演技を取り入れたことで、教材の内容をより自分事として捉えて話合いをすることができ、友達と仲よくするために大切なことについて、考えを深めることができました。

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【知立市立八ツ田小学校】1年生道徳科授業実践「かぼちゃのつる」

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 1年生の道徳科で、資料「かぼちゃのつる」を使って授業を行った。周りの意見を聞かず、好き勝手につるをのばすかぼちゃの気持ちを考えることで、わがままなことを言わないで生活する大事さについて学習した。
 板書は、かぼちゃのつるを緑のテープで黒板に貼り、好き勝手につるを伸ばす様子をせりふに合わせて表現した。また、教師が困っている動物たちのせりふを読み、子供たちに、かぼちゃのせりふを読ませた。子供たちは、かぼちゃの自分勝手な気持ちになってせりふを読むことができた。かぼちゃのつるが、トラックにひかれてちぎれてしまった場面で、かぼちゃの気持ちを子供たちに問うと、はじめは、「痛い気持ち」と簡単な意見だった。しかし、「心が傷ついたと思う」という意見から、「どうして心が傷ついたの」と切り返すと、「あんなことしなければよかったと思ったから」「みんなの言うことを聞かなかったから」といった意見が出た。
 振り返りには、「これからは、自分勝手なことをしないようにしたい」「わがままなことをしてもよいことがないと思った。かぼちゃみたいにならないようにしたい」と書かれており、今後の生活に生かそうとする気持ちが感じられた。
 これからも、登場人物の立場に立って考えることができるように、板書や授業の展開を工夫していきたい。

【知多市立新田小学校】1年生「はしのうえのおおかみ」の授業実践

 道徳科の授業では、教材の主人公の心情に寄り添う学習、問題解決的な学習や体験的な学習による授業展開も使い、児童の多様な価値観を引き出す工夫や、自分事として捉える工夫をし、児童の心に響く授業実践を着実に積み上げることに心掛けて取り組んでいます。
 1年生の「はしのうえのおおかみ」の授業実践を紹介します。本資料は、主人公のおおかみが、自分よりも弱いうさぎたちを相手に、おもしろがって意地悪を続けますが、自分よりも強いくまに親切にされ、自分の行為を振り返り、優しい心で親切にするという内容です。
 授業では、黒板に一本橋や登場する動物たちの絵を掲示して、話の内容をつかませるとともに、意地悪をされたうさぎたちの気持ちを想像させるようにしました。そして、考えたことを近くの児童と伝え合う場面をつくることで、より多くの児童が、他の児童に自分の考えを伝えられるようにしました。くまに優しくしてもらったおおかみの心情の変化を話し合った後で、翌日、うさぎたちに出会う場面は、床に一本橋に見立てた紙を敷き、おおかみとうさぎのお面をつけさせて役割演技をさせることにしました。この体験によって、他人に親切にすると相手だけではなく、自分もよい気持ちになることに気付くことができました。最後に、自分自身の生活を振り返り、他人に親切にしていこうという気持ちを高めることができました。
 これからも、児童が物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深められる授業の実践に努めていきたいと思います。
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【北名古屋市立西春小学校】道徳科の授業を通して

 子供たちに、「生活の中で、ある物事をとことん考えたり、調べたりした経験がありますか」という質問をすると、ほとんどの子供が「経験がない」と回答していました。そこには、インターネットが普及した現代に生きる彼らが、知りたいことはパソコンやスマートフォンで手軽に検索し、すぐに探究を終わらせてしまっている様子が伺えました。
 そこで、6年生で、「真理の探究」を主題とした道徳科の授業を行いました。「日本植物分類学の父」と呼ばれた牧野富太郎氏についての資料をもとに、授業の中では、子供同士による意見交流の場面を多く設けました。交流の場面では、自分の意見を伝えるだけでなく、「いいな」と思った級友の意見を、自分の意見に付け足して発表する活動を随所に取り入れました。この活動は、自分の考えを再構築するために、固定概念にとらわれず、様々な資料や文献を調べながら、植物の探究を行った富太郎の活動に通じるところもあります。
 主人公の生き方に触れ、級友と活発に意見を交流した最後には、「今までは、浅く広くしか調べなかったけれど、もう少し自分が知りたいことを調べてみようと思う」という声が子供から多く聞かれました。
 今後も、子供たちの様子をよく観察し、子供の気持ちによりよい変容と充実感が見られる授業づくりに取り組んでいきたいと思います。
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【あま市美和小学校】道徳科 〜自分の思いを表現する〜

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 本校では、道徳教育の研究を進めており、今年度で3年目となる。道徳科の授業において自分の考えをもつために、ユニバーサルデザインの考えに基づいた教材・教具の工夫や役割演技の活用、話合い活動の方法を研究し、授業実践を積み重ねてきた。また、相手の話を聴き、多様な価値観に触れる中で、自分の考えと他者の考えを比較できるような意思表示方法の工夫も行ってきた。そこで、今年度より、ねらいとする道徳的価値観を明確にし、より深い話合いへと発展していくように、学習のめあてを分かりやすく提示して授業を行うこととした。このような道徳科の授業を通して、他者の様々な考え方に触れ、より多角的に自分の考えを構築させることができた。また、自分の思いを相手に積極的に伝えようとする姿勢を養うことにもつながった。
 今後も、本校の道徳教育により、子供たちが未来を生きる力を身に付けていくことを目指していく。

【豊田市立堤小学校】「ドッジボール」の道徳科授業実践

 本校では、11月25日〜12月6日までの2週間を人権週間とし、「一人一人の違いを認め相手を尊重しながら、人を思いやる心を育てる」をねらいとして取り組みました。人権週間には、各クラスで人権に関する授業を行いました。
 2年生の道徳科においては、資料「ドッジボール」を通して、「公平な態度」について考える授業実践を行いました。本資料は、ボールが当たったとき、運動が得意なあい子さんには、「おしかったね」と励まし、得意でないななみさんには、「ちゃんと逃げてくれないと」と言ってしまった主人公ゆかさん。それに反して、しょんぼりするななみさんを励ます相手チームのまおさんを見て、主人公がまおさんの言葉がけに、はたと気づく話です。
 「あい子さんとは、仲よしだけれど、ななみさんとは、そんなに仲よしではないから、そんな言葉を言って悲しませてしまったんだ」「そんなことを言っちゃダメだよ」と、それぞれの考えが出ました。
 授業の終末には、「これからみんなと仲よくするために、どうしたらよいですか」と投げかけました。子供たちは、「みんなの笑顔を作るために、誰にでも優しくする」「みんなに優しくして、仲よくし、『負けても次はがんばろうね』と言ってあげる」「ドッジボールが苦手な子でも、仲間に入れてあげる」などの考えを発表していました。
 この学習を通して、誰にでも公平な態度で接することの大切さに気付き、友達と仲よくしようとする心情を高めることができました。

【津島市立神島田小学校】4年生「わかっているはずだから」の授業実践

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 4年生では、教材「わかっているはずだから」を使って、よりよい人間関係を築くために必要な相互理解について考えさせました。
 本教材では、「さくら」と「真由」が、共に仲よしだから、相手は自分の考えを「わかっているはず」と思い込んでいるところから、すれ違いが生じてきたことが描かれています。
 教材文を読んだところで、あまり自分の考えを言えない「さくら」か、自分の意見をはっきりと言える「真由」のどちらに自分は似ているかを考えさせるところから始めました。そして、黒板に掲示しておいた二人の挿絵のところに、氏名札を付けさせることで、クラスの中にもそれぞれに似ている人がいることを、視覚的にも分かるようにしました。
 教材文を読み進めた後、「二人に足りなかった考えは何でしょう」と発問することで、それぞれに足りなかったところがあることに気付かせていきました。
 最後に、自分はどちらに似ているかを思い出させ、「これから友達とうまく付き合うために大切にしたいこと」について考えさせました。「相手を理解しようとする気持ちをもっていきたい」「意見が合わなかったときにも、相手の思いを聞くようにしたい」という思いをもつことができた児童が多くいました。 
 この実践をきっかけとし、「わかっているはず」ではなく、相手のことを分かろうとすることや、自分の思いを伝えようとすることを大切にしながら、さらによりよい人間関係を築いていってくれることを願っています。

【犬山市立栗栖小学校】 相手の気持ちになって

 本校は、犬山市の北部に位置し、清流木曽川を望む全校児童18名の小規模校である。全校児童全員で行事や活動に携わるため、どの児童も協力性があり、大変仲がよい。しかし、その反面、相手のことを深く考えず、よかれと思って手を差し伸べてしまう傾向がある。そこで「相手の気持ちになって考える」ことについて1年生から4年生までの4学年合同で、道徳科授業実践を行った。
 しっぽのないおたまじゃくしのタマが、みんなと一緒に運動会に参加するためにはどうしたらよいのかを考える「おたまじゃくしの運動会」という教材を活用した。授業を行う際には、低学年でも話の内容やタマの気持ちが理解できるよう、大型テレビで視覚的支援を行ったり、動作化して気持ちを考えたりするなど、タマの本当の気持ちに迫ることができるようにした。子供たちは、「しっぽのないタマが、どうしたらみんなと一緒に泳ぐことができるのか」を真剣に考え、自分の考えを発表することができた。友達の意見を聞いて、更に別の意見を出す場面も見られた。子供たちの振り返りは、以下の通りである。
・最初に、タマがどうしてほしいのかを聞くことが大切だと思った。
・タマにとって何が大切なのか、じっくり考えることができた。次からは困ってる友達にすぐに何かしてあげるのではなく、どうしてあげるとよいのか、しっかり考えたい。
 本授業で学んだ「相手の気持ちになって行動することの大切さ」を、今後の学校生活で生かし、今以上に、互いに思いやる児童の育成を目指していきたい。

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【刈谷市立刈谷南中学校】あなたは命とどう向き合いますか

 教材「命の選択」を使って授業を行いました。本教材は、病気に対する延命治療について「望まない」と意思表示をした祖父と、苦しむ祖父の姿を目にし、延命治療を承諾した家族との間で葛藤する父の姿が描かれています。さらに、「尊厳死」に対する複数の立場の新聞投稿を通じて、命について多面的・多角的に考え、生命を尊重する心情を育てることをねらいとし、授業を行いました。
 導入では、「選択」という言葉に着目し、これまでの生活の中で部活動の大会や進路選択など、数多くの選択をしてきたことを振り返りました。そして本教材の「選択」の難しさにつなげていきました。
 展開では、教材を読み、「祖父の意思に反して、父母が人工呼吸器を付けることに同意したことは間違っていると思うか、それとも間違っていないと思うか」を、「僕」の立場で考えました。自分の意見を明確にするために、「意思表示カード」を使い、間違っていると思う場合は「赤」、間違っていないと思う場合は「青」で示し、話し合いました。間違っている側からは、「祖父の意思を尊重すべきだ」、間違っていない側からは、「祖父に長生きしてほしいと思ったからだ」などの意見が挙がりました。その後、「尊厳死」についての記事を読み、「尊厳死に賛成か、反対か」について話し合いました。賛成側からは、「本人の意思をしっかり聞いたならよいのではないか」、反対側の意見は、「家族であれば尊厳死なんて反対するはずだ」などの意見が挙がりました。
 最後に、これまでの話合いを通して、命とどう向き合っていくかについて自分の考えをまとめました。生徒のまとめには、「どんな選択でも間違っているかどうかは誰にも分からないことが多いけれど、今回のように『命』が関わってくると更に難しいと思いました。私はずっと命を延ばした方がよいという意見だったけれど、危険な状態になっている本人の思いは誰にも分からないので、たくさん話し合ってお互いが納得しなくてはいけないと思いました」と、命について多面的・多角的に考え、生命を尊重する心情を育てることができました。

【豊田市立市木小学校】諦めない心を育てる

 本校の5年生で、資料「ヘレンと共に ―アニー・サリバン―」を用いて授業実践を行った。
 児童の実態として、苦手意識のあるものや失敗した経験があることに対し、できるようになるまで何度も挑戦することができない児童が多く見られる。そこで、本時では、資料について考えることを通して、目標や信念をもち、困難を乗り越えようとする心情を育てることをねらいとした。
 「考え、議論する道徳」の実現を目指して、板書の構成の工夫と話合い活動の際の進行例や、質問の仕方を明確にすることを手立てとして授業を展開した。
 児童のノートには、「今までは、すぐに諦めてしまっていたけれど、これからはもう少し頑張るようにしたい」「自分のためだけではなく、周りの人のために諦めないことも大切」など、前向きな意見が多く書かれていた。

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【知多市立旭南中学校】自分を語り、仲間を受け止め、考えを深め合う道徳授業実践

 本年度、本校は、「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」における研究推進校の指定を受け、研究と実践を推進しています。具体的には、「段階的に思考するスタイルを確立すること」「対立する場面をジレンマ的に扱い、自我関与が促されることをねらいとした中心発問を作成すること」「話合い(対話)を効果的に取り入れること」の三つに重点をおいて、日々の授業づくりを進めています。
 1年生の授業では、「いつわりのバイオリン」の教材を扱い、自己の心の弱さに向き合いながら、よりよく生きることの大切さを考えました。有能な弟子が作ったバイオリンを自分の作ったものだと偽り、渡してしまった主人公が、自らの行為を悔い、良心の呵責に苦しむ場面に注目させ、「あなたが主人公だったら、どうしますか」と問いました。生徒は、自分のしたことを正直に「打ち明ける」「打ち明けない」の度合いを「気持ちメーター(8等分した円)」で示した後、その理由を表明しました。自分と違う立場の意見を聞いたり、「主人公はどんな思いで涙を流したのだろうか」をグループで話し合ったりする中で、弱さや失敗に対する気持ちを様々な面から捉え、自分の考えを深めました。最後に「あなたが主人公なら、この後どうしますか」と問うと、「相手に感謝を伝える」「熱心に仕事に励む」など、今の自分より一歩前に進む思いが見られ、自己の考えの変容に気付く生徒も多くいました。
 本年度のの実践により、教員はねらいにせまる授業づくりや、生徒の意見の拾い方など、多くの面で力量を向上させています。生徒は、課題を自分事としてとらえ、本音で話し合える雰囲気が学級にできつつあります。今後は、教材を通して考えさせたい価値そのものを問う「テーマ発問」にチャレンジしていきたいと考えています。

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