【長久手市立南中学校】伝統文化について考えよう

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 地域に住む人々との触れ合いが少なく、郷土に対する愛着や意識が希薄になっている今、祭りや行事など地域との関わりが増える夏休みに、家庭でも話題にできるようにと、2年生では、「伝えること」を通して伝統文化について考えさせ、郷土への愛情を育てる授業を行いました。
 初めに、長久手市の伝統行事について知っていることを挙げました。「警固祭り」「棒の手」と答える生徒はいたものの、実際に見たことがある、参加したことがあるという生徒は少なく、どんなものかよく知らないと答えた生徒も数名いました。その後、長く続いている行事と途絶えてしまった行事を比較しながら、伝統を守るとはどういうことかについて考えました。実際に「警固祭り」の映像を視聴し、参加者のほとんどが高齢者だということや、自分たちのようにあまり知っていないということ、地域の人とのつながりがあまりないことが問題だと気付き、「まずは自分たちが興味をもち知ること」「実際に参加すること」「地域の人に広めていきたい」など自分ができることを考えました。
 本校では、毎時間、授業で学んだことを振り返りながら、「大切だと思ったこと」「自分なら何ができるか」「学びをどう生かしていくか」を考える時間を設け、「ワンページポートフォリオ」にまとめています。ワークシートとともに道徳ファイルに保管し、いつでも自分の学びを振り返られるようにしています。
 今後も、道徳的課題を自分のこととして捉え、生活に生かしていける授業を行っていきたいと思います。

【稲沢市立坂田小学校】1年道徳科の授業「おしゃべり」

 本校は、現職教育で「自己をみつめ、よりよく生きようとする児童の育成」をテーマに道徳科の研究に取り組んでいます。発問を吟味し、話合い活動に重点を置くことで、子供同士が多様な価値観を知り、深い学びにつなげていきます。話合いのしやすい学級の雰囲気づくり、教師の言葉かけを意識しておこなっていき、何を話してもよいという安心感と自己肯定感がある中で授業をしていきたいと考えています。
 また、今年度は、重点とする内容項目を「礼儀」「規則の尊重」などに絞り、目指す児童像を「互いにルールやマナーを守り、よりよい行動の仕方を考える児童」としています。重点とする内容項目を中心に、子供の変容が年度当初と2学期末でどのように変化したのか比較するために、アンケートを実施しています。アンケートからは、しっかりとルールを守っていても自己肯定感の低い児童がいる一方で、ルールを守らず、周りに迷惑をかけていることに気付いていない児童もいます。事前アンケートでクラスの児童が苦手としているところ、個々の評価の低いところを意識して授業に取り組んでいます。
 6月に、1年生で、「おしゃべり」を教材に、授業を行いました。レンゲとミツバチがおしゃべりをする詩を通して、挨拶の大切さについて考えさせ、気持ちのよい挨拶を心がけようとする実践意欲と態度を育てることが目標です。本学級は、挨拶を苦手とする児童が多くおり、相手も自分も気持ちよくなる挨拶について考えました。レンゲとミツバチの会話の部分を教師と児童、児童のペア、代表二人などいろいろな形態で音読させた後、会話の部分でよいと思うところを発表した。「きれい」「ぴかぴか」など、挨拶だけではなく、互いのよいところを褒め合う部分を選んだ児童がいました。挨拶だけでなく、互いのよいところを褒め合うことは、気分がよくなることだというところまで深めることができました。
 本校では、授業ごとに「ふりかえりカード」を、また、学期の終わりには、「どの授業が印象に残っているか」など、学期ごとのまとめを書いています。1年生は、平仮名が十分に書けないため、顔のマークを使ってふりかえりカードを書かせました。
 1年生の1学期では、子供同士の話合いを深めさせるのはまだ難しいと感じました。しかし、少しずつ多様な意見が出る発問の工夫に心がけ、子供たちの考えを深めさせるような授業に取り組んでいきたいと思います。

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【安城市立桜林小学校】3年「ありときりぎりす」の授業実践

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 本校では、主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、聴き合い、考えを深める子の育成を目指して研究に取り組んでいます。平成29年度より外部講師を招いて、新学習指導要領に基づいた道徳科の授業展開や評価について研究を進めています。30年度は「ありときりぎりす」を教材にして、「親切」について考えました。
 「もし自分がありだったら、きりぎりすを見たときどうしますか」という発問に対して、「きりぎりすがかわいそうだから食べ物をあげる」という寛容な意見が多い一方、「自業自得だから、ほかっておく」「遊んでいたのだから仕方がない」という厳しい意見もでました。
 教師より、「きりぎりすは、いったいどんな気持ちでいるだろう」と問いかけ、新しい視点を与えたところ、きりぎりすも遊んでいたことを後悔しているに違いないと考えを深めていきました。また、「これまで、自分のことしか考えてなかったけれど、相手の気持ちになって考えてみたら、親切にしたいと思った。来年の夏は自分で集めてね。と言って今回はあげる」という意見が出ました。相手の気持ちを意図的に考える場を設けることで、進んでやさしくしようとする心情を高めることができました。

【岡崎市立本宿小学校】誠実な生き方について考える

 6年生の教科書で扱われている「手品師」という教材で授業を行いました。
 売れない手品師が、華やかなステージでのショーを断り、ふとしたことから知り合った貧しい少年のために、手品を見せることを決断する話です。本文を読み、「どの場面について考えてみたいか」を子供たちに問うと、次のような三つの意見が出ました。
 1.手品師が決断をする場面
 2.手品師がどちらをとるか迷う場面
 3.少年に手品を見せる場面
 まず、2の場面から意見交換をしていきましたが、興味深かったのは、「自分の生活や夢のために華やかなステージを選ぶべきだ」と考える子が半数近くいたことです。6年生になると、自分の考えよりも一般的な考えを優先させる子が多いため、あまり葛藤は起こらないと予想していたからです。最初は、2つの考えが教室を二分していましたが、「手品師はお金よりも心をとった」という考え方に賛同する子が増え、最終的には、「少年を選んだ手品師は誠実な生き方をしている」という考えに至った子が、8割ほどになりました。
 最後に、「誠実な生き方を実現するために、日頃から大切にしていきたいことは何か」をワークシートに書かせました。それまでの活発な議論に比べると子供たちは自分の考えを書くのに苦労していた印象でした。
 授業全体としては、子供たちそれぞれが自分なりの考えをもち、活発に意見交換ができました。しかし、物語の内容を生活と結び付けて考えさせるためには、議論において教師が意見を焦点化していく必要があるという課題も浮かび上がりました。
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【稲沢市立下津小学校】正直に過ごすことの大切さ

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 児童は、学校や家庭、社会の中で多くの人々と関わり合いながら生きています。そんな中で悪いと分かっていてもついうそをついたり、ごまかしてしまうという児童も少なくありません。そこで、正直な心で生きることの大切さに気付いてほしいと考え、道徳科の授業に取り組みました。
 「『正直』五十円分」を教材に、4年生の授業を行いました。授業の導入では、「正直に行動してよかったこと」「やってはいけないと分かっているけどやってしまったこと」を出させました。「悪いと分かっていてもやってしまった」という経験がある子が多くいることが分かりました。主人公の「たけし」が、おつりの間違いに気付き、自分が損するときはお店に返してもらいに行くが、自分が得をするときは黙ってもらってしまおうとする場面や、多くもらったおつりはきちんと返そうと考えて行動する場面を通して、主人公の気持ちの変化を話し合わせました。
 グループの話合いでは、はじめにおつりを多く渡してしまったお店のおばちゃんの行動から、「自分たちも間違ってもらったのだから、多い分は返さないといけない」「一緒にいる弟の前でおつりをごまかすのは、お兄ちゃんとしてだめ」などの意見が出ました。
 最後に、正直に行動することが大切な理由を考えさせました。「誰かのためではなく、自分が正直に行動した方がすっきりする」「もやもやした気持ちのままいるのは嫌」などという意見が出て、正直に過ごすことは、人のためではなく自分のために大切なことだと改めて実感することができました。

【瀬戸市立祖母懐小学校】道徳の授業「命の詩〜電池が切れるまで〜」

 本校では、月に2回実施しているソーシャルスキルトレーニングを通して、共感的な人間関係を育み、それを基盤として、自分の考えを隣同士や数人のグループで伝え合ったり、全体の場で発表したりするなどの話合い活動を重点に指導し、授業実践を進めています。
 5月に、5年生で、「命の詩〜電池が切れるまで〜」の授業実践をしました。神経芽細胞腫と5年半にも及ぶ闘病生活の末、11歳という短い生涯を終えた少女の書いた「命」という詩を題材に、命はどんなものかや、人間らしく精いっぱい生き抜くことの大切さについて考えさせることをねらいとして授業を行いました。授業では、詩の題名を隠して提示し予想させることで児童の興味を高めたり、命と電池の違いを比べるときにその違いが明確になるように色を変えて板書したりするなど、ユニバーサルデザインを意識して進めていきました。
 作者の「生きたくても生きられない子がいるのに、なぜ命を大切にしないのですか」という疑問には、「いじめられているから」「たえきれないことだってある」という意見が出されました。また、「精いっぱい生きるためにどんなことを考えて生活するか」という問いには、「ぼくとみんなが楽しく生きるために努力する」「家族や友達の気持ちを考えて精いっぱい生きる」などの意見が出てきました。
 今回の授業を通して、子供たちに生命の尊さを感じることのできるよい機会になったと思います。
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【あま市立美和東小学校】対話的な学びを主軸とした道徳科の授業

 本校は、道徳科の授業研究2年目を迎えた。「出会いとふれあいを大切にした体験を生かし、新たな自分づくりを目指す子の育成」をテーマに、今年度は、「対話的な学びを主軸とした道徳科の授業を通して」をサブタイトルに掲げて実践を行っている。
 昨年度、課題として残った「自分の思いを表現することができるようになったが、深め合うことが難しかった」実態を踏まえ、対話を活動に取り入れることにした。まず、児童一人一人が人の話をよく聞き、その考えのよさに気付き、賞賛したり課題に言及したりするまでの深まりのある会話、つまり「対話」のレベルまで高める。そして、対話力の向上を図る中で、児童は互いに認め合い、磨き合い高め合い、豊かな心を育んでいくことを目指すものである。
 授業実践で欠かせないポイントは三つある。「教材研究を確実に行い、児童の実態を踏まえた中心発問を考えること」「授業時間内に個人対話と相互対話を盛り込み、考える時間を確保すること」「予想される発言を基本に対話をつなぐ教師の言葉がけを考えること」である。発達段階や児童の実態、授業のねらいを明確にし、指導案を練ることで、より活発な対話が生まれる。
 試行錯誤と挑戦を繰り返し、対話的な学びから新たな自分づくりができる授業を進めたい。
 
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【豊川市立萩小学校】子供たちの「もやっと」に焦点を当てて

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 本校では、「自分の置かれた状況を見て、自分で考え、仲間と協力して行動できる子」を目指し、学級会を中心とした話合い活動の授業実践を行っています。2年生の道徳科では、この目指す子供の姿に近づくための手立てとして、子供たちの問題意識に焦点を当てた道徳科の実践を行いました。「およげないりすさん」の資料の読み聞かせを通して、子供たちが、「何だか心に引っかかったな」「もやっとしたな」と感じた場面を問い、実際にその場面でどうするとよかったのかを具体的に話し合いました。
 資料では、「仲間の中で泳げなかったりすさん一人を置いて、島の向こうまで遊びに行ったが、何だかつまらない」という場面に子供たちの意見が集中したため、「みんなが楽しい気持ちで過ごすにはどんな気持ちが大切なのか」ということを課題にあげました。
 子供たちが、より自分事として、主体的に考えられるように、「りすさんを置いていってしまった次の日、仲間たちは再びりすさんに会ったらどんな思いか」「何と声をかけるとよいか」を話し合いました。話し合ったことを、「りすさん」と「りすさんを置いていってしまった友達」の役割に分かれて、2人組で役割演技を行いました。
 資料の終末では、泳げる仲間たちが、泳げないりすさんを背中に乗せて泳ぎ、みんなで島まで遊びに行くことになります。子供たちの演技の中には、「昨日、ぼくたちがもうちょっとよく考えて、りすさんを乗せてみんなで行けばよかったよ」「一人で悲しい思いをさせてごめんね」などの言葉があり、失敗してしまった立場から、具体的にどうすれば関係を修復できるかを考えることができました。
 授業のまとめとして、学習課題「みんなが楽しい気持ちで過ごすためには、どんな気持ちが大切か」を問うと、「やさしい気持ち」「みんな一緒にという気持ち」「相手がうれしくなるようにすること」「友達の気持ちも考えること」など、子供たちなりの大切にしたいことがワークシートに書かれていました。
 今後も、子供たちの問題意識に焦点を当てた授業展開を心掛け、より本校の目指す子供の姿に近づくような実践を行っていきたいと考えています。

【高浜市立高取小学校】道徳科の授業実践「折り紙名人 −よしざわ あきら−」

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 道徳科で、「折り紙名人−よしざわ あきら−」を教材として授業を行った。
 まず、吉澤さんの写真、および吉澤さんの折り紙作品の写真を提示し、どんなことを思うかを発表した。それについて、「おもしろい」「すごい」「とても自分には作れない。どうやって作ったんだろう」など、吉澤さんの作品を賛嘆する意見がたくさん出た。子供たちは、吉澤さんの作品にぐっと引きつけられた。
 次に、「どうしてこんな作品を作れるようになったんだろう」と発問した。この発問については、教材の中にヒントとなる記述がたくさんあるので、教材をじっくり読むように促した。
 これについては、「作ることが大好き」「子供の頃に、たくさん折り紙の作品を作ったから」「物の形をよく見て、図形の研究を続けたから」「お母さんを元気にするため」「お母さんだけではなく、家族や友達、近所の人も元気にしようとした」など本質に迫る意見が出された。そして、人を元気にすることができることがわかったからとまとめをした。
 最後に、自分を振り返るための発問として、「もし自分が吉澤さんになれるとしたら」と発問した。この発問については、子供たちには、遠くを見据えてほしいと思い発問した。
 予想に反して、多くの児童が素直に自分の好きなことや、今がんばっていることを発表できた。



【日進市立香久山小学校】第1学年道徳科「かぼちゃのつる」授業実践

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 第1学年道徳科で、「かぼちゃのつる」の授業を行いました。自分勝手でわがままなかぼちゃの話を、紙芝居とペープサートを使って、その気持ちの変容を考えさせることで、わがままな振る舞いは、相手に迷惑を及ぼし、自分自身にもはね返ってくることを考えさせる授業でした。
 導入では、多くの児童が、「いけないと分かってはいるものの、わがままを言ったことがある」と答えていました。
 展開では、ペープサートを使用したことで、児童が登場人物になりきるとともに、楽しみながら自分の思いを表現することができました。他に迷惑をかけ、痛い思いをしたかぼちゃの気持ちを「しまった」「みんなの言うことを聞けばよかった」などと、発言することができました。
 授業の振り返りでは、「わがままを言わないようにしようと思った」「注意されたら素直に聞きたい」「人に迷惑をかけないようにしたい」などの意見も出ました。
 これからも、自分で考えて行動できる児童の育成を目指して、授業の実践をしていきたいと思います。

【豊田市立猿投台中学校】道徳科の推進

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 本校では、今年度、「互いに認め合い、仲間とともに主体的に行動できる台中生の育成 −コミュニケーション力を育てる道徳科の実践を通して−」を研究主題として、実践に取り組んでいます。
 昨年度の反省から、道徳科の授業を、学年が同じ時間で行うのではなく、バラバラにして行うことにより、先行して行った授業の反省点から指導案を改善し、次のクラスに生かすというスパイラルを作り、授業の改善に取り組んでいます。
 また、全職員を3つのグループ「授業研究部」「コミュニケーション部」「環境整備部」に分け、学校全体で授業内容や授業規律、教室環境などについて話し合いを進めています。これらの取組を通して、主体的に行動できる生徒が育っていくよう授業改善を目指していきます。

【美浜町立野間小学校】 「ともだちやもんな、ぼくら」〜本当のともだちってなんだろう?〜

 7月8日、2年生の道徳科の授業で、教材「ともだちやもんな、ぼくら」を使って友達について考えました。低学年の多くの児童は、友達とは「一緒に遊ぶ子」「いつも一緒にいる子」と考えています。特に、本校は、ほとんどの児童が就学前から共に過ごしてきたこともあり、児童にとって、仲間はいつも隣にいて当たり前のような存在です。しかし、この「いて当たり前」と思う仲間というのは、本当はとても大切で、これからも助け合っていかなくてはならない存在なのだということに気付かせたいと考えました。
 教材「ともだちやもんな、ぼくら」は、仲よし三人組が、カブトムシ取りに夢中になるあまり、怖いと有名な「カミナリじいさん」の家に黙って入ってしまう内容です。見つかった彼らは、じいさんの剣幕に、謝らずに逃げてしまいます。仲間を一人置き去りにして・・・。
 授業では、逃げてしまった主人公になったつもりで気持ちを考えました。逃げてきたときの気持ちについての問いに、「友達は、大丈夫かな」「おいてきてしまった」という心配や後悔の気持ちとともに、「助けに行きたいけれど、怖い」という人間の弱さに言及した発言も出ました。自分を主人公に置き換えたとき、ちゃんと友達の元に戻れると答えた児童と戻れないと答えた児童は、ちょうど半々になりました。しかし、助けに行く勇気は出ないかもしれないけれど、友達と助け合うことは大切だということに気付くことができました。
 

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【豊橋市立老津小学校】1年生道徳科「おじいちゃんのたんざく」

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 1年生の前期に、「おじいちゃんのたんざく」という教科書教材で授業を行いました。初めは自分の欲しいものを短冊に書いていた主人公が、家族の一人である祖父の自分に対する思いに気づき、短冊を書き直すという内容です。自分の成長を願う様々な家族の愛情があったことに気づき、自分の成長や家族の無事に願いをもとうとする心情を育てることがねらいです。
 導入では、七夕祭りの写真を見せ、どのような行事であるかを考えました。次に「もうすぐ七夕だから、短冊に自分の願いごとを書いてごらん」と投げかけたところ、子供たちは、「ゲームがほしい」「サッカーボールがほしい」などと、今、自分が欲しいものをたくさん書いていました。
 その後、この教材を読み、祖父が書いた短冊を見たときの主人公の気持ちについて考えました。「上手に歩けますように」「風邪や病気になりませんように」といった祖父の短冊を見て、子供たちは「とてもうれしい気持ち」「ぼくのことをこんなに思ってくれていたなんて知らなかった」などと答えていました。
 最後に、もう一度短冊に願いごとを書いてみようと投げかけました。「もっと大きくなりますように」「野球がうまくなれますように」「おばあちゃんが元気に暮らせますように」「お母さんが無事に赤ちゃんを産みますように」と、初めとは違う内容の短冊を書くようになりました。授業を通して、自分の成長だけでなく、家族の無事を願う子供の姿も見られ、上記のような心情を育むことができました。

【一宮市立萩原小学校】地域の人に感謝する心を育てる道徳科の授業

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 4年生では、「ぼくたちのバラ花だん」を教材に、地域の人への感謝の心について学習しました。主人公が、いやいや水やりをする気持ちや、おじいさんから感謝されたときの気持ちを考えてから、「バラの花が輝いて見えたのはどうしてだろう」という問いについて話し合いました。子供たちからは、「地域の人たちの気持ちが込められているから」「町が立ち直っていくためのすごい花だから」など多くの意見が出されました。友達の意見から多くの気づきがあり、バラの花に対する思いの変容や、地域の人の気持ちを捉えることができました。また、自分たちの住む町について、「地域の人たちは、自分たちの登下校を見守ってくださっていてありがたい」「地域を盛り上げる祭りやボランティア活動を積極的に行っている人のおかげで萩原は楽しい」という意見が出されました。自分たちの町は多くの人たちに支えられていることを再確認し、感謝の気持ちをもつとともに、自分の町により好感をもつことができたようでした。授業後のふり返りには「We love Hagiwara.」という言葉も書かれていました。

【蒲郡市立蒲郡東部小学校】 あと、○○○〜ぼくに足りなかったことは?〜

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 3年生の子供たちは、好奇心旺盛で「やってみたい」と思ったことに進んで取り組むことができる。一方で、楽しさを優先するあまり、守るべきルールを守れなかったり、相手の気持ちを考えずに行動してしまったりすることもある。そこで、勇気をもって正しいことをする大切さと、自分だけが正しい行動をとったからといって、よいわけではないことに気付かせたいと願い、教材「あと、ひと言」を使って本授業を実践した。
 主人公は、危ない遊びの誘いを断り家に帰ったが、友達はけがをしてしまった場面で、「ぼくに足りなかったことは何か」と子供たちに問いかけると、「注意してとめればよかった」「友達のことをもっと考えてあげた方がよい」という意見が出た。より自分事として考えるために、「本当にそれができるの?」と問い返し、議論した。「もしかしたら止められないかも」という子もいたが、大勢の子が「できる」と答えた。そこで、役割演技を取り入れ、友達を注意してとめる場面を演じることにした。実際にやってみると、「すごく勇気が必要だった」「緊張するけど止められたからうれしい」と体験を通して新たな気持ちを感じることができた。
 そして、授業の後には、道徳科での学びを子供たちが、日常の生活の中で思い出せるように、授業の板書と数人の振り返りを掲示している。子供たちが自分事として考え、自分たちの生活につながるような道徳科の授業を、これからも実践していきたい。

【豊明市立舘小学校】道徳科の授業「ありがとうがいっぱい」

 本校では、現職教育で、「『学ぶ楽しさを実感し、主体的に学ぶ児童』の育成」という研究主題を設定し、「学びに向かう力」の向上を意識した学習指導を通して、学び合いのある授業実践に取り組んでいます。道徳科においても、すべての児童が参加でき、考えをより深めることのできる授業にするために、お互いの顔がよく見える「コの字型」の座席にしています。授業展開の中心は、自分の考えたことをペアで伝え合い、それを全体の場で発表したり、他の児童の考えを聞いたりします。そして、授業の最後にまとめとして、勉強になったなと思ったことや、感想を発表し合うことで、より考えを深めることができると考えました。
 7月に1年生で、「ありがとうが いっぱい」の授業実践を行いました。給食の調理員さんや、掃除をしている家族、交通指導員さんを描いた絵を通して、日頃お世話になっている人について話し合いました。まず、誰にどんなことでありがとうと言いたいかを発表させました。その中で、友達にも言いたいことがあるという意見もでてきました。いろいろな意見を板書し、それも参考にしながら、道徳ノートに「〇〇さん、〇〇してくれてありがとう」と書かせました。班で発表し合い、友達の発表を聞いて、書き足したいことを書かせました。全体に発表させたところ、クラスの友達に対して書いたものもあったため、実際に、本人に対して言わせてみました。コの字型の席の真ん中に出てきて、ありがとうを言いました。言ってもらった子にも、今の気持ちを発表させました。「ありがとうと言ってもらってうれしかった」「うれしいって言ってもらえてうれしかった」と発表していました。授業のまとめで、道徳ノートに感想を書かせました。「『ありがとう』と言うと2人ともうれしくなる」「もっと『ありがとう』と言いたい」という意見が出ました。
 毎時間、必ず道徳ノートに自分の思ったことを記録させ、授業の内容を自分のこととして考えさせています。これから、もっと積極的に自分の考えをみんなの前で進んで発表したり、友達の意見に対しての感想を言ったりできるようにしていきたいと思います。
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【豊橋市立玉川小学校】「明るくなった友達」の実践を通して

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 3年生の道徳科で、「友情」について考えることをねらいとした授業を実践した。2年生まで2クラスだった子供たちが、3年生になって1クラスになり、人数も多く、今まで一緒になったことのない子がいることに戸惑う子がいた。子供たちの仲がより深まるように、本当の友達とはどのような存在なのかを、今一度、考えてほしいと思い、この題材に取り組んだ。
 本題材は、「お母さんから、学校に来られなくなった友達を迎えに行ってあげなさい」と言われ、最初は、渋っていたけれど、勇気を出して迎えに行く。そのおかげで、その友達は学校に来ることができるようになり、誰よりも明るく過ごすことができるようになったという話だ。そこで、「自分が主人公の立場だったら、友達を迎えに行ってあげられるのか、迎えに行かないのか」を考え、心情グラフにネームマグネットを貼る活動を取り入れた。自分の思いを話す中で、迎えに行かないという考えをもった子は、「友達になる方法が分からない」「迎えにきてほしいと思っているのか分からないから勇気が出ない」という意見があった。迎えに行くと言った子たちは、「相手の立場になって考えてあげたい」「助けてあげたい」「その子のことを知りたい」という意見があった。どんな性格なのか分からないという意見に対して、「迎えに行く」と言った子たちが、「その子のことを知るためにいっぱい話したり、遊んだりするといいと思うよ」と仲よくするための方法を考えて話す姿があった。
 以下は、授業の最後に書いた子供の振り返りである。
・勇気が出なくても、友達が困っていたら、助けた方が友達のためにも自分のためにもなるということが分かったので、困っている友達がいたら助けていきたいです。
・私は最初は、すごく行くのが怖かったけれど、行きたい気持ちもあって迷っていました。しかし、迎えに行くという子たちの意見を聞いて、私も迎えに行く意見にしました。最初から迎えに行くと言った子たちは、友達にやさしくできる子たちだと思いました。私もその子たちのようになりたいと思いました。
 この授業のあと、子供たちは、自分の思いを正直に話すことができるようになってきた。初めて同じクラスになった子とも、徐々に距離が近づき、仲よくなれたようである。これからもケンカすることがあると思われるが、本音で話していける本当の友達になれることを願っている。

【小牧市立応時中学校】道徳科の授業実践「卒業文集最後の2行」

 7月に、「特別の教科 道徳」による研究授業を行いました。本時のねらいは、「いじめを許さない心を育てる」ことです。生徒はいじめがいけないことであることは理解しています。しかし、日常生活の中で、軽い「いじり」から発展して、感情に任せて、つい心ない言葉を相手に浴びせてしまうことがあります。
 本時の授業では、「卒業文集最後の2行」という資料を使って行いました。資料の中で、筆者が小学生だった頃、クラスにいたT子さんをひどくいじめたことを振り返ります。そして、いじめられていたT子さんが卒業文集の最後に、「本当の友達ときれいな洋服が欲しい」と書いたことを知り、筆者はT子さんをいじめたことを深く後悔する話です。
 授業の後半では、「いじめは、なぜなくならないのか」というテーマで考えました。生徒の振り返りからは、「相手の心の内を知って、見た目などで決めつけないようにすることが大切だと思う」という意見や、「一人一人が、自分と違うことを認める気持ちが大切だと思う」という意見が発表されるなど、それぞれの生徒がいじめをなくすにはどうすればよいかを考える授業となりました。

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【愛西市立佐屋西小学校】杉原千畝の生き方を考える −社会正義の実現−

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 7月10日、6年生が道徳科の授業で、「杉原千畝の生き方」について考えました。
 教師が資料を読み上げ、授業はスタートしました。迫害を受けていたユダヤ人が、日本の領事館に集まって、ビザを発給してほしいと千畝に必死に頼みました。この場面で、千畝やその家族、ユダヤ人、世界の国々などいろいろな立場の視点で、ビザを発給した場合に起こりうる「よい」ことと「悪い」ことを考えました。「よい」ことは、「大勢の人の命が助かる」「人として大事」「自分が後悔しなくていい」などの意見が出ました。また、「悪い」ことは、「日本を裏切ることになる」「ドイツとの仲が悪くなる」など、様々な視点の意見が出されました。
 次に、ビザを発給するまでの千畝の心の揺れを考える場面では、教師が千畝役になり、考え、議論しました。「目の前にいるユダヤの人々を助けないといけない」「ユダヤ人を助けたら、外交官としての仕事をしていないと思う」など、千畝が実際に悩んだであろうことを想像しながら、「自分が千畝だったら、ビザを発給することができるだろうか」ということも踏まえて、議論を深めました。
 続いて、ビザを発給する決断をしたときの「決意」をワークシートにまとめ、全体に発表しました。「ビザを出さなかったら、人として一生後悔する」「ビザを発給すれば、大勢の人の命が助かる」などの意見が出されました。
 最後に、映像資料を視聴し、杉原千畝の生き方についての感想を書きました。「最初は、自分だったらビザを発給しないと思っていたけれど、ドラマを見て、まるで本人みたいに見えました。杉原千畝さんの本を読みたいと思います」「自分なら、ビザを書かないと思ったけれど、この授業を通して、自分以外の人々を思いながら生活していけたならよいと思いました。杉原千畝さんを尊敬します」など、多くの児童が、千畝の立場になって考えることができました。

【稲沢市立稲沢東小学校】集団や社会との関わりの中で、生き方を深める道徳科の授業実践

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 5年生の道徳科において、「アンパイアの心」を教材にした授業実践を行いました。主人公の公一の判定に、中学生が強い口調で抗議する場面を、役割演技で再現しました。まず、公一の気持ちに迫ることで、中学生に対する怖さや自分の判断に対する戸惑いを感じさせることができました。その後、二人のやりとりを見ていたら、公一に何と声をかけるかを考えさせました。児童からは、「公一は正しいことを言っているから大丈夫だよ」「自分だったら正しいことを言えないから、公一はすごい」などの発言がありました。授業の感想を発表する場面では、「公一のようになれるよう成長していきたい」と道徳的価値の高まりを感じる児童が見られるようになりました。また、「自分は正しいと思ったことでも、なかなか言えないけれど、正しいことを言っている人を励ましたいと思う」のように、自分の気持ちに正直に向き合いながら、道徳的価値について考えを深める児童も見られました。
 役割演技を通して、様々な立場の考えを話し合わせることで、公正・公平の道徳的価値を多面的・多角的に考えさせることができました。今後は、発問の仕方を更に工夫し、ねらいとする価値にせまる授業ができるよう研究を進めていきます。