【豊橋市立岩西小学校】 親に感謝

 4年生の児童は、明るく、元気で、何ごとにもがんばろうとする前向きな姿勢がある。しかし、家庭では、家族の一員として決まった手伝いをしている児童はいるものの、家族に反抗してしまう児童もいる。家庭訪問のときには、「最近、ちょっと反抗期に入ったかな」「言うことを聞かないことがときどきある」などの声が保護者から聞かれた。この声を受けて、児童に、親についての事前アンケートを行った。「親に感謝している」という思いをもつ児童が多数いたが、その感謝の理由を聞くと、「なんとなく」「ゲームを買ってくれたから」など低い価値でその存在をとらえている児童もいた。また、両親や園の先生から、「宿題はやったの」「遊んでばかりじゃだめ」などの注意を、しばしば受けており、その言葉につい反抗してしまうことが分かった。このような子供たちに対し、親や園の先生に目を向けさせることで、「自分は深い愛情の下に育てられている」ということへの理解を深めてほしい、今後の生活で、積極的に家族と関わっていこうとする態度を育んでほしいと願い授業を実践した。
 資料は、北野武著「菊次郎とサキ」から本文を引用した。主人公は、母からいつも厳しい言葉をかけられている。しかし、その背後に母の優しさに満ちた思いがあったことを知ることで、どの親も深い愛情をもって子を育てているということを考えた。子供の思いや思考、つぶやきなどをもとに発問したことで、題材の内容と実生活との距離を近づけさせ、今後の家族生活に積極的に関わろうとする思いをもたせた。また、役割演技を随時取り入れたことで、主体的な学びを支えたいと考え授業を行った。
 授業後の感想では、「叱ってくれるのは、自分を思ってのことなんだ」等の感想が多々残された。題材に自らの姿を重ねながら学習を進めることができたと考える。また、子供の発言を、次の発問につなげたことで、子供の授業参加意欲が持続し、価値に深く迫ることができた。更に、話合いの焦点を二択に絞ったことで、多くの子供は、自らの考えを明確にもつことができ、価値について深く考えることができた。