【蟹江町教育委員会】蟹江北中学校における道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業の取組について

 蟹江町はここ数年、道徳科の授業実施に向けて、各小中学校が精力的に研究を進めてきました。令和元年度では、愛知県より蟹江町立蟹江北中学校が「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」の委嘱を受けることとなり、研究が進められました。
 具体的には、研究の要となる道徳部会を中心に年間指導計画の見直しや授業スタイルの構築、ワークシートの検討を重ねるとともに、研究授業や研究協議会等が組織的・計画的に行われました。構築した蟹北スタイルの授業として、「考え、議論する道徳」を実現するために以下について共通理解を図りました。
・生徒同士が表情をみることができる机の配置とする
・教師はファシリテーターとしての立場を意識する
・ワークシートは、主発問に対する個の考えと全体の感想を書く欄を設ける
・導入は、内容項目または資料名をイメージしやすいものにする
・主発問と補助発問を準備しておく
・ペア・グループ・全体のいずれかで聴き合い、議論をする学習活動を授業の中に位置づける
・教材を読み終わったら、机の中にしまわせる
・ワークシートは毎時間ファイルにとじて回収し、教師のコメントを記入して、次の道徳の授業までに返却する
 これらのことに取り組んだ結果、教師一人ひとりが道徳科の授業を行う意義を理解し、よりよい授業を目指そうという意欲が高まってきたことや、道徳科の授業を行う上で、押さえておくポイントを明確化することができる等の成果を得ることができました。
 今後も、道徳科の研究が生徒たちのさらなる成長へとつながることを大きく期待しています。

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【知多市教育委員会】「考え、議論する道徳」の実現に向けて

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 知多市では、昨年度、知多市立旭南中学校が「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」の研究推進校として愛知県教育委員会から委嘱を受け、「考え、議論する道徳」の実現のための授業改善等について、外部講師の指導を仰ぎながら研究実践に取り組みました。
 旭南中学校では、「自分を語り、仲間を受け止め、考えを深め合う道徳教育」を通して、「自ら考え判断し、行動につなげることができる生徒の育成」を目指しています。そこで、授業の手だてとして、対立する場面をジレンマ的に扱い、「あなたならどうしますか」と自我関与が促されることをねらいとした中心発問を作成しました。また、相手の考えに触れさせたり、自分の考えを問い直させたりするため、補助発問を投げかけるなど、発問を工夫した授業スタイルを確立しました。更に、研究授業実施後は全職員で課題を共有し、次の研究授業の「チャレンジ項目」として授業実践に生かしてきました。令和元年11月15日(金)には全担任による授業公開を行い、保護者、地域住民、市内小中学校の教職員等が参観しました。
 このような取組により、本音で話をしようという生徒や、自分がどんなことを考えているのかを見つめるようになった生徒が増えました。また、相手の立場に立って考えるようになり、相手意識をもった行動につなげることができるようになりました。そして、教職員間の対話を通して一つずつ授業を創り上げてきた結果、道徳科の授業への意識や授業力が向上するなど、教職員の姿にも変化が見られました。
 今後も「考え、議論する道徳」の実現に向けて、教職員自身も考え、議論し、授業力を更に高めるための取組を推進し、市内の小中学校に還元していきます。

【蒲郡市教育委員会】令和元年度蒲郡市現職研修活動道徳部会の取り組み

 令和元年度、蒲郡市の道徳部会は「豊かなかかわりの中で自己を見つめ、よりよく生きる子どもを育む道徳教育」をテーマに取り組みました。10月4日(金)には、中学校1年生を対象に「いのちを考える(生命の尊さ)」を主題とした授業研究会を行いました。ねらいは、主人公の姿を通して、「互いに支え合うことでいのちがつながっていることに気づき、自分のいのちと同じように他人のいのちも大切にしていこうとする心情を育むこと」です。
 日本で初めて骨髄移植を行った田中重勝さんが、骨髄提供を行うまでの心の葛藤を描いた実話をもとに2時間の授業を展開しました。第1時では、生徒たちがビデオ視聴を通して、白血病で同世代の子が死に直面していることを知り、自分たちが健康に生きていることやいのちのありがたさを感じることができました。第2時では、田中さんが骨髄提供の決断を迫られた場面において、「自分が田中さんの立場ならどうするか」について考え、「断る」「迷う」「提供する」の3つの立場に分かれて意見を出し合いました。補助発問による葛藤場面を設けたことで生徒たちは活発に話し合い、自分の考えを多面的に見つめ直し、深めることができました。その後「どうして田中さんが骨髄を提供しようと思ったのか」を考えることを通して、いのちを支えることの大切さに気づき、いのちの尊さへと思考を深めることができました。
 今後も、子どもたちが意欲的に話し合い、考えを深められるような授業の工夫を行い、道徳科の授業力の向上に向けてさらに研究を進めていこうと考えています。