最新更新日:2024/04/23
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ちょっといい話 3月22日

泣ける映画と本のホームページより

   高校の時、助けてくれたヤツ

 高校の時、クラスでいじめにあってた俺だが、1人だけ普通に接してくれるヤツがいた。殊更親切にするでもなく、憐れむでもなく、ごく普通に。しかし、俺と接点があるというだけで、彼もまたいじめの対象になりつつあった。
 ある時、これ以上迷惑はかけられないから、もうほっといてくれと言ってみたが、「人と普通に話すだけで迷惑なんて話があるか。周りの事を言ってるんだろうが、俺は俺が正しいと信じたもののみに従う」と言ってきかない。思わぬ嬉しい言葉だったが、それだけに余計巻き込みたくなかった。俺が我慢すれば済むから、仕方ないんだと言うと、「何が仕方ないだ。そんな事あるか。誰の言葉か忘れたが、命を大事にしすぎて人生を粗末にする事ってあるんだよ。今のお前みたいに。無事なら何でもいい訳じゃない。時には、例え死んでも立ち向かわないといけない事があるんじゃないか」
 この言葉を聞いて衝撃を受けた。恥ずかしながら、この時はじめて「何とかしないと」と思った。「今、お前を取り巻く状況の直接の原因はお前にはない。だからお前は悪くない。しかし、お前が立たねばまた意味もない。立ち向かうなら、及ばずとも力を貸す」この辺で俺は泣いていた。どうしてそこまでしてくれるのかと。「俺が正しいと信じたからだ」
 ようやく決意した俺は、ヤツを巻き込みつつ(むしろ巻き込まれたか)教室で小競り合いをした後、なし崩しにいじめはなくなった。ヤツが俺に言ってくれた言葉は、どれも決して忘れられない。
 卒業後、改めてヤツにどうして助けてくれたのか尋ねたら、ヤツの兄貴は、いじめを苦に自殺していたからだった。
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