先日、稲付中学校で、都内の校長先生方の会議があったのですが、ある校長先生から、稲付中学校の生徒の「元気で、さわやかな挨拶」に元気をもらいました。というお話をいただきました。とても嬉しい気持ちになりました。

　さて、今日は、「自分をみつめる」ということについてお話をします。

　ある日、仮にＡさんとしましょう。Ａさんがスピード違反で捕まりました。罰金はなんと７５，０００円。そのＡさんが、別の友人Ｂさんに、「運が悪かった」と言いました。そして、いかにも彼を捕まえた警察官を悪く言うのです。Ｂさんが、「運が悪かったのでも、警察官が悪かったのでもないよ。スピード違反をしたあなたが悪いのじゃないの」と聞き返しました。するとＡさんは、「他の人だってスピード違反をしているよ。高速道路を制限速度で走っていたら、他の車から警笛を鳴らされるよ。みんなやっているのに、自分だけ捕まったのだから、自分は運が悪かったのだ。」と、自分に責任は全くないと力説します。そして、Ａさんは「あなただってわかるでしょ」と言わんばかりで言ってくるので、ついＢさん自身も「そりゃそうだ」と思いかけたそうです。

　さて、私自身も含めて、皆さんの生活を見直してみてください。注意を受けているにもかかわらず、逆恨みをして、注意をしてくれた相手を憎むということがありませんか。
　人間という生き物は、元来ほっておくと、つい責任を他に転嫁し、不平と不満、そして批判を繰り返す生き物です。
　でも、正直に言うと、人間はそんなに簡単にそうした感情を押さえることは出来ません。
　人生の根本の精神を表した言葉に、「静観自得」という言葉があります。
　「静」は、心に波を立てないこと。
　「観」は、よく見つめ考えること。
　「自」は、自分自身。
　「得」は、納得の得。
　つまり、この言葉は「心静かにすべてを見つめ、自分自身で納得をする」という意味です。
　自分がどういう生き方をするのか、どんな道を歩くかは、周囲に決めてもらうのではなく、自分自身で決めていくことが大切です。
　自分のてのひらを見つめて、グーパーと動かしてみてください。自分のてのひらを動かせるのは自分しかいません。たった一回の誰も替ってくれない自分の命に対し、「自分の歩むべき道は何なのか」を自分と対話をして答えを求めていくことが「静観自得」です。
　現代の私たちは、このことを一番苦手としています。けれどもどんなに苦しくても、辛くても、そして意識せずとも「静観自得」が行えるようになったとき、自分に与えられた命の大切さを実感できるようになります。

　さて、皆さんはどのような生き方をしていくのでしょうか。