第75回 卒業生55名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
卒業生の皆さん一人一人に卒業証書を渡した際の、皆さんの凛とした旅立ちの姿に、なりたい自分になるために、ひたむきに努力をした六年間の学びを感じました。
〜希望の灯をともした皆さん〜
常に、「これならできる」を合言葉に、新しい試みに挑戦をし、思いやりでみんなの心をつなげようと率先して、全校の先頭に立ち、活躍した6年生の皆さん。自らのできることを信じて、希望の灯をともすことが、自分のみならず周りを照らし、大きな幸せの光となってつながり、輝くことを皆さんの様子から私は教えられました。
今日の卒業式では、私が心を奪われた一人の少女について話をしました。その少女は、東京五輪 スケートボード女子イギリス代表のスカイ・ブラウン選手です。
〜国を超え、同じ道を歩く仲間として〜
金メダルをかけた決勝の日、スカイ選手は、試合前の日本の選手に「きっと大丈夫」と励まし、日本の選手の技が決まると、自分のことのように拍手をし、喜んでいました。そこには、国を超え、同じ道を歩く仲間として互いを認め、大切にする姿がありました。
銅メダリストとなったスカイ選手は、金、銀メダリストの日本人選手とともに青空のように輝く笑顔で表彰台に立ち、「私が友達とここに居られて幸せ。感謝している」とコメントしました。私は、人とのつながりを大切にし、感謝の気持ちを忘れない皆さんとスカイ選手の思いは、同じところにあると感じました。
〜転ぶこともある。でも、立ち上がることが大切〜
東京五輪の1年前、スカイ選手は練習中に空中でバランスを崩し、4メートルほどの高さから体を地面に打ちつけ、命を失いかねない大けがをしました。それでもスカイ選手は、そのことを悲観せず、あえて、大けがをしたときの動画をオンラインで公開しました。
「転ぶこともある。でも、立ち上げることが大切」
という自分のメッセージをみんなに伝えたいと考えたからです。皆さんも生きていくうえで、思い通りにいかないこと、つらいことが、これからあるかもしれません。そんな時には、皆さんが小学校生活で大切にしてきた「これならできる」と考えたしなやかな心を思い出してください。「できない」「無理だ」とやれない理由を探すのではなく、「今、やれること」を自分で考え、たとえ小さな一歩であっても、「できた」と幸せに感じること、そして、できる限りの努力をした、と自分自身に言える生き方を、ぜひしてほしいと思います。失敗にこだわらず、あきらめずに立ち上がり、歩み続けてください。
〜希望にあふれた自分に 新たな歴史を作れる人に〜
今のコロナ禍の状況は、今後語り継がれるであろう歴史に残る困難な時代です。でも、皆さんは、今、まさにこの歴史の中で、希望という灯を手に確かに生き、次の時代に希望の灯をつなげようとしている大切な一人一人です。「これならできる」と考えるしなやかな心、そして、周りの人々への感謝を忘れなければ、きっと人生は豊かなものになり、スカイ選手のように、転んでも立ち上がろうとする力がわいてくるでしょう。どうぞ、なりたい自分にたくさん出会えるように、希望と感謝をもって大きく羽ばたいてください。皆さんなら、希望にあふれた自分に、そして、新しい歴史を作れる人になれるはずです。
常に地域の宝として子どもたちを温かく見守り、支えてくださったご来賓、並びに保護者の皆様、地域の皆様の温かいご支援があったからこそ、今日の日を迎えることができました。卒業生や学校を支えてくださった多くの方々に、深く感謝申し上げます。
〜巣立ちゆく卒業生の皆さんの未来に、幸多かれと願っています〜