第14回教育と笑いの会昨年に続き、今年もオンラインで行ないます。 桂雀太師匠、柳亭小痴楽師匠の落語をオンラインとはいえリアルタイムで楽しめて、なんと無料です。 私も学校RRとして漫才を披露します。 是非、お早目にお申し込みください。 期 日 令和3年11月27日(土) ●時 間 13時30分〜16時00分 (13時00分より接続いただけます) ●場 所 YoutubeLive(パソコン・スマートフォンがあれば、どこからでもご参加いただけます) ●参加費 無料 ※事前のお申込みが必要です ●主 催 教育と笑いの会 / 授業と学び研究所 ●協 賛 EDUCOM ●申込み 人数把握のためホームページより11月25日(木)までにお申し込みをお願いいたします。 ※開催日前日18時ごろに、お申し込みの際に入力いただいたメールアドレス宛に接続URLをお送りいたします。 子どもたちの変化とその原因、課題を考える
中学校で授業アドバイスを行ってきました。夏休み明け、初めての訪問です。
3年生は全体的によい状態でした。子どもたちの人間関係がよいため、ペアやグループでの活動がうまく機能しています。授業中に子どもたちの笑顔をたくさん見ることができました。夏の大会等、部活動は完全燃焼とは言い難かったと思いますが、昨年度の3年生と比べてそれなりに納得のいくものだったのでしょう。学習への切り替えは上手くいっているように思いました。その一方で、教師主導の講義型の授業もまだ見受けられました。子どもたちは素直に授業に参加しているのですが、せっかく育った子どもたちのよさを活かせてないように思います。高校受験が近づき知識注入を意識されているのでしょうが、子ども自身が調べたり、問題演習を助け合いながら進めたりするような、子どもたちの主体性を上手く活かせるような授業展開を工夫してほしいと思います。活動を増やし、互いに評価する場面をつくることで、子どもたちはもっと力を発揮すると思います。 気がかりな点がいくつかあります。一つは3年生の最後の行事として例年力を入れていた合唱大会がなくなり、かわりに延期された修学旅行がこれから行われることです。行事の変更の影響がどのように出てくるのかよくわからないため、対応が難しくなりそうです。 もうひとつは、教室をまわっていて、授業についていくのが大変な子どもにほとんど気づかなかったことです。これは、そういう子どもたちがいなくなったのではなく、実際には授業の内容がよくわからず困っているのに、「先生の話を聞こうとしている」、「鉛筆を持って取り組もうとしている」ため、ちょっと見ただけではわかりにくくなっているのです。苦しさを抱えていることは間違いないので、授業中だけでなく、授業以外の場面でもケアが必要です。学年全体としてよい状態ですが、先生方には、一人ひとりの子どもをよく観察して、きめ細かく対応してほしいとお願いしました。 学校全体で振り返りに取り組んでいるのですが、この学年に限らず、内容がまだまだ浅いように感じました。授業の内容をまとめること中心になっているようです。教科書を見ながらまとめを書いている姿を目にしました。そうではなく、自分が何を学んだか、この1時間を通じてどのようなことに気づけたかといった、メタ認知を働かせることを意識してほしいと思います。3年生の子どもたちはよく育っているので、振り返りを共有したり、振り返りを通じて学んだことを意識させたりすることで、振り返りの質は上がっていくと思います。3年生に質の高い振り返りをさせることで、学校全体の振り返りの質の向上につなげてほしいと思います。 2年生は全体的に集中力が低下しているように感じます。授業の開始時はやる気は見せるのですが、すぐに集中力が切れるのです。子どもたちのエネルギーが感じられないのにはいくつかの原因がありそうです。一つは、昨年の入学時に学校が休校になったため、人間関係をつくる場面や時間が圧倒的に不足したことです。学校が再開した後も、進度を意識したため教師が一方的に説明をする授業が多かったようです。子どもたちは感染症対策もあり、友だちとかかわることもできず、おとなしく受け身で授業を受け続けたようです。新学年になった時点で、一度リセットして関係を再構築しようと先生方も意識していたと思いますが、あまり上手くいかなったように見えます。子どもたちとていねいに関係をつくり、時間はかかっても子ども同士がかかわる場面を増やす必要があったのですが、一方的な授業でもあまり問題を感じず、そこまでの時間をかけることがなかったのではないかと想像します。そうではなく、グループなどの活動を取り入れても、子どもたちが上手くかかわることができないのであきらめて講義型の授業に戻ったのかもしれません。いずれにしても、こうした悪循環が起こっているので、この悪循環を断ち切ることが必要です。かかわる場面をつくっている授業では、子どもたちの意欲は一時的に上がります。子ども同士の人間関係そのものは悪くないのです。しかし、意欲は上がるのですが、テンションも上がり気味で、主体的にかかわりながら学びを深めるようにはなかなかなりません。かかわる場面をつくり経験させ、かかわり方を学ばせることを意識することが必要です。 一生懸命に参加しようとしている子どもたちが一定数いますが、その子たちの反応が少ないことも気になります。授業者が積極的に子どもたちを評価する場面をつくっていないため、子どもたちに自信がついていないことに原因がありそうです。子どもたちに対して結論や正解を求めるのではなく、何をしたか、何を考えたかといった過程を問いかけて、取り組もうとする姿勢を評価することを意識してほしいと思います。 学年主任は子どもたちの主体性を引き出すためにタブレットの積極的な活用を考えています。子どもたちが興味を持っている今だからこそ、タブレットをきっかけに授業に対する意欲を持たせることができるのではという発想です。この発想自体はとてもよいと思います。ただ指示されたとおりに操作するような活動が続くと、早晩子どもたちは意欲を失い、元の状態に戻ってしまうと思います。子ども自身が使い方を考えるような活用方法を学年全体で工夫する必要があるでしょう。 2年生がこれから主役になる部活動に関しても、懸念があります。部活動の最終ゴールのイメージを持てていない心配があるのです。運動部は、1年時は夏の大会はほとんど開催されず、今年も選手以外は大会に参加できなかったため間近で応援することもできなかったので、自分たちが3年生となって最後に活躍するイメージが持てていない可能性があるのです。3年生となる来年の夏のイメージを現3年生も交えて共有するような場面を各部で持つようにしてほしいと思います。 1年生は、ずいぶんとしっかりしてきました。小学生の状態からかなり脱却できていると思います。具体的には授業規律がとてもしっかりしてきました。学級全体がきちんと指示に従うことができるようになっています。グループや個人活動の後も、すぐに集中して授業者の話を聞くことができていました。特定の学級だけでなくどの学級でもこの状態になっていたのは、学年全体で意識して取り組んだ結果だと思います。経験年数の少ない先生が多い学年ですが、それがかえって学年全体で素直に同じ方向で取り組むことにつながったように思います。学年主任がよい雰囲気を作っているのも好影響をもたらしているようです。 子どもたちの笑顔もよく見られ、授業規律も雰囲気もよいため、先生方がそこで満足してしまっている心配があります。具体的には反応した子どもとだとけやり取りをして、関連して他の子どもの考えを聞くといった、つなげることをしません。そのためか、子どもたちは常に授業者の方を向いていて、発表者の方を見ることがほとんどありません。授業規律はよくなってはいるのですが、子どもたちが友だちとつながることを意識するところまではできていないのです。 たまたまかもしれませんが、授業中に伏せている子どもに対して、授業者が対応をしない場面も目にしました。注意するのではなく、他の子どもとかかわることで参加できるような働きかけをしてほしいと思います。 子ども同士をつなぐことでどの子どもも参加できるようにし、学びをより深いものにしていくことを目指してほしいと思います。 子どもたちの状況がよくなったからこそ、次の課題がたくさん見えてきます。課題があることをマイナスととらえるのではなく、進歩の過程と前向きにとらえてほしいと思います。 この学年は、学年主任だけでなく時間のある先生が毎回懇談に参加してくれます。とてもうれしいことです。今回、学級経営に迷いを感じている先生が学年の先生方の前で悩みを打ち明けてくれました。この学年では、全員への宿題として毎週問題集をやらせて担任がチェックしているのですが、答合わせをせずに提出する子どもがなかなか指導に従わなくて困っているという悩みです。担任は答合わせをすることの大切さや意味を全体や個別に伝えているのですが、一向に改善しないため、根負けしそうになっているようです。そこで、他の先生はどうなのか聞いてみたところ、みな同じように困っているようです。悩みを打ち明けてくれる先生がいることで、全体で共有することができました。解決方法はさておいて、悩みをみんなの前で話すことの大切さを強調させていただきました。必ずしも正解が見つかるとは限りませんが、みんなで考えるという過程が大切なのです。 私からは、形式的に○付をしたからといってそれが子どもたちの学びにつながっているかは疑問だということを伝えました。一度原点に返って、子どもたちにとっての宿題の意味から問い直すことを提案しました。目的を明確にし、達成するためにどうすればよいかを考え、宿題の意味をきちんと子どもたちに伝え、納得させることが大切です。宿題をやることが自分にプラスになったという実感を持てば子どもたちは、黙っても取り組むようになると思います。形式的にやったかどうか、提出したかどうかで評価してもあまり意味はありません。子ども自身が、宿題を通じて自己の成長に気づけるような仕組みを考えることをお願いしました。現3年生の学年団は全員一律の宿題を課していません。これがよいかどうかではなく、学年独自の考えでの取り組みが認められているのがこの学校のよい点の一つです。1年生の学年団も自分たちでよく議論し考えて、納得のいく答を見つけてほしいと思います。 この日見たICTを活用した授業で、動画のURLを全員に配布して個別に視聴しようとする場面がありました。ネットワークの関係で同時にはうまく視聴できなかったので、スクリーンで視聴することになったのですが、ネットワークの問題はさておき、授業者はなぜ個別に動画を見せようとしたのかが気になりました。子どもたちがイヤホンを持っていなかったからです。基本的に個別に見るということは、課題解決のために必要な場面を探したり、よくわからないところを見返したりすることを念頭に置いているはずです。そうでなければ、スクリーンに映して全員でそれを見る方が、子どもたちの顔が上がり、反応も見られるので先生にとっても都合がよいはずです。個別に視聴をするのであれば、一人ひとりが異なるところを見ることが前提なので、イヤホンは絶対に必要になります。学校の予算で購入するのは難しいでしょうが、鉛筆や消しゴムと同レベルの必需品だと思います。今や100円ショップでも購入することができるので、子どもたちの筆箱には必ずイヤホンが入っている状態になるべきだと思います。 前向きな先生方から私もたくさんのエネルギーをいただいています。次回11月の訪問時に学校がどのような変化をしているか、今からとても楽しみです。 |
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