オンラインで学校と打ち合わせ

オンライン会議システムを使って、私立の中学校高等学校と打ち合わせを行いました。

自宅から遠距離にある学校(片道4時間以上かかる)なので、打ち合わせのためだけに出向くのは時間のムダが多いのですが、オンラインだと移動時間もなく、出席者の時間調整もやりやいので助かりました。打ち合わせは、主に新型コロナウイルス対応の休校から現在に至るまでの学校の様子を共有し、今後の研修をどのようにするかを中心に行いました。オンライン会議システムを使うことで、対面での打ち合わせとほとんど変わらないコミュニケーションがとれました。学校の研修についても、今後オンラインという選択肢が増えたことを実感しました。

この学校では、今年度から生徒一人一台のICT環境を中1と高1に導入します。校内のWiFi環境が整えば、他の学年もBYODを視野に入れた活用を考えるようです。現在のICT機器の活用は、教師の提示が中心ですが、今後クラウドサービスの活用が進むことが期待されます。とはいえ、具体的にどのように活用すればよいのかはまだよく見えていません。中高等学校では、教科色が強いため教科会にお任せになる部分も多いようです。この取り組みをどう学校全体で共有し深めていくかが課題です。
ICT環境の整備に関して事務職員の方が積極的に関わり、先生方の負担を軽減しようとしていることが印象的でした。私立ということもあるのでしょうが、組織としてうまく機能していると感じました。
公立の学校では、機器導入や活用サポート等も先生の仕事になっていることが多いようです。今後ICT環境が急速に整備されますが、先生方の仕事増、負担増につながることを危惧しています。教師が行うべき仕事とそうでないものとをきちんと仕訳して、必要な人員の予算をつけることが必要です。導入しても稼働しないという事態に多くの学校がなるのではないかと心配です。

今後の研修について、学校で方針をまとめていただいて、再度打ち合わせをする予定です。オンライン会議であれば、こまめに打ち合わせを行うことができるのも魅力です。
緊急事態宣言が解除された途端に会議や連絡のための出張が復活したと嘆いている方がたくさんいらっしゃいます。ほとんどの会議はオンラインで十分対応可能ですが、なぜか学校は対面へのこだわりが強いようです。対面のよさもありますが、トータルコストを意識すべきです。学校は時間がコストだという感覚が薄すぎるようです。これからは授業も対面とオンライン、オフラインの役割を考え最適化することが求められます。新型コロナウイルスへの対応が先生方の仕事のやり方を見直す機会になることを願っています。(なかなか学校の壁は厚く高いようですが…)

私学には公立と比べて新型コロナウイルスによる変化に素早く対応をしているところが多いようです。地方でも選ばれる私学となるためには、この対応力の差が大きな影響を与えることになります。これからの数年が正念場です。わたしもできるだけこの学校のお役に立てるよう頑張りたいと思います。

授業と学びコラムに投稿しました

授業と学び研究所」の「授業と学びコラム」に「学校を進化させましょう(大西)」を投稿しました。

学校が再開される中、先生方はこの事態に対応すべくいろいろな工夫して授業を行っています。早く以前のような授業ができるようになってほしいと願うのではなく、こういった工夫を共有して学校全体の進化へとつなげてほしいと思います。

是非お目通しください。

新学習指導要領の評価について研修

先日、休校中の私立の中学校高等学校でオンラインの研修を行ってきました。
テーマは「新学習指導要領の評価について」です。観点別評価、特に「主体的に学習に取り組む態度」について詳しくお話をしました。出入りがありましたが参加人数は延べ50名を越していました。自主参加にもかかわらず、多くの方に参加いただけました。

緊急事態宣言がまだ解除される前で、オンライン授業やクラウドを利用した課題のやり取りを先生方が学校や自宅から行って対応している時でした。研修をお願いされた時は、テーマはICTのオンライン活用や休校再開後の授業についてだと想像していましたが、お願いされたのは新学習指導要領の評価についてです。最初は意外に思ったのですが、休校への対応がある程度落ち着き余裕ができた今だからこそ、先を見て必要なことを研修しようという担当者の思いを聞き、なるほどと納得しました。学校再開後WITHコロナの学校運営を軌道に乗せるために忙しい日々を送ることになりますが、一歩先を見て次に備えることを忘れないでほしいと思います。

研修は、まず、新学習指導要領の目指すところ、「育成すべき資質・能力の3つの柱」と評価の観点についてお話し、3つの評価の観点で何が大切かについて考えていただきました。
「学びに向かう力人間性等」が大切だという意見がほとんどでしたが、いざそれをどう評価するのかというと皆さん困っている様子でした。
「学びに向かう力人間性等」は、観点別学習状況評価になじまない「感性、思いやり等」と観点別学習状況評価として見取れる「主体的に学習に取り組む態度」とに分かれること、前者は個人内評価として所見等を通じて伝えることを説明しました。今回は「主体的に学習に取り組む態度」の評価に的を絞り、中教審答申のキーワードを使って解説しました。特に、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」を身につけるための「学習に取り組む態度」「自らの学習を調整しようとする態度」の2軸で見ることと、そのため「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」が身についていなければ調整力を働かせているとみなされないことをポイントとしてお伝えしました。
日常的に指導や支援を行わずに評価することのないようにと中教審の資料等に示されていますが、実際に行うとなるとそれほど簡単ではありません。子ども自身が調整力を働かせるような仕組みとそれを教師が効率的に支援する仕組みが必要となります。そこで注目されるのが、ポートフォリオです。単に振り返りを記録するだけでは調整力は働きません。節目ごとにその記録をもう一度振り返り、自己評価し次のステップへと向かうようにすることが大切です。教師は日常の振り返りは特に気なる子どもを中心に、節目ごとの振り返りで全員を見るようにすることで効率的に指導支援を行うことができます。紙でもできないことはありませんが、デジタルであれば記録の集約と再構成がしやすいため、より効果的に活用できると思います。来年度に向けて準備するようお願いしました。

学校現場は新型コロナウイルス対応で手一杯と思いますが、新学習指導要領への対応も待ったなしです。酷なことを申し上げるようですが、新学習指導要領への対応もおろそかにならないようにお願いしたいと思います。
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