山本良和先生セミナー
2月8日(土)に筑波大学附属小学校算数部から山本良和先生をお招きして「算数授業の「しかけ」と「しこみ」〜模擬授業を通して〜」というテーマでセミナーを開催しました。
山本先生には、大学生を児童役とした模擬授業を通して、子どもたちの数学的な見方・考え方を育てる算数授業についてお話いただきました。 第1部【算数授業のとらえ直し】 上の2枚の写真を見比べて、違うところについて考えました。 左は教師の目線であり、右は子どもの目線です。子どもが疑問に思ったことを整理しながらめあてにむかっていく算数授業を作っていくことが大切です。そのために、我々教師自身が算数授業をとらえ直して、意識改革をしていく必要があることを学びました。 第2部【模擬授業】 模擬授業を始める前に「私は何年生の担任だと思いますか」と山本先生が発問をされました。このときの児童役の手の挙げ方を見て、その子の特性を捉えるための発問でした。 子どもの特性を理解して、子どもの良さを引き出して価値づけていくことで、算数授業を通して人間を育てていくことを教えていただきました。 模擬授業では「山本先生と運だめし」というテーマでラッキーナンバー当てゲームを行いました。授業内での「しかけ」と1年を通しての「しこみ」を実際に解説していただきながら、児童役の大学生が生き生きとした表情で授業をつくっていたのが印象的でした。 第3部【振り返り】 子ども自身が数学的な見方・考え方を働かせて、子ども同士が向き合い、子どもが変容していく姿を楽しめる算数授業をつくるために、教師が算数授業をとらえ直し、工夫した授業を行っていくことが大切であると学びました。 「今日のめあては何ですか?」と教師に聞くような積極的受け身な子を育てるのではなく、主体的な子を育てていきたいと思いました。 セミナーの参加者からも好評の声を多数いただきました。来年度のセミナーもご参加お待ちしております。 第7回(通算128回)筑波の「山本良和先生」登壇
■日時 2月8日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 山本良和先生(筑波大学附属小学校教諭) ■演題 算数授業の「しかけ」と「しこみ」〜模擬授業を通して〜 ■プロフィール 新学習指導要領の完全実施まであと2か月を切った2020年2月。「すべての子どもが、算数を主体的に、対話的に、深い学びができるようにしたい」と願う先生方。日々の授業でどのように「しこみ」、「しかけ」を設定していくのか。教科書の編集委員でもある山本先生に模擬授業を通して講演していただきます。一宮市内での講演でも大好評だった山本先生が満を持して当セミナーに初登壇します。 佐藤正寿先生セミナー1
1月18日に、東北学院大学教授の佐藤正寿先生をお招きし、「『真の社会科授業』をどのように作るか 〜暗記中心にしないために〜」というテーマで、セミナーが行われました。
セミナー会場のある大口町のキャラクター「ダッシュマン」を皮切りに、最近の社会的な問題である投票率の低下を伝える新聞記事から、社会科教育がいかに大切であるのかをお話されました。そして、子どもたちが社会に関心を持ち続けるための社会科授業とはどのようはものなのか、どのように作ればよいのかを教えていただきました。 第1部 真の社会科授業づくりとは 視点1 解決したいと思うような教材づくり ◎子供たちの問題意識を喚起するような情報提示 ・4月の海開きの画像 ・満州に渡って土地を耕す子供たちの画像。 ・コンビニのおにぎりの画像(画像の半分を隠す) ◎教科書の資料事実を活かす ◎子供たちが情報収集活動する時間を作る ◎すぐれた学習問題で意欲を喚起する ・仮定の場面設定→もし森林が減ったらどうなる? ・相対する事象提示→国内に工場があるのになぜ海外に? ・対立軸の提示と立場の明確化→食糧輸入を増やすことに賛成か反対か。 視点2 指導スキルを磨く 社会科らしい指導スキルは、資料読解、資料提示の仕方。 ◎ネットニュースや写真、グラフ、表を読み取る力は必須 ×「ここから分かることは何ですか?」 →賢い子だけしか答えられない。 〇基本項目の確認 〇「工業が盛んな地域だと思う場所に丸を付けて」 〇「どう思った?」 〇「みなさんは何に気づいた?」 ◎タブレット等あればGoogleMap等で調べさせる→調べ活動 視点3 選択判断の場面を作る ◎発問に自分ごとを加える⇒対話を生む ・「スーパーマーケットで様々な工夫があると知ったが、もしあなたが店長だったらどの工夫を一番にするか」 ・「どこにつくるか」 ・「賛成か反対か」(選択肢を示すのも一つの工夫) ◎少ない立場の方から聞く。 →先に多い方を聞いてしまうと、少数派は圧倒されてしまう。 勝ち負けを争う場ではない。自分と相反する立場の考えがどのようなものかを聞き、自分の考えを深める。 視点4 評価問題を考える 知識は必要だが、暗記だけでは通用しない ◎「どのような資料があればよいか」という視点が重要 →りんごづくりの盛んな地域の学習ならどんな資料が必要か。 →りんご農家の工夫や努力を調べるならどこに連絡したら良いか。 ・区役所 ・現場への取材 ・JA ⇒教材収集に苦労を惜しまない 視点5 教材研究を楽しむ 長篠合戦図屏風から、教材研究の観点で、不思議やどうしてと思うことを考えた。 〇なぜ旗を掲げるのか? →戦果の評価基準になるため。評価人は山の上で眺める。 ◎教師自身が「素材研究」として調べてみる ◎資料には製作者の意図が反映されている。 佐藤正寿先生セミナー2
第2部では、資料の提示や活用の仕方、読み取り方など、模擬授業を通して、佐藤先生に実際に見せていただきました。
第2部 模擬授業 6年生「これからの日本」 T 未来社会について「聞いたことがある」ことを教えて C AI C 冷蔵庫がしゃべる C 山奥でのドローン配達 C 無人の車・いいことばかりではなく、便利だからこその犯罪が増えるのではないか C 少子化 T 日本の年齢階層別将来人口設計の資料を読み取って、わかることを教えて C 2010年と2065年を比べると人が減っている C 薄オレンジのところがどんどん減っている C 0から14歳が比較して半分になる(2010年と2065年) C どの年も薄オレンジが一番多い T わかることとして、減っていることが挙がりました。 では、未来社会で予想される課題は何か、3人で話し合ってみよう T 課題はあった? C 将来の若者の負担が増え、年金が減るのが問題 T 高齢者が減るのは問題じゃないんだ、若者の切実な悩みだね C 働き手が減る T 働き手が減ることは問題かな? C 社会が回らない T やっぱり年金問題かな〜 C 人口減少で、人以外のものが働くことが増えるのではないか T 人型ロボット? C そうというよりかは機械かな C Society5.0 が起こりうる未来なので、そこまで働き手の減少が起こるのは悪くないの かな T なるほど。 C 世の中が無意識にそういう方向を意識している。皆が順応になれば良い。 T 素晴らしい意見だね。 T 少子化もあるけど、高齢化という課題も実はあるんだよ。どちらかについて考えたいんだけど、自分のことで考えると、少子化と高齢化どっちについて考えたい? T では少子化について考えようか。 T じゃあ、本当に少子化に向かっているのかな?根拠はあるのかな? T (日本の出生率の低下のグラフを提示) みんなが言う通り少子化が進んでいるね。 T なんでだろうね? C 結婚する人が少なくなっている C 離婚率の増加 C 子供を産んでからの国のサポートが少ない T どこから聞いたの? C ニュースです。 C 独身でいいやと思う人の増加 C グラフから、親も少ないから必然的に子も少なくなる C お金がないから。 T なんで? C 養育費を捻出するのが大変だから。 C 子育てする時間がない C 社会の仕組みが子育てするのに向いてない。 T なんで? C 大家族から核家族化、子育てに協力する人が減少しているから。 T (内閣府の子供を持たない理由の調査結果を提示) T 将来みんなが直面するかもしれない問題だよね。これって解決したいよね? T じゃあ、みんなが少子化を止めるような提案をしよう。班で話し合ってね。 T では、出てきたアイディアを班の代表がホワイトボードに書きにきて下さい。 (ホワイトボードに書いてあるのを見て) C 地域でのサポート T 例えば? C 子育て支援の充実 C お金を回す T 具体的には? C 給料を上げる、消費が上がる T つまり経済を活性化するってことだね C 1人産んだら10万円 T どんな頻度で?月で?年で? C 1回です。 C 福利厚生 T いろいろ出たけど、政府って何かしているのかな? T 実は2015年3月に政府はこういうことをいっています。 T (スライドを提示する) T 達成していることもあるけど、未達成なこともたくさんあるんだね。 T これからもこういったことだけではなく、様々な問題について考え続けてください。 T これで授業を終わります。 佐藤正寿先生の講演を通して、真の社会科授業の作り方と教師としてのあるべき姿を改めて学びました。佐藤先生に教えていただいたことを、日頃の授業で活かし、教師自身が学び続ける姿勢を、子どもたちにやって見せていくことが大切だと感じました。 第6回(通算127回)「佐藤正寿先生」登壇
■日時 1月18日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 佐藤正寿先生(東北学院大学文学部教育学科教授) ■演題 「真の社会科授業」をどのように作るか 〜暗記中心にしないために〜 (模擬授業含む) ■プロフィール 岩手県公立小学校教諭、副校長を経て、2018年4月より現職。全国初等教育研究会理事。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに、社会科を中心とした教材開発・授業づくりで知られています。現在は教員志望の大学生に教職の魅力を伝えようと奮闘中。主な著書に『スペシャリスト直伝!社会科成功の極意』など。 当日は模擬授業を通して、子どもも教師も社会科好きになるポイントを示していただきます。 和田先生の授業
11月9日に授業と学び研究所フェローの和田裕枝先生と愛知教育大学教職大学院特任教授の野木森広先生をお招きし、「授業づくりの基本と深い学び〜算数・理科の模擬授業を通して〜」という演題で算数・理科の模擬授業をしていただきました。また、模擬授業後には、岐阜聖徳学園大学教授の玉置崇先生の司会進行の下、パネリストや授業者を交えて深掘りをしました。
第1部前半では、和田裕枝先生による5年生「整数」の公倍数について、模擬授業をしていただきました。 まず、和田学級の3つの基本は、「人の話を最後まで聞くこと」「反応すること」「人と違う言い方をすること」であると教えていただき、子どもにどんどん発言させる中で、考え方・言い方の違いから内容を深めていく授業で児童役の大学生も活発に発言しながら授業に臨んでいました。 また、長方形のタイルを並べて、正方形をつくる活動では、根拠をしっかりと児童にもたせ、ただその問題を解くだけではなく、 「一辺が48cmの正方形を見つける問題をつくるなら」→「2番目の公倍数」 「一辺が96cmの正方形を見つける問題をつくるなら」→「100cmに近い正方形は?」 子どもたちによる問題作りを通して、発展的に考えられる授業でした。 和田先生の授業の深掘り
第1部後半では、玉置崇先生の司会進行の下、パネリストや授業者を交えて授業の深掘りをしました。
様々なやりとりの中で、「発言を待つだけではなく、子どもたちから考えが引き出せるような布石を打つことが必要である。」「10-1=9のクラス。指名により1人が発表した後も、残り9人が自分なりの考えを続けて言える学級を目指している」など授業を進める上でのポイントがわかりました。深い学びについては「子どもの見方、考え方を広げ、日常に活かす。このようなことをすると他の単元でも活きる。」と教科全体を見通した指導にも話が広がりました。 また、参加者からの質問コーナーでは、ノート指導について、「子どもたちは本時の自分の学びを振り返るためにノートに記録をしている。」「教師は、本時の概念やキーワード、思考の過程を板書等で可視化されるようにしている」という2点を聞くことができました。 野木森先生の授業
第2部後半では、野木森広先生による4年生「ものの温度と体積」について、模擬授業をしていただきました。実験の動画をもとに、こんにゃくが入った管をさした瓶にお湯をかけると起こる現象に興味をもたせたり、実際に確かめさせたりすることで、児童役の大学生が、様々な条件下で実験したいとワクワクしながら授業に参加していました。
また、ペアで実験を行わせ、対話させながら、どのような道具が必要なのか、どのような条件で実験していくのか、見通しをもたせて実験させるなど、子どもの進捗状況をしっかりと把握して、支援していくことの大切さをひしひしと感じる授業でした。 まとめでは、「たしかに言えること」「もしかしたら言えること」「もっと調べたいこと」の3点で振り返りをさせるなど、次時へのつなげ方を学ばせていただきました。 野木森先生の授業の深掘り
第2部後半では、再度、玉置崇先生の司会進行の下、パネリストや授業者を交えて授業の深掘りをしました。
特に、「各グループで直感的に出たつぶやきの見方・考え方をどのように全体で共有して深い学びにもっていけるか」について、様々な意見がでました。 「あとで言ってねと子どもに依頼する。」や「グループでつぶやいていることを板書していき、視覚化しながら共有していき授業を進めていく。」など、深い学びをするために、つぶやきを大切にしていくことについて聞くことができました。 第5回(通算126回)「和田裕枝先生&野木森広先生」登壇
■日時 11月9日(土)10時〜12時30分
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 和田裕枝先生(授業と学び研究所フェロー) ■講師 野木森広先生(愛知教育大学教職大学院特任教授) ■演題 授業づくりの基本と深い学び〜算数・理科の模擬授業を通して〜 ■プロフィール 和田先生は元小学校長、野木森先生は元中学校長。若い頃から授業研究に積極的に取り組み、授業のうまさは天下一品。 当日は、和田先生が算数、野木森先生が理科の模擬授業を行い、その後、岐阜聖徳学園大学教授の玉置崇先生の司会進行の下、パネリストや授業者を交えて深掘りをしていきます。その中で、授業づくりの基本や授業を進める中で考えられたことをクローズアップしていきます。乞うご期待を。 野口芳宏先生セミナー1語彙の拡充の原理〜3年生「ありの行列」〜 国語の学力とは、 「読字力」「語彙力」「文脈力」である。 「文脈力」はつながりを理解する力で、いちばんつけにくい。 「読字力」は、教科書には平仮名で書くことを、黒板には漢字で書くことで身につけさせることができる。→ 講演中も多くの言語を拾いながら実践していきました。 そして、「語彙力」。語彙自体の意味を知らないといけない。 それを、教科書で教えていく。 言語の力をつけていくことが、国語の教育。学力は教わらなければ身につかない。 国語の学力はすべての学力の基礎学力、「底」である。 人が去り行く時、手に入れたものはすべて失い、与えたものだけは残る。 なんとも心に響く第一部でした。 野口芳宏先生セミナー2会員発表 松井大樹先生〜道徳「ロレンゾの友達」〜 本当の友達とは、について、自分の立場をどれにするか決めさせ、自分の意見を持たせながらの模擬授業でした。 また、子どもたちが資料を理解できるように、資料に補足をいれながらの授業でした。 この2点について、野口先生は高く評価されました。 自分の立場を決めさせ、ノートに書かせたこと。→全員参加の授業になっていた。 資料に補足をいれながらの授業→ とても大切なこと。国語では何回も読ませるのに道徳では一度で内容を理解させようとする。理解できるわけがない。 野口先生は続けます。 子どもに立場を決めさせるなら、教師も自分の立場を決めて子どもに話すべき。 そして、立場はAかBかにするといい。 野口先生だったら、どの立場にするかも話してくださいました。 学びの多い、第二部となりました。 野口芳宏先生セミナー3
第三部
修養講座〜「日本人の精神」とは〜−教育勅語を用いてー 教育勅語について、いいイメージ悪いイメージ?と聞くと、悪いイメージをもっている人が多い。しかし、その中には、教育勅語を読まずに悪いイメージを持っている人が少なくない。 教育勅語を読み解きながら、講演は進められました。 「教育勅語」は、たった315文字。 これほど簡潔に厳選して教育に対して書かれたものはない。 何でも自分の目で本物に触れて確かめることが必要である。 第4回(通算125回)「野口芳宏先生」登壇
■日時 10月14日(月・祝)10時〜15時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 野口芳宏先生(植草学園大学名誉教授) ■演題 【午前の部】語彙の拡充の原理 〜3年「ありの行列」〜 【午後の部1】松井大樹先生 〜道徳「ロレンゾの友達」〜 【午後の部2】修養講座 〜「日本人の精神」とは〜 ■プロフィール 教師力アップセミナーのレギュラー講師。18年連続は野口芳宏先生だけ。今年で83歳、ますますお元気です。今回も丸一日、たっぷりと聞いていただきます。 第1部は野口先生の模擬授業、第2部は会員のライブ授業発表、第3部は教養講座です。この第3部は、先生方の人格を高めるための講座。前回から始まりました。先生方の声も上々。教師力がアップすること間違いなしです。どうぞお楽しみに! 山田貞二先生セミナー1
9月7日に愛知県一宮市立浅井中学校校長の山田貞二先生をお招きし、「うれしい、楽しい、道徳大好き!〜しなやかな道徳授業をめざして〜」というテーマで講演していただきました。
まずは、アイスブレイクとして「セブンイレブンじゃんけん」をしたり、2分間でペアの人の似顔絵を描いてプレゼントしたりするなど、温かい雰囲気づくりを行いました。学級でもセミナーでも、何でも言い合える雰囲気づくりが大切だということを教えていただきました。 次に、ペアで簡単な場面指導を行いました。テーマは「明日は合唱コンクール、指揮者の子が泣いている。どのように声をかけますか」というものでした。その際、「君ならできるよ」と励ますよりも、まず「どうしたの?分かるよ、その気持ち」と共感することが大切であると学ばせていただきました。 道徳の授業も、まず傾聴、共感することから始め、自己肯定感を高め、安心感(セイフティ)の中で自己決定をさせていく必要性を学ぶことができました。 また、教師が子どもの話を聞く姿勢をもつことはもちろん、子ども同士が聞き合えるかどうかもポイントだと知りました。 1.傾聴三原則 (あいづち、うなずき、称賛) 2.オウム返し復唱 3.オープンクエスチョン を用いて、自己決定の場(納得解)へ導くことを教えていただきました。 山田貞二先生セミナー2
〇そもそも「道徳」って何だろう。
という問いを会場の全員で考えていきました。英語では「moral:習慣。風習」。広辞苑では「日常的に守るべき習慣」とあります。さらに国や地域、育ってきた環境や文化、家庭や時代によって変化することもあります。 それぞれ価値観が異なるものだから、それぞれが「納得解」を出すことが大切になってくることを学びました。 道徳の授業を通して、「主体的判断力」と「共に生きる力」といった「道徳性」を育むことが大きなねらいです。しかし、私たちの道徳の授業に対する「思い込み」が弊害になることがあると教えていただきました。そしてその思いから成るパターン化された授業では、量的にも質的にも課題が残るため、「考え議論する道徳」へと転換を図ることになったそうです。明確な指導観のもと、しなやかな授業を行う必要性があるとのことです。 授業の中で、「価値理解(内容項目)」「人間理解(人間の弱さを扱う)」「他者理解(自己との比較)」を「多面的・多角的」に考えることで学びを深めていくことが大切だということを教えていただきました。 〇多面的・多角的な考えとは 「多面的」と「多角的」をあえて分けて考えていくことになりました。 ・ 多面的とは 社会的事象自体がもつ様々な側面→多面性 ・ 多角的とは 社会的事象を様々な角度からとらえること→多角性 立場を変える。認め合い。 これらを踏まえ、対話→拡散→収束(磨き合い)へと導いていくそうです。 収束の際、議論を通して、時には対立・妥協も授業の中で経験させるとのことです。 中心発問を発火点とし、認め合いながら対話をして拡散の方向へ導き、ズレを起こす補助発問から磨き合いという議論による話合いへと導いていくことを教えていただきました。 山田貞二先生セミナー3
〇模擬授業「バスと赤ちゃん」
導入は2パターンあることも教えていただきました。 ・教材から(挿絵等) ・価値から(友情ってどう思う?等) 今回は挿絵からの導入でした。本文中に「火のついたような鳴き声」とあり、実際に演じてみたり、音声を聞かせることで体感することができました。 そして、運転手さんの提案によって起こった「拍手」の意味を考えていきました。 ・運転手さんの提案に向けて ・母親に向けて ・乗客みんなに向けて ・赤ちゃんに向けて など、多くの意見が出ました。中には、 ・周りに合わせて仕方なく という意見も出ました。しかし、こういった一見ネガティブな意見こそ、「よくぞ言ってくれた」と、大切にしなければいけないとおっしゃっていました。また、役割演技を通して参加者それぞれの納得解を求めていきました。 一つの教材に対して、どのように扱うのかも授業の展開を左右する大事な選択とのことでした。例えば、共感的に、分析的に、感動的に。または、問題提起として捉えることもできるそうです。 他にも、質の高い多様な指導方法として ・自分事としてとらえる。 ・問題解決的な学習。 ・体験的な学習。 などの選択もしていく必要があることを学ぶことができました。 2時間という短い時間でしたが、理論と実践を具体的に分かりやすく教えていただき、大満足のセミナーとなりました。 第3回(通算124回)「山田貞二先生」登壇
■日時 9月7日(土)10時〜12時
■会場 大口町立大口中学校 ■講師 山田貞二先生(一宮市立浅井中学校長) ■演題 「うれしい、楽しい、道徳大好き!〜しなやかな道徳授業をめざして〜」 ■プロフィール 瀬戸市にて教員生活を始め、愛知県教育委員会指導主事を経て、現在、一宮市立浅井中学校長。道徳教育の実践家として、全国各地に講演に出かけ、月刊誌『道徳教育』に「子どもに語る道徳小話」を連載。今、道徳をどのように授業・評価しようか悩んでいる先生方が多いのではないでしょうか。考え議論する道徳の模擬授業を通して、最先端かつ、現場に馴染む「特別の教科 道徳」の具体を示していただきます。 川上先生セミナー1
6月9日に東京都立矢口特別支援学校の川上康則先生をお迎えし、「通常学級における、発達につまずきがある子どもの輝かせ方」というテーマで講演していただきました。その一部をご紹介します。
まず初めに、子どものつまずき、困難さを感じるところからセミナーはスタートしました。文章を目で追いながら音読するのが困難な状態、体をうまく動かせない状態を体験し、どんな支援があれば、その子にとってよいのかということを考えました。音読で困るならリーディングスリットを活用してみる、運動で困るときは、手順表示をしてみるなどの手立てを提示されました。その子の立場になって考えることが大事であると学びました。 「子どもはルールよりもラポール(信頼関係)に従う」というお話がありました。信頼関係の中身は、1自分が認めた大人、2自分のことを分かってくれる大人の2つ。やり方(How to)を求めがちだけれども、あり方(To be)を見直さないといけないことを教えていただきました。 崩れる学級の原因についてもお話していただきました。学級経営には、「軸・枠・型・幅」が必要だが、これらを崩しにお試し行動をとる子がいます。また、教師に過度な身体接触をしてくる子がいます。「ぶれない、動じない、揺るがない、かつ、その子の持ち味を引き出す」ことを目指すとお試し行動をさせなくすることにつながります。腕に巻きついてきたり、膝の上に座ってきたりする子は意図的に離れないとどんどんエスカレートしてしまいます。「距離をとる」、「やってもらえるという誤学習をさせない」という2つを心がけていくひつようがあると教えていただきました。 川上先生セミナー2
子どもたちの中には、理解がゆっくり「スローラーナー」がいることをお話しされました。スローラーナーは、行間を読み取ること、比喩的な表現を理解すること、言葉の書き写しになどに困難を抱えている。そんな子どもの学びにくさの分かる教師になろうということをお話していただきました。
川上先生は、お話の間にペアトークを何度か行いました。ペアトークの意義として、1理解のレベルを揃える、2インプットした内容はアウトプットで定着する、3他人のフィルターを通して学ぶ、4話すことでガス抜きができ、集中力が続く、の4つを挙げられました。しかし、ペアには能力差があるので、質問の難易度で調整するなど、配慮が必要なことを学びました。 「安心してわからないと言える教室をつくりましょう」というお話もされました。わからないが続くとやろうとしなくなってしまいます。対策としては、援助要求スキルを教えてあげる。しかし、スキルだけでなく、自尊感情と合わせて考える必要があります。困ったが言える人は自尊感情が高い人で自尊感情が低い人は、恥ずかしいという気持ちを持っています。だから「ピンとこない人?」など間接的に聞くことも一つの手段。そしてできたことは、「できたね!」と褒めてあげる、自尊感情を大切にすることを学びました。 |
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