授業規律を全員参加、授業への集中につなげる
2学期初めに訪問した中学校での授業アドバイスです。
1年生の数学の授業は、子どもの姿がバラバラなことが気になりました。やるべきことがはっきりしている時は参加できるのですが、指示がよくわからなかったり、問題が解けた後にすることが無かったりすると、ボーとしている子どもが目立ちます。机間指導をしてはいるのですが、できた子どもに対してほめることや具体的な指示はありません。困っている子どもには個別に指導をするのですが、その子どもにかかりきりになると、全体を見ることができずに他の子どもがだれてしまいます。 指示をした時はできた後のことも先に指示しておくとよいでしょう。そして、すぐに机間指導するのではなく、全体の様子を見て指示が通っていないようなら、再度指示をし直すことも必要です。また、困っている子どもが多いようでは個別に対応することは難しいので、まわりと相談させるとよいでしょう。 指名した子どもに問題の答を板書させますが、他の子どもはそれを見ているわけでもなく、ボーとしています。これではその時間がムダになってしまいます。答ではなく過程や根拠を意識させることで、この時間を有効に活用できるかもしれません。具体的には、板書の説明を本人ではなく、他の子どもにさせるようにするのです。そうすることで、友だちの板書を真剣に見る必要が出てきます。 子どもたち全員が参加することを意識してほしいと思います。 1年生の社会科の授業は、授業規律がしっかりできていて、子どもたちがよく集中していました。ディスプレイに課題や指示を大きく写すので、子どもたちの顔がしっかりと上がります。また、子どもたちに作業を指示した後も、ディスプレイに指示を残しているので、内容がわからなくなった子どもも安心です。いずれもちょっとした利用方法ですが、うまくICTを活用できていると思いました。 子どもたちはノートやワークシートが必要な場面では素早く取り出します。授業者が話に集中させようとして「顔を上げてください」と言えば、すぐに全員が反応します。しかし、この時期であれば指示しなくても顔が上がってほしいと思います。いつまでも指示をして子どもを動かしていると、指示されたことしかやらなくなるので注意が必要です。 資料をもとに考える場面では、「共通点」「相違点」を見つけるという視点をはっきりと与えていました。1年生なので、こういったことを教えることも大切です。子どもたちが資料をぱらぱらめくりせず、きちんと読みながらめくっていました。課題に集中している証拠です。 この学年で気になるのは、同じ学級でも、授業者が変わるとこういった子どものよい姿が見られなくなることです。授業規律は学年全体で意識するようになって、どの授業でも一定のレベルには達しているのですが、それが形式的になって全員参加や授業への集中につながっていない時があるのです。このことを授業者が意識しているかどうかにかかっているようです。子どもたちが授業者に合わせていると言い換えてもよいかもしれません。この点が学年の課題だと感じました。 3年生の社会科は自衛権や戦力について考える場面でした。 授業者は日本の現状で「うん!?」と思うことを子どもに出させます。子どもの疑問から課題をつくりだそうとしているのですが、疑問と言わずに「うん!?」という言葉にすることで、意見を出しやすくしています。面白い問いかけ方だと思いました。 ただ、日本の現状と言っても子どもたちにどれだけの知識があるのかちょっと疑問です。新聞記事、教科書の資料などを与えることも必要でしょう。この学校では環境的に難しいのですが、ネット等の利用を選択肢に入れることができれば、かなり状況は変わると思います。 子どもたちは授業に前向きに取り組もうとしています。すぐに鉛筆を持つことからもわかります。しかし、そこから手が動かない子どもが結構います。相談してよいと言うと、困っている子どももかかわることができるのですが、座席の距離が空いているのでやりにくそうに見えました。グループの隊形にして作業をさせてもよかったかもしれません。 相談しても、互いに考えがないので何も書けていない子どもが結構いました。授業者は書けた子どもを指名して考えを聞いていくのですが、書けていない子どもとつなぐことをしてほしいと思います。「似たようなことを書いた人?」と書けた子ども同士をつなぐだけでなく、「書いていないけど、『うん!?』と思った人?」とつなぐのです。 この授業者の目指す方向性はとてもよいと思います。「子どもが考えるために必要なものを考え、それをどのようにして子どもたちに与えるのか」、「考えを持てなかった子どもをどのようにして参加させるのか」といったことが次の課題だと思います。まだ、若い先生ですので、今後の成長が楽しみです。 この続きは次回の日記で。 |
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