積極的に参加する子どもと受け身な子どもをつなぐ

前回の日記の続きです。

高校1年生の古文は宇治拾遺物語の現代語訳の場面でした。2年目の先生です。
指名された子どもたちが、黒板に書かれた原文の横に現代語訳を書いていきます。授業者は指示語の内容を補って現代語訳している子どものことをほめました。この場面に限らず子どもたちのよいところをほめようとする姿勢を見せてくれます。昨年は余裕がないためか硬い表情をすることが多く、子どもたちとのコミュニケーションがうまく取れていなかったように感じていましたが、今年は笑顔もたくさん見ることができ、教室の雰囲気もずいぶんとよくなっていました。

子どもたちに問いかけ、その反応をもとに進めています。板書された現代語訳に対して、これが正解と授業者が判断せずに、それでよいか子どもたちに判断させます。子どもたちに考えさせるためのよい方法です。ポイントとなる言葉の意味や文法的な説明がこれでよいかを問いかけて、子どもたちから異論が出なければそれで次に進むのですが、この訳でよいという根拠があまり明確にはなりません。明確な根拠を子どもに確認して言わせる場面が必要でしょう。

ある一文で、今一つ納得できないのか、何かぶつぶつとつぶやいている子どもがいました。授業者はその様子を見て「もやもやしているなら考えて」と自分で説明せずに、考えるように指示します。よい対応なのですが、板書を写すことに集中してこのやり取りに参加しない子どもも目立ちます。子どもたちの言葉を中心に授業を組み立てようとしていますが、積極的に参加する子どもとだけのやり取りになっているのが残念です。もやもやするのが何かを本人に聞いて、学級全体でどうなのか考えるといったことが必要になります。

助動詞「む」の意味を確認する時に、「どんな意味があった」と問いかけますが、ここでも反応する子どもの言葉で先に進めてしまいます。前の時間にやった判別の方法を思い出すように伝え、「調べる癖をつけてください」と、調べることをうながしたのですが、多くの子どもは答が出てくるのを待っていました。実際に調べさせることをしなければ、全員参加にはできません。
「3人称」というつぶやきが子どもから出てきましたが、授業者は「主語が3人称の時は……」と自分で説明をし始めました。「今言ってくれた人、どういうこと?」と全体で確認したり、「今、3人称という声が聞こえたけれど、どういうこと?誰か説明して?」と他の子どもにつないだりして、全員で共有することが必要です。

素直にアドバイスを受け入れて実行しています。自分でもいろいろな工夫をしていて、ずいぶんと進歩が見られます。だからこそ次の課題がより明確になっていると思いました。子どもたちは落ち着いて授業を受けていますが、積極的に参加する子どもと、受け身で参加する子どもに分かれています。受け身な子どもたちをどうやって能動的にするかが課題です。積極的な子どもたちがいるのですから、彼らとつなげることがポイントになります。最初は友だちが何と言っているのかを復唱させることから始めればよいと思います。聞くようになれば、「言っていることわかった?」「なるほどと思った?」「どこがよいと思う?」と判断や価値付けを求めていくことで参加度は上がっていくはずです。
授業者自身も自分の課題に気づけています。きっと次回の公開授業ではよい変化がみられると思います。

この続きは次回の日記で。
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