どのような活動をすれば子どもたちの力がつくのかが次の課題

前回の日記の続きです。

7年生(中学1年生)の音楽はリコーダーの練習でした。
最初に忘れ物の確認をしました。だれも忘れ物をしていなかったことを一言、「素晴らしい」とほめました。これ以外にもいろいろな場面で子どもたちを認めたり、ほめたりしていました。子どもたちの自己有用感が高いからでしょうか、よく集中して授業に参加していました。

挨拶の後、教科書のタンギングについての記述に注目させますが、今一つ集中できていないように見えました。しかし、授業者が「こんな風に吹いている人いませんでしたか?」とリコーダーを吹き始めると、一斉に顔が上がり一瞬で集中しました。子どもたちの参加意欲を感じます。全体での練習も全員の姿勢がよくそろっています。しかし、男子だけ、女子だけといった指示をすると、指示されなかった方の集中が落ちて、姿勢が崩れます。どちらか一方が集中できていない時には、別々にやらせることが効果的なこともありますが、この場面では特に必要な状態には思えませんでした。せっかく別々にやらせるのであれば、やらない方にも役割を持たせるとよいでしょう。例えば、自分の隣の子どもがうまくきているか確認して、できていれば「いいよ」と伝えるといったことです。

教科書のリズム譜を見て、メトロノームに合わせて手拍子を打ちます。指示がよくわからなかった子どもが隣の子どもに聞いています。男女市松に並んでいますが、自然に隣同士で声をかけ合える関係になっていました。
ちょっとテンポが速く難しいところで、ついていけない子どもが目につきます。授業者は「たーん、たん」としっかりと声を出し、子どもたちをほめながらできていないところを何度もやり直します。手が動かなかった子どもも次第に動くようになっていきます。子どもたちの状況をよく見て活動をさせていました。

続いてグループで練習させます。全体での練習で、意欲が少し低そうな子どもがいました。机もすぐに移動しません。授業者は素早くその子どものところに行って机をしっかりと他の子どもの机と密着させました。よい対応だと思います。
手拍子がずれていている子どもがいたらそのことを教え合うように指示をして、練習を始めます。ただ、教科書のリズム譜を見ながらなので、友だちの手元に注意を向けにくいことが気になりました。中には授業者の手元を見て確認している子どももいます。練習する人とチェックする人をグループの中で分けるといったことが必要かもしれません。
練習が終わると、うまくできたのでしょうか、子どもたちから笑い声が聞こえます。この活動を楽しんでいることがわかります。
続いて、リコーダーで先ほどのリズムでタンギングの練習をします。吹き始めようとした時に、子どもたちに姿勢をよくするように一言指示をしました。子どもたちの状況によく対応しています。

最初意欲が低いように見えていた子どもがリコーダーを吹く場面ではよく頑張っていました。それとなくほめてあげたいところでした。吹き終ると身体ががくんと崩れます。頑張っているので気づきにくいのですが、集中が落ちたのではなく、体調が悪い可能性があります。授業の後半に授業者もそのことに気づいて声をかけました。保健室に行くように指示しますが、本人は頑張りたいようです。無理をしないようにと言ってそのまま参加させました。

一斉ではなくグループごとに練習をさせますが、授業者は個別のグループにかかわりすぎて、全体が見えなくなっているようでした。バラバラの状態でうまくグループで練習ができていないところもあるのですが、そこに対して支援ができていません。グループで練習しろといっても、実はそのやり方は決まっているわけではありません。子どもたちが経験的に知っているかもしれませんが、「どうやってやろう?」と問いかけたり、授業者が具体的に指示したりすることが必要だったように思います。

グループを3つの固まりに分けて、3段のリズム譜を1段ずつ順番に演奏させた後、今度はグループごとに違う音を出させます。ドミソの音を選ばせることで、ハーモニーをつくろうというわけです。単純なタンギングでも、ハーモニーをつくることで美しく聞こえます。合奏のよさを感じることにつながります。よい活動だと思います。
グループごとにどの音を演奏するかを選ばせました。どの音を選ぶかにあまり意味はありませんので、こういう場合は、授業者がどの音かを決めて指示した方が時間のムダもないと思います。
演奏の途中でなぜか一人の子どもが笑い出して、やり直しになる場面がありました。まわりの子どもたちも一緒に笑っていました。失敗をバカにしたり、責めたりせずに笑い飛ばせるのはとてもよいことです。よい学級だと思いました。

リコーダーの練習が終わって合唱の練習に移りました。
子どもたちがきちんと歌う姿勢になるまで、待つことができます。子どもたちはよい姿勢で歌い始めました。ただ、いきなり歌わせたので、声が出ていません。時間があまりなかったからかもしれませんが、少しだけでも発声練習をしてから歌わせるとよかったと思います。
歌い終わった後、友だちと見あって歌うことを指示します。子どもたちは楽しそうに歌っています。こういったかかわりはよいと思います。ただ、歌が上手くなるためには何をすればよいのか、具体的な方法が授業に組み込まれていませんでした。次の歌では、パートごとに歌って他のパートが聞くという場面がありましたが、何を意識して歌うのか、聞くのかということが明確ではありません。どうすればうまくなるのか、そのポイントや視点を子どもたちが意識して活動することが大切です。

丁度一年ほど前にも同じ授業者の7年生の授業を見せてもらいましたが、その時の様子とは全く別物です。授業規律や子どもたちとの人間関係は本当によくなっていました。意識してこの1年間授業に臨んでいたことがわかります。
次の課題は、どのような活動をすれば子どもたちの力がつくのかという授業設計や授業技術です。これは一朝一夕で身に付くものではありませんが、いつも意識して授業に取り組んでほしいと思います。素直な方なので、確実に成長してくれると思います。

この続きは次回の日記で。
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