【フォーラム2017】午後の部・まとめ協議
まとめと協議
午後の2本の模擬授業と授業検討のまとめとして、「授業検討法を生かし、授業改善につなげるポイント」についての協議を行いました。 それぞれの模擬授業が特徴的だったので、授業検討の目的も明確に違っていて、それに合わせたスタイルになっていたので、会場の観客の皆さんにもわかりやすかったのではないでしょうか。 実際に学校で行われる授業検討でも、このように目的をはっきりさせて、それに合わせた形で行われるとよいという意見が出ていました。 そのためにも、授業検討会を司会する人がしっかり運営できるようになる必要があるが、これがなかなか難しい。 今回使った「授業アドバイスツール」をうまく活用できれば、司会者の力量に左右されない検討会ができるのではないか、といった話題もありました。 今後、若手教師が増えて、授業検討会の持つ役割も重要性を増してくるでしょう。 「アドバイスする」「知識や知恵を共有する」というどちらのスタイルも必要です。 観客の皆さんの学校で行われる授業検討会で、ぜひ参考にしていただけるといいですね。 【フォーラム2017】午後の部・模擬授業2授業者: 岩手県奥州市立水沢小学校副校長 佐藤正寿先生 授業名人として有名な佐藤先生をお迎えしての模擬授業でした。 おそらくこの模擬授業を目当てにフォーラムに参加いた人も多かっただろうと思います。 緊張する生徒役の固い雰囲気をゆっくりほぐしながら、優しい語り口で授業は進みました。 便利な道具を使うことが当たり前になっている現代では、昔の生活を知れば知るほど「つらい」「不便」「面倒」といったマイナスのイメージを持ちやすいものです。 佐藤先生は、昔の生活場面の絵から道具の使われ方を考えさせて、生徒役にたっぷりと「やっぱり昔は大変だったよね。今は便利になったよね」という気持ちを味わわせておいて、でも便利になった今の道具には、昔の知恵が引き継がれているんだよということに気付かせ、生徒役を「すごいな〜」と驚かせる展開をされました。 さらに、岩手の地場産業である南部鉄器とも関連付けるなど、地元の産業にも目を向けさせる工夫をされ、会場からは「おぉ〜」と感嘆のどよめきが起こりました。 会場の反応からもわかるように、よく練られた教材で、いくつもの伏線を用意してあり、最後まで子どもを飽きさせることなく、楽しく集中させる授業でした。 すばらしい模擬授業をありがとうございました。 ********** 授業検討「授業アドバイスツール(授業検討モード)」を活用した授業検討 ここでは「授業アドバイスツール(授業検討モード)」を活用して、実際に学校で行われている「授業検討会」のように模擬授業を振り返りました。 この「授業検討モード」では、端末を持った人が授業を参観しながら「いいね」や「疑問」というボタンを押して、何かに気付いた場面を記録していきます。 ボタンが押された数を集計し、全体を一覧で見ることができるので、数が多かったところが一目瞭然でわかります。 授業検討をする際に、数が多いところを中心に進めれば、参観者の気づきを反映させやすいということですね。 今回の検討では、発問の意図や生徒役に期待した反応などの質問に授業者が答えながら、授業者のねらいについて語ってもらうことができました。 子どもたちが最初持っていたネガティブなイメージから、すごい!というポジティブなイメージへと大転換させる仕掛けに込めた授業者のねらいは、「困っていないので気付いていない『よさ』に気付かせること」そして「気付くことは、自ら改善しようとする意欲につながる」というところにあったそうです。 授業検討では、授業技術の検討だけでなく、こうした授業者が教材に込めた思いやねらいなどを掘り下げて、子どもたちにつけたい力は何なのかといったことも共有できるといいですね。 優れた授業者から多くを学んだ、優れた授業検討でした。 【フォーラム2017】午後の部・模擬授業1模擬授業1: 小4 国語「文と文をつなぐ言葉」 授業者: 岐阜聖徳学園大学 玉置ゼミ 牧野紘子さん フォーラムで、学生による模擬授業を行うのは初の試みです。 授業者の牧野さんは、相当な緊張とプレッシャーを感じて登壇したことと思います。 しかし、そんな不安な様子はみじんも感じさせない、堂々とした立派な授業でした。 生徒役をやってくれたのが同じ玉置ゼミ1期生だったということで、力をもらえたということもあったでしょう。 日ごろからゼミで鍛えられてつけてきた授業力を発揮して、会場からは「学生とは思えない。すばらしい」という声が多数出ていました。 単元は「文と文をつなぐ言葉」で、つなぎ言葉は気持ちを表すことに気付き、気持ちや状況に合ったつなぎ言葉を使えるようになることが目標でした。 生徒役から「つなぎ言葉」をたくさん出させるために、ペアで話し合わせたり、教師が例示するなどの工夫をして、おもしろい発言を引き出していました。 気持ちに合ったつなぎ言葉を使った文章を作らせて実感させたことや、最後に振り返りをして再度確認することで、子どもへの定着も図れたと思います。 準備も大変だったでしょうし、直前は胃が痛くなる思いをしたことでしょうが、大役を引き受けてやり遂げてくれた牧野さんとゼミ生の皆さんに感謝しています。ありがとうございました。 実は一番ハラハラドキドキしていたのは、指導教官である玉置先生だったかもしれませんね(笑) ********** 授業検討「授業アドバイスツール(アドバイスモード)」を活用した授業アドバイス 若手教師へのアドバイスという想定で、「授業アドバイスツール(アドバンスモード)」を活用しながら、立場の違う3人(同僚・指導員・管理職)からアドバイスを受けました。 「同僚」役は、同じく玉置ゼミの松井大樹くんがやってくれました。 授業中の指示の出し方や、発問に対する生徒役の反応の様子など、授業技術的なことで授業者が気付かなかったことを知らせてあげて、そうした点に気を付けたらさらに良くなると思う、というアドバイスをしてくれました。 「指導者」役は、小学校で教務主任をされている中川先生が担当してくださいました。 授業中の気になった部分を提示して、「この時、どんなことを考えていた?」「どういう展開にしたかった?」「子どもからどんな言葉が出るといいなと思った?」と問いかけ、授業者が自分で振り返りながら、自ら気付けるように促していました。 直接的なアドバイスだけでなく、このような振り返りの手法もあるのだと学びました。 「管理職」役は、元校長の神戸先生が担当してくださいました。 授業者の良かった点、子どもたちの様子で良かった点など、具体的に指摘しただけでなく、管理職として「うちの学校では、このように考えてやってほしい」という学校の教育方針に沿ったアドバイスをされていました。 これは実際の学校ではとても大事なことだと思います。 それぞれの教師の持ち味を活かしながら、学校全体の方向性を示していくのが管理職の役割だということを、神戸先生のアドバイスを聞いて改めて学びました。 「授業アドバイスツール(アドバイスモード)」では、アドバイザーが授業の様子を録画しながら、気になった部分に印をつけることができます。 画面上に直接コメントを書くこともできますので、後で見直したときに、「何が気になったのか」が一目で思い出せます。 このツールをうまく使って、三者三様のすばらしいアドバイスを見せていただきました。 アドバイザーの皆さん、ありがとうございました。 |
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