【フォーラム2017】午前の部・テーマ2多くの学校が頭を悩ます問題が「ミドルリーダーの人材不足」です。 40歳代のミドルリーダーとなる年代が著しく少なく、若い教員が増えています。 なんとかしなければ、と考えている管理職に向けて、昨年のフォーラム(愛される学校づくりフォーラム2016 in 東京)で、「若手教師の力量を高めるには」というテーマで「『ヤング』ミドルリーダーの育成の実践」についての提案を行いました。 その提案がたいへん好評で、いかに現場ではこのことで困っているか、ということがわかりました。 今年の大テーマである「カリキュラム・マネジメント」では、学校経営の視点も重要です。 そこで、トップリーダーである校長として、若手の人材育成にかける思いや大切なこと。また、マネジメントする中で、うまくいったことやうまくいかなかったことなどを発表することにしました。 さらに、昨年の実践発表の中で「育てた(と校長が思っている)」ヤング・ミドルリーダー(中堅のミドルリーダーよりもさらに若い世代のリーダー)の皆さんにご登壇いただき、「実際はどうだったの?」という本音の部分を語ってもらうことになりました。 ********** 管理職の登壇者からは、「本当にうちも頭を抱えていて、昨年の提案を受けて、すぐにうちでも取り入れようとやってみた。しかしうまくいかなかった。教職員の温度差もあるし、いきなり導入するのは難しい」「若い女性教員が多く、産休や育休で抜けてしまう」という本音や、「ベースとなる方法として取り入れるとしても、実際には学校の実情に合わせて、工夫しないとうまくいかないのではないか」といった意見も出ていました。 ただ「管理職が『ともに学ぶ』という姿勢で臨むことが大事だ」という発表者の主張には、みな共感していました。 「あれやれ、これやれ」と旗を振るだけでは若手はついてきません。 管理職が自ら学ぶ姿勢を持ち、若手とともに学びの場に足を運ぶことで若手の心をつかみ、リーダーシップを発揮できたのだと思いました。 ゲストとして登壇されたヤング・ミドルリーダーの皆さんは、ちょっとイジワルなインタビュアーの直球の質問に、「当初は重圧を感じたり、やり方がわからず当惑したり、荷が重いと感じたこともある」と素直な気持ちを語ってくれました。 それは当然のことだと思います。 しかし、「校長が『ともに学ぶ』姿勢を示してくれたおかげで、そばで見守ってくれる安心感が生まれ、共通の話題ができることでコミュニケーションも円滑に取れるようになった」「やりがいを持てた」と話してくれたことに、彼らが大きく成長したことが見て取れました。 きっと、会場の管理職の皆さんは「若手育成のヒント」を得られたことでしょう。 【フォーラム2017】午前の部・テーマ1愛される学校づくり研究会では、今年度「カリキュラム・マネジメント」を大きなテーマとして研究を進めてきました。 ご承知のように、つい先日、次期学習指導要領案が発表されました。 その中で、以下の3つの改訂のポイントが示されました。 ・新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実 ・新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し ・「主体的・対話的で深い学び」の視点からの学習過程の改善 これらのポイントの考え方の中心となるのが「社会に開かれた教育課程」です。 そしてこれを実現するために、各学校における「カリキュラム・マネジメント」の実現が求められています。 研究会には学校管理職の会員が多いこともあり、次期学習指導要領については、継続して議論を重ねてきました。 中教審の委員を務める会員から随時情報提供を受けながら、率直な意見交流をしてきましたが、「わかりにくい」「うまく機能させられるか不安」「何をやったらよいのかわからない」といった疑問もわいてきました。 そこで、「フォーラムで提案して皆さんと一緒に考えよう」となり、「カリキュラム・マネジメント」を大きなテーマとし、その中でも会員の課題意識の高い4つの分野に絞って提案することになりました。 それぞれのテーマでどのような提案がされたのか、順次「まとめ」を掲載します。 ********** テーマ1:教育課程を軸とした学校づくり そもそも「カリキュラム・マネジメントで、求められていることがわからない」という学校関係者がたくさんいる現状を踏まえて、具体的にどのようなことなのか?これまでとはどう違うのか?どのように取り組めばよいのか?といった観点で考えました。 冒頭から「これからは、言われたとおりにやればいい…と思っている校長は、今度こそ退場してもらわなければならない!」という刺激的な発言があり、各学校が真剣に「社会に開かれた教育課程」にすることを考える必要性を感じました。 これまでも「教育課程」については、学校が決めて実施するものとして存在していましたし、教育課程に沿った教育が行われてきたはずです。 しかしここで改めて言及されている、ということは、形骸化してしまい、それほど機能していないのではないか…ということが、暗に示されていると捉えることもできます。 ではどうすればいいの?という現場の悲鳴が聞こえてくるようですね。 登壇者からは「まずは現状の把握をしっかりやって、必要なものを厳選して、実践可能な形に組み立てることが大事」という意見が出されました。 その上で「教科書に載らない部分(学習規律などのしつけの部分や、話し合い活動のような協同学習など)もがんばらないといけない」という見方も提示されました。 また、現場の関心が高い「評価」についても、「外から見ると、学校の中で、どのような目的で、何が行われているのかがわかりにくい」という指摘もされました。 「社会に開かれた教育課程」にするためには、外部からの評価も念頭に置く必要があります。 従来の「学校評価」の結果を、もっと教育課程に反映させることも必要ですね。 そのためには「小刻みな評価」を行うことや、評価しやすい具体的な目標を立てること。そして、学校の情報をタイムリーに地域など外部に出すことなど、具体的な意見も出されました。 さらに、行政との連携についても話題になりました。 今はインターネットを通じて、近隣の学校はもちろんのこと、全国の学校の情報はHPですぐに検索できます。 保護者や地域の人がそうした情報を使って「学校くらべ」をしている現状を受け止め、お互いに良いところは取り入れるような柔軟さも必要になりますね。 教育委員会は、地域全体を見渡す視点を持って、学校との連携を図ってもらいたいという意見に共感しました。 愛される学校づくりフォーラム2017 in 名古屋(2)模擬授業1本目は、岐阜聖徳学園大学玉置ゼミの学生による「小4年国語」の授業を行いました。 そして模擬授業2本目は、岩手県奥州市で公立小学校副校長をされている授業名人の佐藤正寿先生の「小3年社会」の授業を行いました。 それぞれの授業検討では、愛される学校づくり研究会と企業会員であるEDUCOMが共同開発した「授業アドバイスツール」を使いました。 ツールの便利さを皆さんにお知らせするだけでなく、検討する内容の着目点(若手教員への授業技術指導、優れた授業では具体的に良かった点を絞りそれをシェアするなど)についても提案しました。 会場からの反応を見ていると、皆さんが「学びのタネ」を受け取ってくださったと感じられる、感嘆の声や明るい笑顔がたくさん見られました。 ********** 会場に足を運んでくださった多くの参加者の皆さま、本当にありがとうございました。 また、当日ばかりでなく、事前からさまざまに配慮のある会場運営をしてくださったEDUCOMスタッフの皆さま、ありがとうございました。 皆さんのおかげで盛大なフォーラムを開催することができたことに感謝しています。 最後に、研究会会員の先生方。 限られた時間の中で、十分に準備のための検討ができませんでしたが、きっちりとすばらしいフォーラムに仕上げていただき、ありがとうございました。 来年度も、どうぞよろしくお願いします! ※各コンテンツの詳細記事は、後日アップする予定です。 愛される学校づくりフォーラム2017 in 名古屋(1)愛知県内だけでなく、全国各地からたくさんの皆さんにご参加いただき、300席のホールが満員になりました。 今回のフォーラムも、午前・午後の二部構成で行いました。 ********** 午前の部では、「愛される学校づくり”公開”研究会」と題して、私たちが日ごろ行っている研究会での討議の様子をそのままお届けしよう!という趣旨で取り組みました。 私たちは、多種多様な会員が集まった研究会の特性を活かして、さまざまな分野のテーマについて、忌憚のない意見交流をしています。 立場が違えば、当然意見も違ってきますし、テーマの中には結論が出せるわけないようなものが多くあります。 それでも、情報提供を受けたり、自由に討議をしていく中で、会員それぞれが見識を深めたり、新しい視点を得たりと、毎回刺激を受けるのです。 そうしたエキサイティングな雰囲気を会場の皆さんに届けたい、と準備を進めてきました。 今年度は大きな課題として「カリキュラム・マネジメント」を取り上げました。そして「カリキュラム・マネジメント」を具体的に語り合う為に選んだのが、 テーマ1:教育課程を軸とした学校づくり テーマ2:ミドルリーダーの育成 テーマ3:校務情報を学校経営の手助けに テーマ4:地域連携 の4テーマです。 今年の参加者は、例年に比べて若い方が多かったので、午前の部で提案した4つのテーマについては少々難しかった、との声も聞いています。 たしかに管理職向けの話題が中心となりました。 しかし、新学習指導要領案が発表になり、これからの教育の方向性が示された今、そうした動きについてはすべての教員が知っておくべきではないかと思います。 若いから関係ない、ということではなく、どういう教育が求められるようになるのか、ということに少しでも関心を寄せてもらえるといいですね。 それぞれのテーマで私たちが提案したことが、ご参加いただいた皆さまにとって、何かしらの気づきやヒントになっていれば幸いです。 【教育コラム】「学校を離れて観ると」第6回
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