作品の制作でつけたい力を考える

昨日の日記の続きです。

2年目の家庭科の先生の授業は2年生の刺繍の実習でした。
前回の続きを始める前に、ポイント等を整理して確認します。子どもたちは先生をしっかりと見て、説明を聞いていました。数人の子どもがうなずいて反応してくれます。他の子どもたちも聞いているとは思いますが、ちゃんと理解できているか確認をしたいところです。「うなずいてくれる子どもをほめて、他の子どもも反応するようにうながす」「子どもを何人か指名して大切だと思ったことを言わせる」「隣同士で確認させる」といったことをするとよいでしょう。

制作を開始するように指示した後、子どもたちが素早く取り掛かります。この活動に意欲的なことが伝わってきます。授業者の話を真剣に聞いていた理由がわかります。
授業者はグループの机ごとに机間指導をします。子どもからの相談に対応しますが、ちょっと個別に深くかかわりすぎのように思います。個人作業ではありますが、子ども同士で聞きあっている姿も見られます。授業者が教えるよりもグループで助け合うようにうながしたいところです。
また、途中でどのようなことを意識・工夫して作業をしているのかを共有する場面を設けるとよいとでしょう。こういった場面で、先ほど相談していた子どもたちに、どのようなことを話していたのかを聞いてみたいものです。

子どもたちは机の上に作品を置いて作業をしています。ところが中に一人、膝の上で作業をしている子どもがいました。単にその方が作業しやすかったのかもしれませんが、少し気になりました。自分の作品を見られたくなかったのかもしれません。少し様子を見る必要があったと思います。「どんな調子?」と声をかけて様子を聞いたり、「素敵だね」と作品を評価したりといった対応を工夫してほしいと思います。

こういった作品の制作では、完成することが活動の目標になってしまうことがよくあります。完成後に互いの作品を評価するにしても、その観点がはっきりしないと、個人の感想で終わってしまいます。どのような作品となればよいのかを明確にしておくことが求められます。また、この観点が明確でないと、グループでのかかわりもしづらくなります。
グループ活動を作品の制作に活かすのに、工房という発想があります。グループを一つの工房として共通のテーマを持ち、自分たちの作品の質を保証するのです。「自然」といったテーマでもいいし、「明るい」「うきうきする」「華やぐ」「落ち着く」といった情緒的なものでもよいでしょう。下絵の段階でお互いの作品をこのテーマに沿って評価し合い、よりよいものにするアドバイスをし合うのです。作品の品質についても、「糸の隙間をなくす」「ステッチの間隔を均等にする」といった基準を自分たちで考え、互いにそうなるように助け合うのです。
この時、「ダメだからやり直せ」といった言葉がでてくるようでは本末転倒です。互いに見合う時間を早めにつくり、上手くいくように声をかけ合い、コツを共有することが大切です。この学校では子ども同士の関係がよさそうなので、こういった取り組みも可能だと思いました。

子どもたちが意欲的に取り組むよい授業でした。次は、この教科の活動を通じて子どもたちにどのような力をつけるのか、そのためにどのようなことを意識するのかといったことをより明確にしてほしいと思います。つけたい力として、教科を越えた生きる力が意識できるようになると素晴らしいと思います。

この続きは次回の日記で。

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