先生方が授業アドバイスツールをどのように使いこなすか楽しみな学校

元気な学校応援プロジェクトの一環で、授業アドバイスツールを使った授業アドバイスを行う予定の小学校と、学校の研修主題に沿って授業アドバイスツールをどう活用するかについて相談させていただきました。

この学校では子どもの自尊感情を大切にしようとしています。課題を明確にして見通しを持たせる。「聞く、話す、書く」のスキルの習得や、「伝え合う、学び合う」を大切にする。板書は子ども思考の足跡が残るものにする。ユニバーサルデザインを意識して、誰もが「わかる」「できる」授業にする。これらのことを通じて子どもたちに自己有用感、自己肯定感、自己存在感を持たせ、自分への自信、健全な自尊感情へとつなげていこうとうのが研究の構想です。授業に求められることが、細かいことまできちんと盛り込まれています。
もちろん構想だけでは絵に描いた餅なので、どう実現するかが大切です。校長を中心に、研究の核となる先生方も交えて、いろいろと意見を交換させていただきました。
子どもの自尊感情は、子ども自身が「自分はやれた」「友だちに認められた」という実感を持つことが大切です。そのためには子どもたちで評価できる目標を明確にすることが大切です。こういったこともきちんと構想図には入っていますが、要素が大変多いので、具体的に授業をどうつくっていくのかについては、先生方も悩むことが多いと思います。

実際に先生方が授業をつくる時にどう指導していこうかというプランにこだわりすぎると、子どもの実態と乖離してしまう心配があります。子どもが今どういう状態であるのかをきちんと観察し把握することで、今この場面でどういった要素が必要なのか、何が求められているのかが見えてくると思います。授業アドバイスツールで子どもたちの変容をとらえることで、この研究が大いに進むのではないかと思いました。

校長は授業アドバイスツールが複数台の端末で連携できることをご存知で、授業研究を複数の端末を使って行おうと考えられていました。確かにこの学校が目指す研究にはその使い方がよさそうなのですが、基本的に貸し出しは1台だけです。使う日だけ複数台を貸し出すことは可能ですが、他にも利用の予定があるので調整はそれほど簡単ではありません。
そのことをお話しようと思ったところ、この学校のサポート担当者は学校の希望に沿うように、すでに日程の調整をして機器を押さえていました。授業アドバイスツールのことをよく理解して機能を伝えているだけでなく、学校と連絡を密にとって必要な手配も済ませていたのです。こういうサポーターがいれば、痒い所に手が届くと思いました。

私が授業アドバイスをする日程も無事調整ができました。当日の授業がどのようなものかだけでなく、それまでの授業研究を通じて先生方が授業アドバイスツールをどのように使いこなすかを見せていただくのが今からとても楽しみです。

基本がしっかりしているので、考えることが多かった授業(長文)

市の授業力向上研修で講師を務めました。年3回の第1回目です。今回は参加者の代表に授業をしてもらい、その授業を参加者全員で検討するというものです。

この日は小学校1年生の「おおきなかぶ」で、かぶが抜ける場面を子どもたちに動作化させて、おじいさんの気持ちを考えさせる授業でした。
参観者が多いせいでしょうか、授業開始前から子どもたちがやや興奮気味です。チャイムが鳴って授業者が気持ちを切りかえましょうと声をかけて号令がかかると、よい姿勢でしっかりと挨拶はできました。授業規律がきちんとできています。
最初に今学習しているのはどんな話かをたずねます。子どもたちは元気よく手を挙げます。ただ、手を挙げない子どもが2、3人いるのが気になります。指名した子どもが発言した後、すこし間をおいて、今の意見に対して「どうですか?」と問いかけると全員が賛成のハンドサインを出しました。
話の内容を一つひとつ質問しながら確認します。一問一答とハンドサインの確認で進んで行きます。発言の後、間をおいてから「どうですか?」と聞くことで、ハンドサインを出すタイミングを授業者が上手くコントロールしています。こうすることで、子どもたちのテンションは落ち着いて、しっかりハンドサインを出します。しかし、手遊びして聞いていないように見える子どもや、質問に対して全く手が挙がらない子どもも、ハンドサインで賛成を表明することが、ちょっと気になります。一問一答のハンドサインだけに頼らず、何人も指名することや、隣同士で確認をするといった他の進め方も選択肢に入れてほしいと思います。
また、ここでは子どもの記憶だけに頼ってやりとりしています。忘れてしまった子どもが参加できないことが気になります。忘れた子どもには教科書を見る機会を与えてもよいと思います。
ハンドサインで確認し、授業者がその場面の解説を少しして、また次の質問をするということが繰り返されていきます。だんだん子どもたちのハンドサインが全員でなくなっていきます。1年生なので単調な活動が続くと、集中力がなくなってしまうのです。

「かぶが抜けた時のおじいさんの気持ちを考える」とめあてを板書して、子どもたちに読ませますが、視線があらぬ方向に向く子どもが目につきます。子どもたちの集中力がなくなっていたので、めあてを読む前に子どもたちの姿勢を正して気持ちを切りかえさせることが必要だったと思います。

教科書を開いて全員で音読します。ここではきちんと全員が教科書を持って音読の姿勢になるまで待ちました。子どもたちはしっかりと口を開けて読み始めます。しかし、途中で集中が落ちる子どもが出てきます。気がついた時点で、「ちょっと待って」といったん止めて、その子どもへの注意ではなく、「全員で声をしっかり出そう」と全体に対して働きかけることが必要です。その子どもがしっかりと参加できたら、すかさず何らかの形でほめて行動を強化するとよいでしょう。
読み終ると、授業者が説明を始めますが、手に持っていた教科書をどうするか指示がありません。教科書をバタンと倒す音がバラバラに聞こえてきます。最後まで教科書を持ったままの子どももいました。中には手に持った教科書を動かして遊ぶ子どももいます。読み終った時に教科書を置くように指示すべきだったと思います。
ここで次に誰を呼んできたかをたずね、一問一答になります。また、これまでのパターンに戻りました。子どもの集中力が落ちます。

「かぶがなかなか抜けなかった」という文の「なかなか」に線を引くように指示します。おじいさんの気持ちを考えるためのキーワードの一つです。ただ線を引くのでなく、その理由を子どもたちに理解させたいところでした。「なかなか」があるとないとではどう違うかといったことを一言確認するだけでも違ったと思います。
線を引かせた後、黒板におじいさんたちの絵を貼ります。どんな顔をしているのかと問いかけてから、おじいさんの気持ちを答えさせます。1/4ほどの子どもの挙手で指名します。「いつまでたっても抜けないなあ」という答に対して「どうですか?」とハンドサインを求めます。しかし、1/4ほどの手が挙がりません。子どもが発言を理解する時間や、場面が必要です。「いつまでたっても」という言葉は先ほどの「なかなか」につながる言葉です。また、抜けない「なあ」というところに、おじいさんの気持ちが表れています。子どもの言葉を「いつまでたっても」や「なあ」を強調しながら復唱して、「それってどんな気持ち?」と他の子どもにつなげるといったことをしたいところです。授業者は発言が終わるとすぐに黒板に向かって復唱しながら板書をします。そのことを知っているのか、子どもたちは発表者の方を向かないことが気になりました。また、授業者が子どもに背を向けている間も、子どもたちは手を挙げ続けています。できるだけ子どもたちの様子を見ようとしてほしいと思います。
指名した子どもが返事をしない時に、授業者はやさしく何度も呼びかけます。よい対応だと思います。この場面に限らず、子どもたちにかける言葉が柔らかく、それが学級の落ち着いた雰囲気につながっています。残念なのは、子どもが返事をすると、「はい」と無機的に答えるだけで終わってしまったことです。これでは、子どもは失敗して注意されたように感じてしまいます。ここは笑顔でうなずくといったことをして、「気づいてえらいね」という認める気持ちを伝えてあげたいところでした。

子どもたちの発言をもう一度読み上げて、「おじいさんはどんな顔をしているのかな?うれしい顔をしているのかな?」と絵を指さします。絵は理解を助ける大切な要素ですが、ここは、さきほどの子どもたちの発言をもとに、どんな気持ちかを考えさせたいところです。子どもたちから「悲しそう」「困っている」とつぶやきが出てきます。授業者は復唱しますが、「困っている」という発言に対しては「困っているねえ」とやや強く肯定しました。その時、「つらそう」という別のつぶやきが出てきました。授業者は「つらそう」もきちんと復唱しました。子どもを受容しようとする気持ちを感じます。ただ、その後、「つらそうで困っている」と続けました。授業者が結論づけるのではなく、子どもたちでこの状況は「困っている」のだとしっかりと理解させたいところでした。「なかなか」を意識したい場面でしたが、うまく活かせていないように思いました。

次の場面に移ります。子どもたちはかなり集中力が落ちています。「読む用意!」と音読の姿勢取るように指示しても、すぐに動けませんでした。今回は音読した後、教科書を置くように指示しました。子どもたちは指示に従うのですが、教科書を触ったり、手遊びをしたりする子どもが目立ちます。指示したことしかしないので、続いてよい姿勢をつくることも指示する必要がありました。
はじめのうちは、「教科書を置く」「姿勢を正す」「授業者を見る」「話を聞く」といった一連の動きを一つずつ指示する必要があります。それができるようになれば、一つの指示の後に、「次に先生はどんなことを言うと思う?」と先を読んで行動することを意識させていきます。最終的には「今から話をするよ」だけでこの一連の動きができるようにするのが目標です。

授業者は「猫に続いて鼠を呼んできたけれど、猫と鼠は仲良し?」と問いかけます。子どもからは「違う」「仲が悪い」といった声が返ってきます。それを受けて授業者は「なんと言って呼んできたんだろう?」と問いかけます。猫と鼠のやり取りを想像させることのねらいは、文章の行間を想像させるためなのでしょうか。私には今一つはっきりしませんでした。
指名された子どもたちは、「いっしょに手伝って」といった発言をしますが、先ほど出てきた「仲が悪い」こととつながりません。最後に指名した子どもは、鼠は逃げるけど追いかけて連れてきたと説明しました。この子どもだけが仲が悪いということを意識していました。授業者はどの子どもの意見も「なるほど」と受容しますが、「そうか、仲が悪いから、逃げちゃうんだ。それを追いかけて連れてきたんだね」というような評価がほしいところでした。「仲が悪い」ことを押さえたのですから、そのこと根拠にして考えることをもっと意識させることが必要だったと思います。

子どもたちに「実験してみたい?」と問いかけます。ここでなぜ「実験」という言葉を使ったのかよくわかりません。授業者が用意した大きなかぶが抜けるか実験すると言って、配役を決めます。これでは活動の目標がかぶが抜けるかどうかです。子どもたちが考える要素はありません。落ち着いている子どもたちですが、当然テンションは上がっていきました。
国語としてこの活動で子どもたちに何を考えさせるのかを意識する必要があったと思います。「なかなか」抜けない。「うんとこしょ、どっこいしょ」という掛け声の表わす様子。「とうとうとう」抜けた。これらを動作で表現させようとすることが読み取りにつながります。
1年生では、読み取ったことを言葉で表現することは難しいので、動作化を取り入れます。動作化を読み取りとどうつなげるかがポイントなのです。

指名された子どもたちは、頭に登場人(動)物のお面をつけて前に並びます。授業者は全体で順番を確認しながら前に出た子どもたちを並ばせます。「引っぱる時の言葉、何だったかな?」と問いかけると、中には立ち上がって声を出しながら動作する子どももいます。子どもたちのテンションが上がるのですが、言い終るとすぐに学級全体が落ち着きました。授業者と子どもたちの関係がよく、授業規律がよくコントロールされていると思います。
前で子どもたちが実演をしてかぶが抜けた場面で、見ている子どもたちが笑顔になっていました。しっかりと参加できている証拠です。よい場面でした。残念ながら授業者は動作している子どもたちに意識が行っていたので、その様子を見ていませんでした。「いい表情で見ていたね」と子どもたちを評価したいところです。

かぶが抜けたところで、「とうとうかぶは抜けました」と授業者は「とうとう」を強調して声を出しました。この動作化で「とうとう」という言葉を意識させようとしたようです。しかし、子どもたちはそのことにあまり気づいていないようでした。それよりも、次に自分がやりたいばかりで、前でやった子どもたちが席に着くと「○○をやりたい」という声が上がります。中には声を出しながら指名されたくて机をたたく子どももいました。
授業者が黙ってうなずきながら、「さあ、みなさん」と声をかけると、すぐに興奮は収まります。授業者の話を聞こうとする姿勢になっていきます。上がったテンションを大きな声を出すことなく上手に下げることができるのは見事です。気になる子どもも何人かいますが、かかわりすぎないように、うまく無視していました。

「かぶはどうなったでしょうか?」と子どもたちに問いかけますが、この問いかけの意味がよくわかりませんでした。子どもたちが演じた「実験」の結果をたずねたのでしょうか。かぶが抜けたことは、本文から明らかです。本文が根拠であることを意識した展開にしたいところです。

再び、教科書を開いて、「とうとう」に線を引かせますが、先ほどの「なかなか」と同様に、子どもたちがなぜ線を引くかその意味を考えることはありません。「なかなか」抜けなかったから、「とうとう」抜けたと表現されていることに気づかせたいところです。

黒板にかぶが抜けた時の絵を貼り、今日のめあて「かぶが抜けた時のおじいさんの気持ちを考えよう」を確認しました。おじいさんの絵と吹き出しが3つ書かれているワークシートを配ります。1つ目の吹き出しには★が書かれ、2つ目は普通の吹き出しで、3つ目は点線で書かれています。授業者は、最初に★の吹き出し、書けた人は2つ目の吹き出しを、まだ書ける人は点線をつないで、その吹き出しに書くように指示します。それでもまだ書ける人は余白に吹き出しをつくって書くように指示しました。すぐにできる子どもを遊ばせない工夫があります。残念なことは、子どもたちがワークシートを見ているために顔が上がらないことです。拡大コピーか実物投影機を利用するとよかったところでした。
せっかくの指示だったのですが、1つ書けて満足している子どもが目立ちます。授業者は机間指導しながら、「2つ書けている人もいるね」「3つ書けている子もいるよ」「たくさん書けている人がいるね」と声を出しますが、子どもたちの集中力は落ちていきました。難しいところですが、指示の時に「いくつ書けるかな?」と数を目標にするという方法もあったかもしれません。

「鉛筆を置いて黒板を見てください」とゆっくり声を出して、子どもたちに集中を求めます。「もう一度言います。鉛筆を置いてください」と再度指示をして話し始めました。しかし、顔が上がらない子どもが目立ちます。中には鉛筆をまだ持っている子どももいます。ここは、「○○さんいい姿勢」「△△さん早い」といった言葉をかけながら、全員の顔が上がるまで待ちたいところでした。
自分の書いたものを一つ選んで、隣の人に発表するように指示をします。隣の人は「あっ、そうだな」と思ったらうなずくようにと聞く側に対しても指示をします。これはとても大切なことです。声の大きさも確認します。場面ごとにどのような声の大きさで話すかが決まっているようです。すぐに子どもから「1」と返ってきます。1年生からこういうことを意識させておくことはとても大切です。ペアで活動する前に、きちんと体の向きを変えて向かい合わせます。細かいところまで意識されていました。子どもたちが落ち着いている理由がよくわかります。
子どもが向きを変えている途中で、どちらが先に話すか順番を指示しました。そのため、「先生どっちから?」と活動が始まってから聞く子どもがいました。全員の準備ができてから順番を指示するか、最後に確認をするとよかったでしょう。
うなずくことは指示されましたが、なかなか首が動きません。また、発表や聞くことの目的・目標が明確でないので、やりっぱなしですぐに終わってしまいます。集中が落ちてきました。「なるほど」と思ったら、それを参考にして自分のワークシートに書き足すといったことが必要だったと思います。

ペア活動に続いて、授業者は「お隣さんに発表したことを先生に聞かせてほしいな」と子どもたちに発言を求めました。これでは、発表者と授業者だけの関係になってしまいます。「みんなに聞かせて」とするべきでしょう。
指名した子どもは「うれしい気持ち」と答えます。発問が気持ちを聞いているのでそれでよいのですが、吹き出しにした意図とずれているように感じました。「楽しい」という発言に対して、「どうですか?」とハンドサインを求めます。おじいさんの気持ちの根拠が明確でないままに賛成かを問いかけてもあまり意味はありません。感覚で進んでいます。
中には「やっと、たべれる」とセリフにする子どももいます。吹き出しにしているのですからある意味自然です。「おじいさんはなんと言うだろう?」と、まずセリフを考えさせるとよかったと思います。子どもたちから多様な言葉を引き出しやすくなるはずです。その上で、「それは、どんな気持ち?」と聞くことで、子どもの言葉でまとめていくことができます。また、どこでそう考えたのかと、本文の言葉と結びつけることもできます。「なかなか」抜けないと、「とうとう」抜けたを対比することで、気持ちを考えさせたいところでした。
授業者はみんなでいろいろな気持ちを「見つける」ことができましたとまとめましたが、結局根拠となることは何も共有することがありませんでした。

一つ気になったことが、子どもの「たべれる」という発言を、「たべれる」とそのまま板書したことです。今はこれも間違いとは言えないのかもしれませんが、国語の授業なので「たべられる」と修正したいところでした。

最後に、おじいさんになりきって音読することが課題です。ここで注意しなければいけないことは、自分はどの気持ちで読むのかを明確にしておくことです。先ほどでてきた気持ちからでもよいので、まずそれを決めてから読まなければいけません。しかし、音読するところは、かけ声とかぶが抜けたというところです。なかなかおじいさんの気持ちを表現することは難しいのです。かけ声は全員で声を出しています。おじいさんの気持ちに直接結びつきません。地の文の「とうとうかぶはぬけました」で表現することになるのですが、ちょっと難しいような気がします。
個人で練習した後、ペアで聞き合います。授業者は「誰が上手かな?」と言いますが、基準は何でしょう。相手が「どんな気持ちで読んだか」を聞き取る、「声を大きくした」「ゆっくり読んだ」といった読み方の工夫を見つけるといった具体的な指示が必要だと思います。
これまでの音読でどんなことを意識してきたか、子どもたちが知っている読み方の工夫にどんなものがあるかといったことを事前に整理しておくことが必要だったと思います。

ペア活動のあと、「お隣さんが上手だった人?」とたずねます。一部を除いて手が挙がります。なかなかよい問いかけなのですが、子どもたちの表情がよくないことが気になります。お隣に手を挙げて認めてもらえればうれしいはずなのですが、あまり表情が変わらないのです。具体的にどこがよいのかを明確にして共有することが必要なのかもしれません。
音読をさせるのに、「先生に聞かせてもらおうかな?」とここでも授業者を意識させます。指名した子どもの音読に対して授業者は「ありがとう」と言って拍手をします。それに合わせて拍手する子どもは半分ほどです。次の子どもには「はい、上手」と、「うんとこしょ、どっこいしょのところが、すごい力が入っていた」と評価しました。この言葉が効いたのか、次の子どもも同じところに力を入れて読みます。授業者は、またそのことを評価しました。最後の子どもも、とても上手に読んだと評価しますが、その視点はやはりかけ声に力が入っていたところでした。音読する部分の問題でもありますが、他の視点や工夫を評価したいところでした。
まだ1年生ですから授業者が評価することが必要ですが、子どもたちに評価させることも意識してほしいと思います。子ども自身で工夫を見つけることで、意識して使えるようになると思います。

最後にみんなで音読します。子どもたちがなかなか落ち着かないのですが、注意はせずに、「もう一度言うよ」と落ち着いて指示を繰り返すことで、指示を徹底しました。これもなかなか見事な対応でした。
これまでの個別の評価の視点がかけ声の力強さだけだったので、子どもたちはそこに力を入れて読むだけでした。おじいさんの気持ちになることはどこかに行ってしまいました。

研修会参加者による授業検討は、例年通りレベルの高いものでした。
授業規律のよさや、子どもとの関係、雰囲気など授業者のよいところがたくさん出てきました。
私からは、「子どもの発言を評価する」「活動の目標を明確にする」「音読は学年に応じて緩急、大小、間などの読み方の技術を意識して行う」といったことをお話ししました。
授業者に基本的な力があるので、レベルの高い学びができたと思います。参加した先生方にとっても、私にとってもよい学びになった研修でした。

第4回教育と笑いの会申し込み開始(金額が間違っていましたので訂正します)

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第4回教育と笑いの会の申込みが開始されました。

昨年は、申込みしようと思ったら、すでに満席だったという声をたくさん聞いています。
参加を予定の方は、お早目に申し込みください(申し込みはこちらから)。

日程や内容は以下の通りです。
今回は私もピンで登壇させていただきます。本人としては今からドキドキですが、皆さんに楽しんでいただけるようなお話になるよう、精一杯務めさせていただきます。

日時:12月10日(土)13時00分〜16時40分

場所:東建ホール・丸の内
   地下鉄桜通線・鶴舞線「丸の内」駅下車1番出口より徒歩1分

参加費:3,000

第1部
野口芳宏の(しっかり)笑える教育の話
野口芳宏(植草学園大学名誉教授)

志水廣の(微妙に)笑える教育の話
志水廣(愛知教育大学名誉教授)

大西貞憲の笑えない(笑っていられない)教育の話
大西貞憲(教育コンサルタント)

池田修の(笑える)教育ワークショップ
池田修(京都橘大学教授)

第2部
愛狂亭三楽と愛狂亭ふくら(師匠と弟子)の落語
愛狂亭三楽(玉置崇・岐阜聖徳学園大学教育学部教授)
愛狂亭ふくら(愛狂亭三楽門下)

プロの落語を楽しむ(その1) 桂 雀太(滑稽噺)
桂雀太(上方落語家・桂雀三郎門下)

プロの落語を楽しむ(その2) 林家花丸(人情噺)
林家花丸(上方落語家・4代目林家染丸門下)

第3部
シンポジウム「教師修行と落語家修行の接点」
■登壇者
野口芳宏、志水 廣、池田 修、大西貞憲、林家花丸、桂 雀太
■進行役
玉置 崇
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