愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪(午後の部)(その3)

愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪(午後の部)(その2)」の続きです。

フォーラムの最後は、模擬授業の授業者と玉置先生と私の4人がパネラーになって、石川先生の司会で午後の授業検討の振り返りと授業改善についてのまとめを行いました。

「3+1授業検討法」については、玉置先生から道徳の授業にもかかわらず道徳に関することが発表されなかったことが指摘されました。「3+1」の3(よいところ、参考になる所)の中に必ず1つ入れるようにというルールを設けたらよいのではないかという提案もされました。会場からは、これに関連して教科に関することは1(疑問点、改善点)の中に出てくるのではないかという意見が出てきました。授業検討としては疑問点や改善点こそ増やすべきではないかと考えられたのかもしれません。なるほどと思います。私の経験では、グループでの検討はそのメンバーが関心を持っているところが話題になります。今回の授業で言えば、授業者の山田先生の範読や子ども役との受け、返しといった授業技術が見事だったのでどうしてもそこに魅かれた話し合いになったのだと思います。これは、山田先生が日ごろから意図的にこういった授業技術をわかりやすい形で見せて、先生方に学んでもらおうとしていることと無関係ではないでしょう。
また、学校でその時課題となっていることが異なれば、検討会の内容も変わっていきます。例えば、学習規律が課題であった学校では、最初の内は授業規律についての話題が多く出ました。しかし、学校内の授業規律が確立してくると、授業規律はしっかりできていることの確認で終わり、教科内容が話題の中心となるようになりました。ある意味、この検討法は先生方の今を映し出すものでもあります。
検討会におけるルールの追加は、学校の状況に応じて自由に考えればいいものだと思います。学校の研究テーマや授業者がこだわったことにかかわることを必ず1つは入れるといったようにすればいいのです。グループも異質なメンバーで構成した方よいでしょう。年齢、学年、教科を変えることで、いろいろな視点での気づきが語られることになります。異なった視点に触れることが学びを深めることになるのです。

ICTを活用した「授業検討ツール」での授業検討については、いきなり玉置先生が「司会が悪い」と強烈な一言を浴びせました。あとで参加者に聞いたところ、これにはびっくりしたそうです。公開研究会ですから、普段の研究会と同じように率直なところを述べたのです。反論を期待してのことなのですが、指摘された石川先生はこのディスカッションの司会者でもあったので、特に反論されませんでした。石川先生としては、このツールを使った授業検討法を理解してもらいたいという思いも強かったので、どうしても解説的になってしまったのでしょう。会場からは、「いいね」「疑問」の両方のボタンがたくさん押されていた場面を再生して検討すべきだったという意見が出てきました。その通りだと思います。おそらく、その場面を再生して議論することで「授業検討ツール」のよさも実感できたはずです。
授業検討において話題となる授業場面を即再生できることのメリットは大きなものがあります。それを手軽に実現させたことは大きな評価をいただけたと思います。また、授業者は、ボタンの押された場面を確認して授業を見なおすことで、より深い振り返りをすることができます。このことを授業者の小西先生はフォーラム終了後に実感されたようです。また、昨年も参加された方から、ボタンの押された回数の表示を数字からグラフすることでとても見やすく使いやすいものになったと評価いただけました。

私以外の登壇者はみな校長です。学校長として先生方の授業改善にどのように取り組んでいるか話題になりました。授業研究を充実させているのは共通していますが、そのほかにも若手を中心として先生方の授業を見てのアドバイスを日常的に行っているそうです。ホームページを使って授業の学ぶべき点を共有したり、授業風景の写真をもとに具体的に個別アドバイスをされたりするようです。授業検討ツールは、簡単にねらった場面を再生できるので、個別の授業アドバイスにも役立つ可能性がありそうです。
こういった授業を見ることに関連して、玉置先生から実際に私がどのようにして授業を見ているかという質問がありました。壇上で、日ごろ私が、どこから何を見ているのかを実演させていただきました。1時間じっくり見る時は別ですが、ほとんどの場合、廊下から見せていただきます。前の扉の窓から教室を覗くと子どもたちの反応や様子がよくわかります。授業は授業者ではなく子どもの姿にその本質が現れると思っています。授業者を特に見なくても、子どもたちの様子から授業で何が起こっているのかがわかります。子どもたちの様子がばらばらであれば、授業者が子どもたちどうなってほしいのかが明確になっていないことの現れです。そういう時は、位置を変えて授業者の様子を見るようにしています。
日々の学校の授業改善につながるまとめの話し合いができたと思います。

あっという間にフォーラムの終了時間となっていました。今回のコンセプト、「研究会を公開する」が参加者の皆さんにどのように受け止められるか不安な面もありました。自画自賛になりますが、私たち研究会員から見ても、学ぶべきことが多いとても楽しいフォーラムになったと思います。帰り際の参加者の方々の満足そうな表情をとてもうれしく思いました。
最後になりましたが、(株)EDUCOM様には、会場の準備から当日の運営まですべてにわたって多大な協力をいただきました。私たち登壇者が自分の役割だけに集中できるのも、陰で支えてくださるEDUCOMの皆さんのおかげです。心より感謝いたします。ありがとうございました。
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